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2009年08月03日

2009年9月号 月刊スーパーゴルフ

2009年7月1日発行  Volume122


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【巻頭ギア特集】
難しいという定説を打ち破れ
ホントの3W脳
2つの脳改革の考察 byマーク金井、桜井大輔


◆旬の先取りルポ
秋の北海道ゴルフ旅行計画

【ブランド探求】
MARUMAN
QPメガ・シャトル奮戦記。


◆デイリー社グループ屈指のコースOPEN!
「デイリー信楽カントリー倶楽部」


【本当に力がつく連載レッスン】

◆ゴルフ専門トレーナー石渡俊彦プロの
ゴルフ上達のための“フィジカル&スキル”レッスン
│第10回│ドライバーショットで正しく構えるための方法論


◆シニアツアー界の飛ばし屋中尾豊健プロの
50歳からのぶっ飛ばしドライバーテクニック


◆カリスマトレーナー摩季れい子先生の斬新レッスン
正しいスイングはボールを打たずにシャドースイングでつくれ!
│第16回│ダウンスイング編 (1)


【レディスROOM】
金谷智美プロの一から始めましょう
│第28回│コースレッスン・アプローチショット編 (1)


【連載読物】

◆今月のサプライズ
石川遼、衝撃の全英デビュー


◆ゴルフの薬箱-いいゴルファーになるための心の指標- 鈴木康之


◆佐渡充高のワールドツアーリポート
ゴルフがオリンピック競技に復活か?運命の日が迫ってきた


◆児玉光雄のメンタルゴルフ革命イメージ能力を最大限に活用したジャック・ニクラス


◆NEWギア&NEWグッズ

◆今月の売れ筋ランキング


◆情報BOX


◆世界初のプロテサン牛専門店
「焼肉ARITA」


◆トヨタジュニアゴルフワールドカップ
南米勢初、アルゼンチンが完全優勝


◆2009-2010Autumn&Winter
Kobe Golfers Collectionプレビュー


◆賞賛されるクルマたち
JAGUAR XF5.0 Portfolio


◆医学講座
腸管内の“炎症の嵐”といわれる
炎症性腸疾患(IBD)の病態と腸内細菌


◆読者プレゼント

第59回メンタルゴルフ革命

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3年前のプレーが乗り移るディジャブ現象が勝因の一つとなった


 7月に行われた女子ツアー「明治チョコレートカップ」は韓国の全美貞が2位に6打の大差をつけ圧勝。今季2勝目を飾りました。
 この勝因の一因は脳の持つイメージ能力を全が最大限活用したことにあると、私は考えています。実は全の日本におけるツアー初優勝が3年前のこの大会で、当然思い入れも深く、勝利者インタビューで全は次のようなコメントを残しました。
「3年前に初優勝したときと風とかの雰囲気がすごく似ていて…。ショットも3年前と同じ所に落ちてくれて…。アレ同じだなんて思いでプレーできました」。
 この話で分かるように3年前のプレーが乗り移るディジャブ現象が勝因となったのです。ここでいうディジャブとは日本語では「既視感」と訳され、心理学的に過去に体験した想い出がそっくりそのまま蘇り、それがプレーとして再現される心理現象のこと。つまり彼女の脳はコースレイアウトのみならず、3年前のプレーのほとんどすべてを記憶しており、その再現があまりにもリアルであるため、すぐその後に起こるプレーまで予見できる錯角に襲われ、それがいい結果に結びついたと考えられるのです。3年前のスコアが71、70、67の8アンダー。今回のスコアが71、68、68の9アンダー。驚くほど似ています。記憶がディジャブのように蘇り、いいプレーの再現性が高まると結果もほぼ同じようなものとなるのです。


イメージ能力を最大限に活用したジャック・ニクラス


 スコアアップを望むなら、今回の全のようにあなたがすでに保有しているはずのイメージ能力を最大限活用するべきです。
 このイメージ能力の活用で成功を収めたゴルファーの典型例としてあげられるのは、帝王ジャック・ニクラスです。彼はショット前にイメージの中で最高のボールを打ってからアドレスに入る習慣を身につけていました。
「ショットを打つとき私はまずボールの後方に立ち、理想的なボールの軌道をイメージの中に描きます。心の中でその弾道のボールを打った後アドレスに入るのです。だから実際のプレーは、心の中で打ったショットの確認作業にすぎないのです」とニクラスは語っています。
 同じボールを打つ作業でも、何も考えないで打つのと、ニクラスのように最高のイメージを描いてから打つのとでは、結果はまったく違ったものになります。
 それでは全やニクラスのようにイメージ能力を上手に活用する具体策を紹介します。
 これは私が指導している数人のツアープロに毎日やってもらっている代表的なメンタルトレーニングの一つです。
 私が「映画を観るトレーニング」と呼んでいるもので、まずソファに座って目を閉じて大きく深呼吸。そして具体的なホールを描いてイメージの中でショットをします。ここで大切なことは最高のショットを描くことで、もしあなたがミスショットのシーンを描いてしまうと、脳はそのショットを記憶して実際のプレーでそのプログラムを作成してしまう可能性が高いからです。アメリカの高名な心理学者マックスウェル・マルツ博士が「人間の脳は、実際の出来事と現実と同じくらい鮮明に描いたイメージとの区別がつかない」といっているように、ミスショットのイメージは頭から消し去ることが大事なのです。
 次に素振りを交えて同じイメージトレーニングをします。自宅の部屋でやるわけですからクラブを持つ必要はありません。実際のアドレスをとり、目を閉じて最高のショットを脳裏に思い浮かべながら素振りします。より強く、理想の弾道で飛んでいくボールがイメージされ、脳は常にナイスショットのプログラムを作成。次のラウンドでこのイメージが生かされることになるでしょう。
 ゴルフ練習場での打球練習、コースでのラウンドに加えて、このイメージトレーニングを練習メニューに入れてください。あなたのゴルフに奇跡が起こるかもしれません。


