第76回佐渡充高のワールドツアーリポート

お騒がせプロ ジョン・デーリーが生まれ変わって米ツアーに復帰!
タイガー・ウッズが復帰したかと思ったら、フィル・ミケルソンが夫人の乳ガン発覚でツアーを長期離脱。セルヒオ・ガルシアは恋人(グレッグ・ノーマンの長女)との別離で絶不調・・・。
ツアーの危機。しかし”救世主“が求められる絶妙のタイミングでお騒がせ男ナンバーワンのジョン・デーリーが6月第2週から米ツアーに復帰した。
数々の素行が問題となって昨年の11月から半年間のツアー出場停止処分・・・
昨年11月、デーリーはツアーから2度目の出場停止処分を科せられた。その期間は半年と長く、重い裁定だった。それもそのはず、振り返れば昨年のデーリーの素行は半年の停止処分でも甘いと思えた。春には雨天で試合が中断している間にビールを飲み、当時のコーチだったブッチ・ハーモンが怒り心頭で破門。
プロモーションビデオに裸足にジーンズだけ(上半身裸)で登場。6月には試合のプロアマ戦でビールの缶をティー代わりに使ってショット。極めつけは10月末の事件だった。
バーでビールをしこたま飲んで泥酔。店の前で酔いつぶれて倒れている(本人は寝ていたというが)ところを警察が保護。一晩留置所ですごした。その際にオレンジ色の囚人服を着て撮られた写真がインターネットで一気に広がった。
髪はボサボサ、目は腫れ顔はむくみ、落ちぶれたメジャーチャンプの風情でしかなかった。度重なるトラブルにツアーも厳然たる処分を決めたのは当然のことだった。それにも懲りなかったのか、年末に出場した豪州オープンでプレー中に写真を撮ろうとしたファンのカメラを取り上げ、さらに投げて壊す事件を起こし、とうとう彼自身が壊れてしまった。
5キロのダイエットに成功。そしてウエアもファッショナブルに大変身・・・
ビールや清涼飲料水を暴飲、ハンバーガーやチョコレートを暴食、タバコを1日3箱。毎日恐ろしいほどの量を摂取する生活は健康に深刻な影響を及ぼしはじめていた。
そこで今年2月に腹腔鏡下胃緊縛手術(ラップバンド手術)を受けた。これは胃の入り口にシリコンのバンドを巻いて締めつけ、食事の摂取量を減らすダイエット法だ。術後は断酒して1日合計1200キロカロリーの食事を続け、3カ月で25キロ以上もの減量に成功した。
脂肪を除去する手術ではないので体型が激変というわけではないが、「トレーニングしないで痩せられるなんてラッキー!医療の進歩に感謝。動作がスムーズで毎日が快適、糖尿病や心臓病、高血圧など恐れていた肥満に伴う合併症のリスクは少し遠ざかった」と大喜びだ。
スリムになったデーリーはウエアにもこだわりはじめた。ロックミュージシャンのアリス・クーパーやシニアのドラコンチャンプであるボビー・ウィルソン着用で知られるラウドマウス社と契約。髪を短くして精悍な雰囲気、原色のシャツに超カラフル、時にはサイケデリックでスリムなスラックスと大変身。ファンからの好リアクションが嬉しく、さらに気分上々のようだ。
ゴルフもビジネスも好調。そして新恋人も出現。起死回生の復帰なるか・・・
心身のリフレッシュはゴルフにも好影響をもたらしている。米ツアーに出場できなかった期間は欧州ツアーに参戦、不調を払拭するキレ味を見せている。今年5月は欧州ツアー4試合に出場。欧州PGA選手権ではチップインを3回、そのうち1回はバンカーからイーグルを決め絶体絶命の状況から予選通過。
イタリアン・オープンでは2位タイに食い込む活躍。43歳の今もドライバーの飛距離は衰えを見せず、平均飛距離は310・69ヤード。スペイン出身で噂のビッグヒッター、26歳のアルバロ・キロスと同組でプレーし飛ばしの競演でギャラリーを湧かせた。
ダイエット手術などがデーリー再生をうながしたのは間違いないが、復活したい!という強い思いと猛練習あってのこと。欧州ツアーでの活躍はコーチのリック・スミスのアドバイスとオフに自宅のショートゲーム練習場で磨いた技の成果だった。
4度の離婚、アルコール依存症のリハビリ入院2度、ギャンブルでの損失が約60ミリオン(約60億円)…。波乱に満ちたデーリーの人生は少し穏やかに変化の時を迎えたようで、私生活ではアンナ・クラダキスさんという恋人と「今まで考えたこともなかった人生の目標を真剣に描いている」という。
ビジネスでもゴルフ場設計の他にデーリー・ブランドのレストラン業、ワインやバーベキュー(肉とソース)の販売など手広く行っている。お騒がせ事件を起こす反面、収益の一部を多くの団体に寄付するなどチャリティー活動を精力的に続けている。
ツアーに復帰してもシード権を持っていない状態なので参加は限られてしまう。しかし、91年の全米プロ選手権でツアー初優勝を挙げたときのような衝撃的な一撃でシード権を勝ち取り、43歳、起死回生のチャレンジを見せてほしい。



