第75回佐渡充高のワールドツアーリポート

タイガーも恐れる19歳のスーパーティーン。それがローリー・マキロイだ!
タイガー・ウッズの鮮烈優勝から12年。今年のマスターズは新たな時代の到来を感じさせた。17歳、18歳、19歳のスーパーティーン3人が初出場し、10代の選手3人という新しい風をトーナメントに吹き込んだのだ。
3人のスーパーティーンのうちの2人が17歳の石川遼と18歳のダニー・リーだ・・・
その中で最も若いのが17歳の日本の石川遼だ。15歳で日本ツアー史上最年少優勝。プロに転向してすでに2勝。米国でも人柄やルックスが評判を呼び“日本のセンセーション”として多くのメディアにこぞって紹介された。世界は大勢のメディアを引き連れる17歳の少年が今後どのような活躍をするのか興味津々だ。石川の人気拡大は今後の彼の言動や実績にかかっている。
アマで出場したのが18歳のダニー・リーだ。08年の全米アマでは18歳1カ月で優勝し、タイガーの最年少記録18歳7カ月を破るだけでなく、その後に出場した欧州ツアーでも18歳213日で優勝。71年のスペインオープンでデール・ヘイズが記録した18歳290日を更新し、アマでありながら最年少優勝記録を塗り替えた。
マスターズ後にプロ転向。米国ではプロ2戦目のクエールホロー選手権で予選通過を果たし大会3日目までは優勝を狙える位置にいた。韓国出身、ニュージーランド国籍で、彼のモットーは「絶対にあきらめない」こと。超アグレッシブなプレー、多彩なショートゲームを駆使し米国でも頭角を現すのは時間の問題だ。
もう1人はローリー・マキロイ。彼は3人の中でも別格。すでに欧州ツアーの星だ・・・
スーパーティーン3人の中ですでに頭角を現しているのが北アイルランドのローリー・マキロイだ。マスターズでも20位の大健闘で来年の出場権を獲得して違いを見せ付けた。マキロイは2歳でゴルフを始めた時にはすでに40ヤード飛ばしたという。初ホールインワン達成はわずか9歳だった。06年欧州アマに優勝、その資格で翌年の全英オープンに出場していきなり3位タイの活躍。これがマキロイの名を世界に轟かせる第一歩になった。
07年9月にプロに転向するや、2試合目で3位、3試合目で4位、4試合目でシード権を確定させた。当時18歳でのシード権獲得は史上最年少記録。今年の2月にはドバイ・デザート・クラシックでジャスティン・ローズ、ヘンリック・ステンソンら強豪を抑えて初優勝。後半の5連続バーディーは衝撃的だった。172位だった世界ランクがたった半年で16位へ急上昇。しかも欧州ツアーの平均ストロークは1位だった。
今年の2月から米ツアー挑戦。初戦の世界選手権マッチプレーは準々決勝まで進出する大健闘。負けた相手は優勝を果たしたジェフ・オーグルビーだった。今回の米ツアー挑戦は出場5試合全てトップ20位以内の好成績と大器の片鱗を見せた。
タイガーも「次世代のナンバーワンはマキロイだ。疑う余地はない」と大絶賛・・・
タイガーの復帰第一戦となった2月最終週開催の世界選手権マッチプレーの際、そのタイガーがマキロイのプレーを初めて見てこう言った。
「次世代のナンバーワンはローリー・マキロイだ。疑う余地はない。彼にはすべての才能が備わっている。あとは経験だけだ。僕が頑張っている間は世界一になってほしくないけどね(笑)」と最後は本音交じりのジョークを付け加えた。タイガーをティーン時代から知るマーク・オメーラも「19歳当時のタイガーより優れているように感じる」と述べている。パドレイグ・ハリントンのコーチであるボブ・トーランスもプレーを見て一言「凄い!」と驚いた。
同じ母国のダレン・クラークは自身が開催したジュニア・レッスン会に参加していた当時12歳のマキロイに会って強烈な印象を受けた。その出来事をマネージャーのアンドリュー・チャンドラー(通称チャビー)に興奮して話した。
それがきっかけでチャビーがマネージメントを引き受けることになった。彼は欧州スポーツ界のキーパーソンで選手たちの“兄貴”のような存在。彼の人柄を慕いゴルフではクラークの他にアーニー・エルス、リー・ウェストウッド、ジェローム・マクダウェルら多くのトッププロが全幅の信頼を置き、マネージメントを依頼している。
13年間、欧州ツアーで選手として活躍していた実績もあり、見極める目は鋭くて確か。そのチャビーが惚れこみ、大切に育ててきたのがマキロイなのだ。
欧州ツアー中心だが全米オープンは出場。タイガー、ミケルソンとの勝負が楽しみ・・・
米国PGAツアーのコミッショナー、ティム・フィンチャムもマキロイの人気と実力が魅力でマスターズ直後にさっそく「ぜひツアーのメンバーになって米国でプレーしてほしい」と熱烈ラブコールを送った。
前年の賞金ランク150位の獲得額を超えた段階で仮メンバーになる権利を得、出場が可能になる。選手なら誰もが望むトップツアーからの誘いだが、マキロイはチャビーと相談の上、断った。苦渋の決断だった。というのも、欧州ツアー中心のスケジュールが目一杯でスケジュールを調整しようが無かったのだ。
ただ、ビッグトーナメントには必ず出場する予定でマキロイの次の狙いは全米オープン。世界ランク1位のタイガー、2位のミケルソンとの勝負も楽しみだ。彗星のごとく現れたマキロイのプレーから今後、目が離せない。