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第77回佐渡充高のワールドツアーリポート

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ゴルフがオリンピック競技に復活か?運命の日(10月9日)が迫ってきた・・・


 2016年、ゴルフが五輪競技に復活するか否か、運命の日が迫ってきた。6月15日にスイスで開催された国際オリンピック委員会(IOC)の加盟審査会で競技復活を推進する国際ゴルフ連盟(IGF)が最後のプレゼンテーションを行った。
 五輪は世界で数十億人が視聴し、その影響は計り知れない。ゴルフが真のグローバルスポーツになるために復活は何としても果たせねばならない。加入申請をしているのはゴルフの他7競技団体(野球、空手、ソフトボール等)だ。
 8月13日の理事会で2競技に絞られ、10月9日の総会で過半数の賛成を獲得すれば正式種目として認められる。そうなれば男子は1904年セント・ルイス大会以来112年ぶり、女子は1900年パリ大会以来116年ぶりの復活ということになる。


オリンピックにおけるこれまでのゴルフの歴史はあまりにも乏しかった・・・


 これまでゴルフは五輪の正式種目として2回、付属競技として1回行われた。付属競技としては1936年のベルリン大会(昭和11年)で開催された。競技委員長だったアドルフ・ヒトラーが母国アーリア人の優秀さを示す場を設けるために「ヒトラー・カップ・アマチュア・ゴルフ・トーナメント」を行ったのだ。  
 女子のゴルフは1900年第2回パリ大会(明治33年)で初めて正式種目として認められた。パリ大会は女子の参加が初めて認められたことでも意味があった。同大会の参加は13の国と地域から総数1225人で、そのうち女子はわずか19人とされ、規模は昨年の北京五輪の10分の1といったところだ。
 女子ゴルフには10人が参加。競技は9ホールのストロークプレーで行われた。優勝は「49」でプレーした22歳の米国人マーガレット・アボットでゴルフ史上唯一の女子金メダリストとなった。
 というのも女子ゴルフが開催されたのはパリ大会のただ1回だけだったからだ。ちなみにアボットは留学でパリに滞在中で、競技が行われると知り参加。たまたま来ていた母メアリー(スコアは65で8位)も参加し、「同一年度、同一種目で親子出場」という五輪史上極めてまれな記録を残した。
 にもかかわらず、アボット母娘は快挙を達成していたことを知らずに他界。というのも、出場したのが“五輪”だったという認識がなかったのだ。パリ大会は同時期に世界万博が開催されていた影響で五輪自体が付属競技扱い。開会式も閉会式もなく、資料もほとんど残されていないほどずさんな大会だった。


ゴルフ復活の可能性は高い!その理由はこれまでの問題をすべて改善・・・


 ゴルフの五輪種目へ復活の可能性は?私は今回はかなり高いと思っている。これまでIGF(国際ゴルフ連盟)が尽力してきたが、ことごとく失敗。96年のアトランタ大会では復活目前まで迫っていたが開催コースをマスターズの舞台、オーガスタ・ナショナルGCに決めたことが失敗の理由だった。同コースは女性メンバーを認めておらず、性差別が残るコースでの開催は認められなかったのだ。
 2000年の「シドニーで復活を」をスローガンに豪州のグレッグ・ノーマンを前面に立てて再アピールしたが、これまた失敗。各国の最強メンバー、つまりトッププロの参加の保障ができなかったからだ。当時のIGFにはプロゴルフの団体が加盟しておらずプロゴルフツアーの日程のコントロールができなかったのだ。
 今回はこの2点を完璧なまでに改善。IGFは五輪復帰のために世界のプロゴルフツアーにも参加を呼びかけ、米、欧、豪、南ア、アジアPGAツアーと日本ゴルフツアー機構によるPGAツアー国際連盟を結成。プロゴルフツアーを統括する団体の協力を得たことでトッププロの日程を調整することも可能になった。
 タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンらトッププレーヤーも積極的に協力する意向だ。さらに今年の6月、中国、韓国プロゴルフ協会、インドPGAツアーと女子の米、欧、日、豪、韓、アジアのLPGAが加盟したことがゴルフの国際化と機会均等をアピールすることとなった。
 同連盟はアニカ・ソレンスタムとコリン・モンゴメリーを五輪大使に据え、今回の理事会でもスピーチ。ジャック・ニクラスはビデオメッセージで強く訴えるなど、かつてない最強のアピールを続けている。


5年後の男女同一コース開催の全米オープンはオリンピックのリハーサル・・・


 またIGFの中核となる米国ゴルフ協会(USGA)は主催する全米オープンの男女同一コース開催を発表した。2014年大会はノースカロライナ州パインハーストのナンバー2コースで男子の大会を開催し、翌週に女子の試合を開催する。他の多くの種目がそうであるように、ゴルフも男女が同一コースでの競技が可能であることを示す。あとは実際に開催することが五輪への最終調整で、今回はIOCから「NO」といわれる理由がないように徹底しているのだ。

ニューギアニューグッズ 2009年9月号

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200ヤードが得意になるユーティリティ

「ミズノJPXUT」

(ミズノ)

 ミズノは、170ヤードから200ヤードの距離がやさしく打てるユーティリティ「ミズノJPXUT」を発売。アベレージゴルファーがより球が上がりやすく打てるようにクラウン部を削り取ったような独特なヘッド形状「ドロップダウンクラウン」を採用し、ソール前方部にタングステン合金を配合したことで前モデルと比較して約2.5ミリの低重心化を実現。縦慣性モーメントにも優れ、インパクト時のヘッドのブレを抑え、力強い弾道でやさしく狙っていけるユーティリティになっている。シャフトはQUAD JPXUTカーボン。ロフト角19度の3U、22度の4U、25度の5U。価格は各29400円。
● TEL 0120-320-799


