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第78回佐渡充高のワールドツアーリポート

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49歳で9連続バーディー!記憶と記録を残し続けるM・カルカベキアとは?


中年の星・カルカベキアが怒涛の9連続ツアー最多連続バーディー記録を樹立!


 来年6月に50歳を迎える満身創痍のマーク・カルカベキア(愛称カルク)が9連続のツアー最多連続バーディー記録を打ち立てた。7月25日、連日の雷雨で中断、中断、また中断のカナディアン・オープン2ラウンド目だった。それまでの記録「8」を6年ぶりに更新し、タイガーでも成し得ない金字塔を打ち立てた。身長180センチ、110キロ。昨年から山登りで身体を鍛え始めたが、メタボ体型は余り変わらず少し親しみがわく男だ。
 昨年6月の全米オープンはタイガーが左膝の激痛に耐えながら劇的優勝を飾ったが、同試合でカルカベキアも左膝に激しい痛みを抱えてのプレーだった。しかし、歩くことも困難となり初日の9ホールで無念の棄権、秋に生涯5度目の膝の手術を受けた。
 さらに持病の腰痛、睡眠時無呼吸症候群も抱えており、今季、試合に出場しているだけでも驚きだったが、今回のスーパープレーに改めて拍手を送りたい。会見で「新記録達成の瞬間は少し緊張したけど、10連続の時はさすがに意識して失敗した」と彼らしく記者から笑いをとることを忘れなかった。


全英オープン覇者のメジャーチャンプだが良い時と悪い時とが両極端の選手だ!


 カルクはプロ28年目の大ベテラン。ケン・グリーンの専属キャディとしてツアーを経験してプロになった異色の経歴を持つ。88年のマスターズではプレーオフでサンディ・ライルに負けるも名勝負を演じ、翌89年は全英オープンに優勝。メジャーチャンピオンとしてずっと第一線を歩み続けている。
 彼のゴルフの特徴は2点。ツアーで最速、そして、かなりの短気である。92年のプレーヤーズ選手権最終日はジョン・デーリーと最初の組でスタート。何と2時間3分で終了し、スコアは80の大叩き。「真剣みが足りない」と罰金が課せられた。調子が悪い時の諦めも早いが、波に乗ると爆発的なスコアを出すなど両極端。それゆえ絶好調時には超人的なプレーで記録にからむことが多いのだ。


最少パット、最少ストロークなどアンビリーバブルな記録を残し続ける男だ!


 2002年に”72ホールのツアー最少パットのタイ記録“を樹立した時も心底驚いた。グリーンズボロ(現ウィンダム選手権)で72ホール通算93パットのタイ記録をマーク。その試合は優勝のロッコ・メディエートに3打及ばず2位に甘んじ、「一生で最もパットが決まった試合」と言うものの、手放しでは喜べなかった。
 72ホールで93パットは18ホールだと23・25パット。大まかに計算しても18ホールで1パットが約13ホールもある驚異の数字だ。この記録はしばらく破られまいと思っていたら、05年にデイビッド・フロストが92パットの新記録を樹立。今では史上2番目となったが、カルクの記録は今も十分に誇れるものだ。
 そしてもう一つのツアー記録保持者でもあった。01年のフェニックス・オープンで優勝した際のスコアは256ストローク(28アンダー)。マイク・スーチャックの最少スコア記録257ストロークを46年ぶりに更新して新記録を達成した。が、この記録も2年後の03年に破られ現在は史上2番目の記録になった。このようにカルカベキアは大記録を出し、それを破られるという、たぐい稀な経験を持つ“記録男”なのだ。


カルカベキアが残したエピソードも数知れず。記憶にも残り続ける男だ!


 数字や記録だけではなく、カルカベキアほど記憶に残る多くのエピソードを持つ男も類を見ない。あるエキシビションゲームで現地の空港に無事到着したが荷物が出てこない。このままではプレーができない。借りるのが巧いカルクはコースに着くなりアイアンはギャラリー、パターはキャディー、ウエア一式は選手仲間、靴は開催コースのメンバーから借りて登場。全て他人のギアなのに「62」でプレーして優勝。あまりの鮮やかさに拍手喝さいを受けた。
 98年のホンダクラシックでは普通の絆創膏ではズレるからと瞬間接着剤で指のキリ傷を閉じてプレーを続けて優勝したこともあった。3年前のポッズ選手権ではパットが不調で、大会3日目からディスカウント店で買ったばかりの2万8千円のパターでプレー。すると魔法のようにパットが決まり始めて優勝、一発逆転で1億円を獲得した。
 その大会でキャディーを務めたのが麻薬取引の罪で前年まで11年間刑務所に服役していたエリック・ラーソンだった。ラーソンは元キャディーで友人。11年間で刑務所を4回変わったがカルクは全てに面会に行くなど服役中も激励し続けた。社会復帰の支援としてバッグを担がせたのだった。
 時に果敢、時に無謀!?奇想天外の中にも人間味溢れた温かみのある男、カルク。これからも記録と記憶に残るプレーを続けてほしいものだ。