第58回メンタルゴルフ革命

重要なショット、そうでないショットというものはない
女子ツアーのメジャー第1戦「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」は、最終日、諸見里しのぶ、ポーラ・クリーマー、全美貞、福嶋晃子らによるデッドヒートとなり、最後は1打差まで迫られながらもリードを守りきった諸見里が優勝。ツアー4勝目(メジャー2勝目)を飾りました。
諸見里の勝因は、プレッシャーのかかった最終日のバックナインで1打1打丁寧にルーティンを行い、普段の自分のリズムを崩すことなく自分のゴルフに徹したことにありました。
最終18番ミドルホールを残して、すでにホールアウトしているクリーマー、同じ組の全、福嶋と諸見里との差は1打。攻めるのか守るのか。トーナメントリーダーとしてはティーグランドで平静を保つことが難しい局面です。しかし諸見里は冷静でした。それまでのティーショット同様、ゆったりとクラブを振り抜きフェアウェイをキープ。そして第2打をオンさせ、確実に2パットでカップに沈めてパー。一方、全と福嶋はやや強引なプレーとなった第2打でグリーンをとらえられず、結果的に追いつけなかったのです。
1打リードの心の余裕が諸見里に無理をしないプレーをさせたのに対し、全と福嶋にはバーディをとらないといけないという絶対条件がプレーの強引さ、力みとなりショットを狂わせたといえるでしょう。
百戦練磨のトッププロですら、こうしたケースではプレーリズムやショットの精度を狂わせてしまいがちです。ましてやアマチュアゴルファーが平常心を維持して、自分の信頼できるショットに徹するのは容易ではありません。たとえば生涯初のバーディチャンスを迎えたとき、それが特別なパットと感じ、ふだんどおりのリズムでストロークできなかった経験は誰しもがお持ちでしょう。
そこで考えてほしいのは、すべてのショットは等価だということです。重要なショットとそうでないショットというものはありません。多くのゴルファーはこれを錯角して、ときには集中力を切らしてなんでもないショットをミスしたり、あるいは過剰なプレッシャーを抱えて大叩きをしてしまったりするのです。つまり自分のゴルフに徹し切れないのですが、諸見里のようにスコアやライバルのことは一切忘れて、最高の心理状態で目の前のボールを打つことにただひたすら専念することが、持てる力をしっかり反映したスコアにつながるのです。
簡単にスコアを崩すことはあっても挽回することは至難のゲーム
どんな状況でもきっちりとルーティンを行い、平常心でアドレスに入り、自分が信頼できるショットを打つこと。このことを最優先課題にしてプレーしましょう。
たとえば、林からの脱出で、成功する確率の低いトラブルショットがうまく打てたときはやった!と天下を取ったような気分になるかもしれません。しかし冷静に考えてみればこれはギャンブルです。たいていの場合は失敗し、一瞬にして3打や4打もロスすることは珍しくありません。そんな大叩きが失望につながり、ゴルフの進歩を止めてしまうことになったりすると大変です。なぜならゴルフというゲームは簡単にスコアを崩すことはできても、それを挽回することは至難だからです。3打も4打もロスしたあとのホールで連続バーディを決めるといったことは大多数のゴルファーにはありえないでしょう。
力み、強引、そしてギャンブル。スコアメイクの最大の敵です。
対して平常心、自分のゴルフに徹する、今やるべきことに全力で取り組む―これが大切なメンタルスキルなのです。