FW専用設計のウッドシリーズ

「フォーサイト“グランドドライバー”」

(ワークスゴルフ)

 ワークスゴルフは、アクティブなゴルファーの最強ギアをコンセプトにしたゴルフブランド「アクトワークス」より、多様化するニーズに応えるウッドシリーズ「フォーサイト」を発売した。フェアウェイでもドライバーの飛びを、という発想から生まれたフェアウェイ専用設計の「フォーサイト“グランドドライバー”」は、徹底した低重心化とFWでは最大の250cm3超ワイド&超シャローヘッドで最大の慣性モーメントを達成。ドライバーの飛びをスプーンのやさしさで使える究極の“ロング2オン兵器”。同13度の2番ウッドは“パワーブラッシー”として復活。超大型3番ウッドもラインナップ。新発売記念価格各1本29800円で発売中。
● TEL 0120-555-449


ダブルスピン性能のウェッジ

「イエスウェッジ」

(エムアイティインク)

 エムアイティインクは、ウェッジの中で最も長い82ミリのホーゼルによる高い重心位置設計でよりやさしくバックスピンがかかり、ロフト通りの飛距離でピンを攻めていける「イエスウェッジ(シルバー、ブラック)」を発売。軟鉄よりソフトなフィーリングのニッケルクロム鋼鍛造製法による優れた打感とフェース面とボールの摩擦を増加するCNC精密ミルドフェース0.1ミリのグルーヴがスピン性能を高めた“ダブルスピン性能”のウェッジ。クロムメッキ仕上げ。シャフトは専用のダイナミックゴールド。ロフト角52度、56度、60度をラインナップ。価格は16800円。
● TEL 03(3844)5168


選択できるシャフトがさらに充実

「FCT」カスタムシャフト

(テーラーメイドゴルフ)

 テーラーメイドゴルフは、クラブのロフト角、ライ角、フェース角の調整を可能にする独自の「フライト・コントロール・テクノロジー(FCT)」搭載クラブを対象に「FCT」カスタムシャフト販売を開始した。このサービスは「R9ドライバー」など各モデルを対象に「カスタムメイドクラブ」の一環として展開されるもので選択されたシャフトは希望の長さに調整し、「FCT」スリーブとグリップを装着した上で納品される。今回の販売では既存のシャフトラインナップに加え、360度コスメティック・シャフトを採用したオリジナル「MOTORE」を中心に充実したラインナップが用意されている。
● TEL 0120-558-562


飛距離性能抜群のニューシャフト

「ニュークレイジーブラック80」

(クレイジー)

 クレイジーのフラッグシップモデル「CB80LS」が新しく「NEWCB80」に生まれ変わった。前モデルの飛距離性能はそのままに、さらに捉まりがよく、さらに粘って弾く性能が特徴。ニューモデルは12?15層のカーボンを巻くことで構成されているが、各種のカーボンは80tフルレングスを中心に素晴らしいハーモニーを唱え、重厚でソリッドな打感と、インパクトの衝撃をものともせずフィニッシュまで猛然と加速していくスピード感は80tというジャジャ馬を乗りこなしたゴルファーだけが味わえる別世界の快感。相性が合うことと、虜になる覚悟が必要だが一度はチャレンジしたいシャフトだ。価格は78750円。
● TEL 03(3858)9012


PGAツアープロも愛用する練習機

「ザ・リトル・ワン」

(クリエイトプロダクト)

 USPGAツアーで多くのプロが使用している、注目の練習機「ザ・リトル・ワン」が日本上陸、クリエイトプロダクトから発売された。ヘッドがボール1個分ほどの極小で見た目は「本当に当るの?」と思われるが、ハーフスイング→クォータースイング→フルスイングと段階的に振りを大きくする練習を繰り返すと、集中力とスイングのテンポ、リズムが良くなり、通常のアイアンを打つとビックリするぐらいミート率が向上する。初心者から上級者まで幅広い層のゴルファーの上達に効果がある練習器具だ。ロフト角37度、長さ37.5インチ、420グラム。価格は16800円。
● TEL 03(3487)3255


ボディターンスイングが身に付く練習器

「ボディターン・マスター」

(タバタ)

 タバタは、ボディに装着して飛距離アップと安定したショットを身につけるスイング矯正のための練習用品「ボディターン・マスター」を発売。ゴルフ上達のポイントである肩・腕が身体の軸と同調したスイングの修得で、スライス病の解消、ミート率アップによる正確な方向性、力強いインパクトでの飛距離アップなどが自然に身に付く練習器具で、ドライバー、アイアンのフルショットからアプローチのハーフショット、パッティングの練習まで幅広いスイング練習に活用できる。アームホルダーのサイズは11段階に調整できるため一般成人男女、右打ち・左打ちに対応する。価格は6300円。
● TEL 0120-989-023


五十嵐雄二プロ使用のプロモデル

「09ProModelCaddieBag9.5」

(RomaRo)

 RomaRoのロアジャパンは、用品契約の五十嵐雄ニプロが8月のトーナメントから使用するキャディバッグ「09ProModelCaddieBag9.5」と「同SelfCaddieBag」を8月に発売する。上下のクラブの干渉を軽減するオリジナル口枠、移動時のクラブ同士の干渉を抑えるバジェットリードなどの機能を装備。プロやアスリート派ゴルファーが満足できる仕様となっている。9.5型はポーチ、ドリンクホルダー付き。カラーは両モデルともホワイト/ブラック、ブラック/ホワイト、ホワイト/スカイブルー、ホワイト/ピンクの4色展開。価格は9.5型55650円、セルフ型33600円。
● TEL 042(545)5555


高性能GPSによるゴルフナビ機器

「EAGLE VIEW」

(朝日ゴルフ用品)

 朝日ゴルフ用品は、高性能GPSにより目的地点までの距離を測定するゴルフGPS機器「EAGLE VIEW(イーグルビュー)」を8月初旬に発売する。飛距離測定機能、ハザード表示、グリーン表示などの機能に加え、「ゴルフを記録する」という新しいコンセプトのもと2300コース以上のデータ(地理データ監修・ゼンリンデータコム)によるコース戦略をポータルサイトとの連携(2009年秋公開予定)により可能とした。またゴルフ以外に使える機能も搭載。ゴルファーが楽しく利用できるゴルフナビ機器だ。本体重量は79.5グラム、バックライト付白黒液晶。ACアダプター、ベルト取り付け用専用ホルダーなど付き。オープン価格(予想実売価格24900円)。
● TEL 0120-83-1196


運動機能を着るウェア

「C3fitパフォーマンスロングタイツ」

(ゴールドウイン)

 ゴールドウインは、医療機器クラス?の効果、効能を持つ国内初のスポーツコンプレッションウェアの新ブランド「C3fitパフォーマンスロングタイツ」を発売。“運動機能を着るウェア”というコンセプトの下、着圧が身体機能・運動機能に働きかけ、身体全体をより良いコンディションに導き、あらゆる動きを快適にサポート。下半身に着用するタイツは足首から大腿部にかけて段階的に着圧を縮めることで血行促進、気持ちの良い着用感、無駄なエネルギーの発散を抑え、運動効率を高めるなどの効果が期待される。写真のメンズは9975円。カラーはブラック×グレー、サイズはS、M、L、XL。
● TEL 0120-307-560


2009年08月01日

医学講座■免疫臓器としての消化管における腸内細菌の関わり (3)

腸管内の"炎症の嵐"といわれる炎症性腸疾患(IBD)の病態と腸内細菌

大阪大学大学院医学系研究科
生体機能補完医学講座教授(医学博士) 
伊藤壽記


炎症性腸疾患の病態として代表的な潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)とは、どんな病気でどんな治療法があるのか。そして腸内細菌はどのような役割を果たすのか。


炎症反応と制御反応のトラブル

 これまで2回にわたって、消化管が免疫臓器として重要な働きをしていることを述べてきました。


 その中で、消化管(腸管)は免疫系が本来有する生体内で有害なものを排除する生体防禦機能の他に、生体にとって必要な栄養素などを積極的に取り込む経口免疫寛容(トレランス)という、他の免疫系にはない特有な機能を持っていることをお話しました。


 さらに、腸管における免疫系はその中で共生している腸内細菌と密に連携して、腸内環境に良い意味でも悪い意味でも影響を与えているのです。良い意味では、健康の維持に重要な働きをしており、悪い意味では、老化、薬物(抗生物質、抗ガン剤など)、疾病、食物やストレスなどの種々の要因で腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを、いわゆる“悪玉菌”に傾かせ、種々の病態を引き起こすということもお話しました。


 さて、われわれの腸管粘膜は、本来異物である、食事に含まれる各種の抗原や共生している腸内細菌に常にさらされています。しかし、これら抗原に対する過剰な免疫反応を制御する抑制系の免疫反応が働いていて、通常、腸管内は“負の免疫応答”の状態で維持されています。それは、炎症反応が車で言うところの“アクセル”であり、これを抑え込もうとする制御反応が“ブレーキ”に相当します。


 従って、われわれの腸内環境は通常、大きな事故を起こさぬよう、ゆるい下り坂を軽くブレーキをかけた状態で車を運転している状態と考えていただいたらよいと思います。


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 ところが、ある種の病態では、下り坂を“アクセル”を踏みっぱなしで“ブレーキ”が効かなくなった状態になります。これはまさに、腸管内で“炎症の嵐”が吹き荒れている状態で、炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)という特殊な病態です。この代表的な疾患として、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)があります。


年々増加するUCとCDの疾患

 IBDの病態のメカニズムについては、十分には分かっていませんが、遺伝的素因を背景にして、腸管での免疫異常が引き起こされ、腸管内の抗原などの環境要因に対して、過剰な免疫反応(炎症)が生じると考えられています。最近では、腸管における粘膜免疫、特に自然免疫の機序が解明されつつある中で、IBDの病態が食事に含まれている抗原に対してではなく、腸内細菌に対する異常な免疫(炎症)反応であろうとする考えが一般的です。


 マウスの実験による腸炎モデルにおいて、無菌状態で飼育すると腸炎は発症しないことや、IBD患者の炎症部の粘膜より分離した単核球が同一患者の腸内細菌に反応して増殖応答を示すことより、IBDの炎症には腸内細菌の関与が強く示唆されています。さらに、IBD患者の腸内フローラの解析では、悪玉菌が増え、善玉菌が減少していることが報告されています。


 UCおよびCDの両疾患は、原因不明の特定疾患として我が国では難病の指定を受けています。患者数はUCが9.5万人、CDが2.5万人とそんなに多くはありませんが、近年、生活習慣、特に食の欧米化に伴って増加しています。また、20歳前後の若年者に発症のピークがあり、症状が良くなってもまた悪くなったりと、緩解・増悪を繰り返し、大変厄介な病気です。その結果、仕事や日常生活が制限され、生活の質(QOL)が著しく低下します。


UCの病変と治療方法

 UCの病変は大腸のみに限られますが、病変進展部位により3つに分類されます(図1)。直腸に限局する直腸炎型(16.8%)、左側大腸炎型(41.4%)、全大腸炎型(33.5%)です。病期別には、活動期と緩解期に分け、症状の重さから軽症、中等症、重症、激症に分類されます。自覚症状としては、(粘)血便、下痢(血性下痢)がほとんどの例でみられます。炎症は腸粘膜だけに限られており、病変は連続性です。


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 治療については、厚労省研究班から治療指針が出されており、急性炎症を寛解(完治ではないが、臨床的に問題ない程度)へと導入する方法と、その状態を維持する方法とに分かれます。寛解導入には5?アミノサリチル酸製剤が第一選択であるが、無効例には副腎皮質ホルモンであるステロイドや免疫抑制剤が使われます。なお、ステロイドは副作用などのため寛解維持には使うべきでないと考えられています。


 また、上記の方法がすべて無効な場合に、我が国では白血球成分除去療法が保険で認められています。これは、ちょうど血液透析と同じように体外に血液を誘導して、白血球(顆粒球)を除去した後に体内に戻す方法です。


 劇症型、穿孔(腸に穴が開く)、コントロールできない大出血、中毒性巨大結腸症(重症例で、異常増殖した腸内細菌による敗血症や穿孔が起こる)や癌化した場合には手術が行われます。手術は結腸全摘が原則で、基本的には炎症が起こる結腸を除くことにより、完全寛解します。しかし、術後しばらくは排便回数が多いため、小腸(回腸)を折り重ねて“袋”(パウチ)をつくり、排便回数を減らそうとします。ところで、術後このパウチに炎症(パウチ膿炎)が起きることがあります。その原因は分かっていませんが、多くの場合、内科的治療でよくなります。


CDの病変と治療方法

 CDの病変は、口からお尻(肛門)までのすべての消化管に起こり得ます。病変進展部位により3つに分類されます(図2)。小腸型(33%)、小腸大腸型(45%)、大腸型(20%)です。CDは別名、限局性回腸炎と言われるように、小腸末端から25?30cmの回腸部に多く発症し、活動性(高度、中等度、軽度)と非活動性に分かれます。


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 炎症はUCと異なり、腸壁全層に及び、場合によってはその隣接する臓器・組織にも波及してトンネル(瘻孔)を形成して、その先端部で菌が増殖して膿瘍(うみのかたまり)をつくります(図3)。さらに、病変は非連続性で所々にスキップします。自覚症状は腹痛、下痢、体重減少、発熱、全身倦怠感、肛門部病変が主症状です。最近では肛門の衛生管理がすすみ、肛門周囲膿瘍や痔瘻などを経験することが減っていますが、若い人で治りにくい痔瘻があれば、まずCDを疑います。


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 治療についてはUC同様、厚労省研究班から治療指針が出されています。UCでは最終的に全結腸を切除すれば完全寛解しますが、CDには根治的療法はなく、QOLをいかに高めるかということになります。


 これまで我が国では栄養療法が、そして欧米では薬物療法が中心に行なわれてきました。栄養療法については経口摂取をストップして中心静脈栄養を行い、その後経腸栄養に切り替えて維持療法とします。


 また、薬物療法としては5?アミノサリチル酸製剤が第一選択ですが、無効例にはステロイドや免疫抑制製剤が使われます。しかし今世紀に入り、炎症を増悪させる液性因子(サイトカイン)ならびにそのレセプターを分子標的とした抗体が登場して、寛解導入率が改善し様相が一変しました。しかし、投与後に起こるアレルギー反応や、結核や日和見感染などに対する配慮が必要でIBD専門医による治療が必要となります。


 一方、外科治療については、炎症の繰り返しによって生じた高度の腸管狭窄、瘻孔形成(内瘻、外瘻)、出血、ガン化などが適応となりますが、ガンの場合以外、原則はたとえ病変が残っても腸切除を最小限にすることです。手術は根本的な治療ではなく、再手術、再々手術となる場合があります。その都度、腸管が短縮して、ついには短腸症候群となり、口からの栄養で生命を維持できなくなるからです。


 このように、UCならびにCDに対する治療について、寛解導入のための戦略はいろいろな方法がありますが、今後の課題としてはいかにして再燃を防ぐか、すなわち寛解維持に関する治療法の確立ということになりましょう。


 今までブラックボックスの中にあって、ほとんど分かっていなかった腸管粘膜の免疫機構が徐々に解明されている状況で、特に病態の根幹とも思われる腸内細菌との関わりを追求することにより、今後はその制御法の開発が期待されるところです。


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いとう としのり
昭和52年大阪大学医学部医学科卒業。同60年米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部外科留学、同61年テキサス大学ヒューストン校医学部外科(臓器移植・移植免疫)留学。平成2年大阪大学医学部外科学第一講座助手、同5年米国ウィスコンシン大学(臨床膵臓移植)Visiting Fellow、同8年大阪大学医学部外科第一講座講師、同9年大阪大学医学部外科第一講座助教授、同17年1月より大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座教授。主に、膵臓・膵島移植、膵疾患(特に膵ガン)に対する外科治療、炎症性腸疾患、補完代替医療に関する研究を行っている。

医学講座■免疫臓器としての消化管における腸内細菌の関わり (3)

腸管内の"炎症の嵐"といわれる炎症性腸疾患(IBD)の病態と腸内細菌

大阪大学大学院医学系研究科
生体機能補完医学講座教授(医学博士) 
伊藤壽記


炎症性腸疾患の病態として代表的な潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)とは、どんな病気でどんな治療法があるのか。そして腸内細菌はどのような役割を果たすのか。


炎症反応と制御反応のトラブル

 これまで2回にわたって、消化管が免疫臓器として重要な働きをしていることを述べてきました。


 その中で、消化管(腸管)は免疫系が本来有する生体内で有害なものを排除する生体防禦機能の他に、生体にとって必要な栄養素などを積極的に取り込む経口免疫寛容(トレランス)という、他の免疫系にはない特有な機能を持っていることをお話しました。


 さらに、腸管における免疫系はその中で共生している腸内細菌と密に連携して、腸内環境に良い意味でも悪い意味でも影響を与えているのです。良い意味では、健康の維持に重要な働きをしており、悪い意味では、老化、薬物(抗生物質、抗ガン剤など)、疾病、食物やストレスなどの種々の要因で腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを、いわゆる“悪玉菌”に傾かせ、種々の病態を引き起こすということもお話しました。


 さて、われわれの腸管粘膜は、本来異物である、食事に含まれる各種の抗原や共生している腸内細菌に常にさらされています。しかし、これら抗原に対する過剰な免疫反応を制御する抑制系の免疫反応が働いていて、通常、腸管内は“負の免疫応答”の状態で維持されています。それは、炎症反応が車で言うところの“アクセル”であり、これを抑え込もうとする制御反応が“ブレーキ”に相当します。


 従って、われわれの腸内環境は通常、大きな事故を起こさぬよう、ゆるい下り坂を軽くブレーキをかけた状態で車を運転している状態と考えていただいたらよいと思います。


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 ところが、ある種の病態では、下り坂を“アクセル”を踏みっぱなしで“ブレーキ”が効かなくなった状態になります。これはまさに、腸管内で“炎症の嵐”が吹き荒れている状態で、炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)という特殊な病態です。この代表的な疾患として、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)があります。


年々増加するUCとCDの疾患

 IBDの病態のメカニズムについては、十分には分かっていませんが、遺伝的素因を背景にして、腸管での免疫異常が引き起こされ、腸管内の抗原などの環境要因に対して、過剰な免疫反応(炎症)が生じると考えられています。最近では、腸管における粘膜免疫、特に自然免疫の機序が解明されつつある中で、IBDの病態が食事に含まれている抗原に対してではなく、腸内細菌に対する異常な免疫(炎症)反応であろうとする考えが一般的です。


 マウスの実験による腸炎モデルにおいて、無菌状態で飼育すると腸炎は発症しないことや、IBD患者の炎症部の粘膜より分離した単核球が同一患者の腸内細菌に反応して増殖応答を示すことより、IBDの炎症には腸内細菌の関与が強く示唆されています。さらに、IBD患者の腸内フローラの解析では、悪玉菌が増え、善玉菌が減少していることが報告されています。


 UCおよびCDの両疾患は、原因不明の特定疾患として我が国では難病の指定を受けています。患者数はUCが9.5万人、CDが2.5万人とそんなに多くはありませんが、近年、生活習慣、特に食の欧米化に伴って増加しています。また、20歳前後の若年者に発症のピークがあり、症状が良くなってもまた悪くなったりと、緩解・増悪を繰り返し、大変厄介な病気です。その結果、仕事や日常生活が制限され、生活の質(QOL)が著しく低下します。


UCの病変と治療方法

 UCの病変は大腸のみに限られますが、病変進展部位により3つに分類されます(図1)。直腸に限局する直腸炎型(16.8%)、左側大腸炎型(41.4%)、全大腸炎型(33.5%)です。病期別には、活動期と緩解期に分け、症状の重さから軽症、中等症、重症、激症に分類されます。自覚症状としては、(粘)血便、下痢(血性下痢)がほとんどの例でみられます。炎症は腸粘膜だけに限られており、病変は連続性です。


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 治療については、厚労省研究班から治療指針が出されており、急性炎症を寛解(完治ではないが、臨床的に問題ない程度)へと導入する方法と、その状態を維持する方法とに分かれます。寛解導入には5?アミノサリチル酸製剤が第一選択であるが、無効例には副腎皮質ホルモンであるステロイドや免疫抑制剤が使われます。なお、ステロイドは副作用などのため寛解維持には使うべきでないと考えられています。


 また、上記の方法がすべて無効な場合に、我が国では白血球成分除去療法が保険で認められています。これは、ちょうど血液透析と同じように体外に血液を誘導して、白血球(顆粒球)を除去した後に体内に戻す方法です。


 劇症型、穿孔(腸に穴が開く)、コントロールできない大出血、中毒性巨大結腸症(重症例で、異常増殖した腸内細菌による敗血症や穿孔が起こる)や癌化した場合には手術が行われます。手術は結腸全摘が原則で、基本的には炎症が起こる結腸を除くことにより、完全寛解します。しかし、術後しばらくは排便回数が多いため、小腸(回腸)を折り重ねて“袋”(パウチ)をつくり、排便回数を減らそうとします。ところで、術後このパウチに炎症(パウチ膿炎)が起きることがあります。その原因は分かっていませんが、多くの場合、内科的治療でよくなります。


CDの病変と治療方法

 CDの病変は、口からお尻(肛門)までのすべての消化管に起こり得ます。病変進展部位により3つに分類されます(図2)。小腸型(33%)、小腸大腸型(45%)、大腸型(20%)です。CDは別名、限局性回腸炎と言われるように、小腸末端から25?30cmの回腸部に多く発症し、活動性(高度、中等度、軽度)と非活動性に分かれます。


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 炎症はUCと異なり、腸壁全層に及び、場合によってはその隣接する臓器・組織にも波及してトンネル(瘻孔)を形成して、その先端部で菌が増殖して膿瘍(うみのかたまり)をつくります(図3)。さらに、病変は非連続性で所々にスキップします。自覚症状は腹痛、下痢、体重減少、発熱、全身倦怠感、肛門部病変が主症状です。最近では肛門の衛生管理がすすみ、肛門周囲膿瘍や痔瘻などを経験することが減っていますが、若い人で治りにくい痔瘻があれば、まずCDを疑います。


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 治療についてはUC同様、厚労省研究班から治療指針が出されています。UCでは最終的に全結腸を切除すれば完全寛解しますが、CDには根治的療法はなく、QOLをいかに高めるかということになります。


 これまで我が国では栄養療法が、そして欧米では薬物療法が中心に行なわれてきました。栄養療法については経口摂取をストップして中心静脈栄養を行い、その後経腸栄養に切り替えて維持療法とします。


 また、薬物療法としては5?アミノサリチル酸製剤が第一選択ですが、無効例にはステロイドや免疫抑制製剤が使われます。しかし今世紀に入り、炎症を増悪させる液性因子(サイトカイン)ならびにそのレセプターを分子標的とした抗体が登場して、寛解導入率が改善し様相が一変しました。しかし、投与後に起こるアレルギー反応や、結核や日和見感染などに対する配慮が必要でIBD専門医による治療が必要となります。


 一方、外科治療については、炎症の繰り返しによって生じた高度の腸管狭窄、瘻孔形成(内瘻、外瘻)、出血、ガン化などが適応となりますが、ガンの場合以外、原則はたとえ病変が残っても腸切除を最小限にすることです。手術は根本的な治療ではなく、再手術、再々手術となる場合があります。その都度、腸管が短縮して、ついには短腸症候群となり、口からの栄養で生命を維持できなくなるからです。


 このように、UCならびにCDに対する治療について、寛解導入のための戦略はいろいろな方法がありますが、今後の課題としてはいかにして再燃を防ぐか、すなわち寛解維持に関する治療法の確立ということになりましょう。


 今までブラックボックスの中にあって、ほとんど分かっていなかった腸管粘膜の免疫機構が徐々に解明されている状況で、特に病態の根幹とも思われる腸内細菌との関わりを追求することにより、今後はその制御法の開発が期待されるところです。


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いとう としのり
昭和52年大阪大学医学部医学科卒業。同60年米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部外科留学、同61年テキサス大学ヒューストン校医学部外科(臓器移植・移植免疫)留学。平成2年大阪大学医学部外科学第一講座助手、同5年米国ウィスコンシン大学(臨床膵臓移植)Visiting Fellow、同8年大阪大学医学部外科第一講座講師、同9年大阪大学医学部外科第一講座助教授、同17年1月より大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座教授。主に、膵臓・膵島移植、膵疾患(特に膵ガン)に対する外科治療、炎症性腸疾患、補完代替医療に関する研究を行っている。

医学講座■免疫臓器としての消化管における腸内細菌の関わり (3)

腸管内の"炎症の嵐"といわれる炎症性腸疾患(IBD)の病態と腸内細菌

大阪大学大学院医学系研究科
生体機能補完医学講座教授(医学博士) 
伊藤壽記


炎症性腸疾患の病態として代表的な潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)とは、どんな病気でどんな治療法があるのか。そして腸内細菌はどのような役割を果たすのか。


炎症反応と制御反応のトラブル

 これまで2回にわたって、消化管が免疫臓器として重要な働きをしていることを述べてきました。


 その中で、消化管(腸管)は免疫系が本来有する生体内で有害なものを排除する生体防禦機能の他に、生体にとって必要な栄養素などを積極的に取り込む経口免疫寛容(トレランス)という、他の免疫系にはない特有な機能を持っていることをお話しました。


 さらに、腸管における免疫系はその中で共生している腸内細菌と密に連携して、腸内環境に良い意味でも悪い意味でも影響を与えているのです。良い意味では、健康の維持に重要な働きをしており、悪い意味では、老化、薬物(抗生物質、抗ガン剤など)、疾病、食物やストレスなどの種々の要因で腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを、いわゆる“悪玉菌”に傾かせ、種々の病態を引き起こすということもお話しました。


 さて、われわれの腸管粘膜は、本来異物である、食事に含まれる各種の抗原や共生している腸内細菌に常にさらされています。しかし、これら抗原に対する過剰な免疫反応を制御する抑制系の免疫反応が働いていて、通常、腸管内は“負の免疫応答”の状態で維持されています。それは、炎症反応が車で言うところの“アクセル”であり、これを抑え込もうとする制御反応が“ブレーキ”に相当します。


 従って、われわれの腸内環境は通常、大きな事故を起こさぬよう、ゆるい下り坂を軽くブレーキをかけた状態で車を運転している状態と考えていただいたらよいと思います。


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 ところが、ある種の病態では、下り坂を“アクセル”を踏みっぱなしで“ブレーキ”が効かなくなった状態になります。これはまさに、腸管内で“炎症の嵐”が吹き荒れている状態で、炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)という特殊な病態です。この代表的な疾患として、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)があります。


年々増加するUCとCDの疾患

 IBDの病態のメカニズムについては、十分には分かっていませんが、遺伝的素因を背景にして、腸管での免疫異常が引き起こされ、腸管内の抗原などの環境要因に対して、過剰な免疫反応(炎症)が生じると考えられています。最近では、腸管における粘膜免疫、特に自然免疫の機序が解明されつつある中で、IBDの病態が食事に含まれている抗原に対してではなく、腸内細菌に対する異常な免疫(炎症)反応であろうとする考えが一般的です。


 マウスの実験による腸炎モデルにおいて、無菌状態で飼育すると腸炎は発症しないことや、IBD患者の炎症部の粘膜より分離した単核球が同一患者の腸内細菌に反応して増殖応答を示すことより、IBDの炎症には腸内細菌の関与が強く示唆されています。さらに、IBD患者の腸内フローラの解析では、悪玉菌が増え、善玉菌が減少していることが報告されています。


 UCおよびCDの両疾患は、原因不明の特定疾患として我が国では難病の指定を受けています。患者数はUCが9.5万人、CDが2.5万人とそんなに多くはありませんが、近年、生活習慣、特に食の欧米化に伴って増加しています。また、20歳前後の若年者に発症のピークがあり、症状が良くなってもまた悪くなったりと、緩解・増悪を繰り返し、大変厄介な病気です。その結果、仕事や日常生活が制限され、生活の質(QOL)が著しく低下します。


UCの病変と治療方法

 UCの病変は大腸のみに限られますが、病変進展部位により3つに分類されます(図1)。直腸に限局する直腸炎型(16.8%)、左側大腸炎型(41.4%)、全大腸炎型(33.5%)です。病期別には、活動期と緩解期に分け、症状の重さから軽症、中等症、重症、激症に分類されます。自覚症状としては、(粘)血便、下痢(血性下痢)がほとんどの例でみられます。炎症は腸粘膜だけに限られており、病変は連続性です。


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 治療については、厚労省研究班から治療指針が出されており、急性炎症を寛解(完治ではないが、臨床的に問題ない程度)へと導入する方法と、その状態を維持する方法とに分かれます。寛解導入には5?アミノサリチル酸製剤が第一選択であるが、無効例には副腎皮質ホルモンであるステロイドや免疫抑制剤が使われます。なお、ステロイドは副作用などのため寛解維持には使うべきでないと考えられています。


 また、上記の方法がすべて無効な場合に、我が国では白血球成分除去療法が保険で認められています。これは、ちょうど血液透析と同じように体外に血液を誘導して、白血球(顆粒球)を除去した後に体内に戻す方法です。


 劇症型、穿孔(腸に穴が開く)、コントロールできない大出血、中毒性巨大結腸症(重症例で、異常増殖した腸内細菌による敗血症や穿孔が起こる)や癌化した場合には手術が行われます。手術は結腸全摘が原則で、基本的には炎症が起こる結腸を除くことにより、完全寛解します。しかし、術後しばらくは排便回数が多いため、小腸(回腸)を折り重ねて“袋”(パウチ)をつくり、排便回数を減らそうとします。ところで、術後このパウチに炎症(パウチ膿炎)が起きることがあります。その原因は分かっていませんが、多くの場合、内科的治療でよくなります。


CDの病変と治療方法

 CDの病変は、口からお尻(肛門)までのすべての消化管に起こり得ます。病変進展部位により3つに分類されます(図2)。小腸型(33%)、小腸大腸型(45%)、大腸型(20%)です。CDは別名、限局性回腸炎と言われるように、小腸末端から25?30cmの回腸部に多く発症し、活動性(高度、中等度、軽度)と非活動性に分かれます。


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 炎症はUCと異なり、腸壁全層に及び、場合によってはその隣接する臓器・組織にも波及してトンネル(瘻孔)を形成して、その先端部で菌が増殖して膿瘍(うみのかたまり)をつくります(図3)。さらに、病変は非連続性で所々にスキップします。自覚症状は腹痛、下痢、体重減少、発熱、全身倦怠感、肛門部病変が主症状です。最近では肛門の衛生管理がすすみ、肛門周囲膿瘍や痔瘻などを経験することが減っていますが、若い人で治りにくい痔瘻があれば、まずCDを疑います。


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 治療についてはUC同様、厚労省研究班から治療指針が出されています。UCでは最終的に全結腸を切除すれば完全寛解しますが、CDには根治的療法はなく、QOLをいかに高めるかということになります。


 これまで我が国では栄養療法が、そして欧米では薬物療法が中心に行なわれてきました。栄養療法については経口摂取をストップして中心静脈栄養を行い、その後経腸栄養に切り替えて維持療法とします。


 また、薬物療法としては5?アミノサリチル酸製剤が第一選択ですが、無効例にはステロイドや免疫抑制製剤が使われます。しかし今世紀に入り、炎症を増悪させる液性因子(サイトカイン)ならびにそのレセプターを分子標的とした抗体が登場して、寛解導入率が改善し様相が一変しました。しかし、投与後に起こるアレルギー反応や、結核や日和見感染などに対する配慮が必要でIBD専門医による治療が必要となります。


 一方、外科治療については、炎症の繰り返しによって生じた高度の腸管狭窄、瘻孔形成(内瘻、外瘻)、出血、ガン化などが適応となりますが、ガンの場合以外、原則はたとえ病変が残っても腸切除を最小限にすることです。手術は根本的な治療ではなく、再手術、再々手術となる場合があります。その都度、腸管が短縮して、ついには短腸症候群となり、口からの栄養で生命を維持できなくなるからです。


 このように、UCならびにCDに対する治療について、寛解導入のための戦略はいろいろな方法がありますが、今後の課題としてはいかにして再燃を防ぐか、すなわち寛解維持に関する治療法の確立ということになりましょう。


 今までブラックボックスの中にあって、ほとんど分かっていなかった腸管粘膜の免疫機構が徐々に解明されている状況で、特に病態の根幹とも思われる腸内細菌との関わりを追求することにより、今後はその制御法の開発が期待されるところです。


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いとう としのり
昭和52年大阪大学医学部医学科卒業。同60年米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部外科留学、同61年テキサス大学ヒューストン校医学部外科(臓器移植・移植免疫)留学。平成2年大阪大学医学部外科学第一講座助手、同5年米国ウィスコンシン大学(臨床膵臓移植)Visiting Fellow、同8年大阪大学医学部外科第一講座講師、同9年大阪大学医学部外科第一講座助教授、同17年1月より大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座教授。主に、膵臓・膵島移植、膵疾患(特に膵ガン)に対する外科治療、炎症性腸疾患、補完代替医療に関する研究を行っている。