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2009年06月01日

2009年7月号 月刊スーパーゴルフ

2009年6月1日発行  Volume120


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【巻頭特集】
私たちが得意ショットの極意、教えます
金田久美子、森田理香子ほか5人の
女子プロゴルファー
ルーキーズ
フレッシュレッスン


【ギア特集】
新調、キャディバッグ
自分色にマッチする醍醐味を味わう


【ウェッジ探求】
CLEVELANDGOLF
伝統と革新そして日本専用モデルデビュー!


◆梅雨ゴルフ
自宅でできる練習器具、レッスンDVD
高機能レインウェアとお助けグッズ


【本当に力がつく連載レッスン】

◆ゴルフ専門トレーナー石渡俊彦プロの
ゴルフ上達のための“フィジカル&スキル”レッスン
<第8回>
ボールをしっかりつかまえるための手首の使い方編 (2)


◆カリスマコーチ増田哲仁プロの門外不出(秘)上達講座
<第61回>
上達のための(秘)練習法 (23)


◆シニアツアー界の飛ばし屋中尾豊健プロの
50歳からのぶっ飛ばしドライバーテクニック


【レディスROOM】

◆金谷智美プロの一から始めましょう
<第26回>
コースレッスン・パット編 (5)


【連載読物】

◆今月のサプライズ
杉原輝雄、世界タイの偉業


◆ゴルフの薬箱-いいゴルファーになるための心の指標- 鈴木康之


◆佐渡充高のワールドツアーリポート
タイガーも恐れる19歳のスーパーティーン
それがローリー・マキロイだ!


◆児玉光雄のメンタルゴルフ革命
重要なショット、そうでないショットというものはない


◆カリスマトレーナー摩季れい子先生の斬新レッスン
<第14回>トップ編 (3)


◆NEWギア&NEWグッズ


◆今月の売れ筋ランキング


◆賞賛されるクルマたち
VOLVO S80 2.5T SE


◆SUPER GOLF BOX


◆医学講座
腸内環境を保つ乳酸菌の新たな役割


◆情報BOX


◆読者プレゼント

第58回メンタルゴルフ革命

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重要なショット、そうでないショットというものはない


 女子ツアーのメジャー第1戦「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」は、最終日、諸見里しのぶ、ポーラ・クリーマー、全美貞、福嶋晃子らによるデッドヒートとなり、最後は1打差まで迫られながらもリードを守りきった諸見里が優勝。ツアー4勝目(メジャー2勝目)を飾りました。
 諸見里の勝因は、プレッシャーのかかった最終日のバックナインで1打1打丁寧にルーティンを行い、普段の自分のリズムを崩すことなく自分のゴルフに徹したことにありました。
 最終18番ミドルホールを残して、すでにホールアウトしているクリーマー、同じ組の全、福嶋と諸見里との差は1打。攻めるのか守るのか。トーナメントリーダーとしてはティーグランドで平静を保つことが難しい局面です。しかし諸見里は冷静でした。それまでのティーショット同様、ゆったりとクラブを振り抜きフェアウェイをキープ。そして第2打をオンさせ、確実に2パットでカップに沈めてパー。一方、全と福嶋はやや強引なプレーとなった第2打でグリーンをとらえられず、結果的に追いつけなかったのです。
 1打リードの心の余裕が諸見里に無理をしないプレーをさせたのに対し、全と福嶋にはバーディをとらないといけないという絶対条件がプレーの強引さ、力みとなりショットを狂わせたといえるでしょう。
 百戦練磨のトッププロですら、こうしたケースではプレーリズムやショットの精度を狂わせてしまいがちです。ましてやアマチュアゴルファーが平常心を維持して、自分の信頼できるショットに徹するのは容易ではありません。たとえば生涯初のバーディチャンスを迎えたとき、それが特別なパットと感じ、ふだんどおりのリズムでストロークできなかった経験は誰しもがお持ちでしょう。
 そこで考えてほしいのは、すべてのショットは等価だということです。重要なショットとそうでないショットというものはありません。多くのゴルファーはこれを錯角して、ときには集中力を切らしてなんでもないショットをミスしたり、あるいは過剰なプレッシャーを抱えて大叩きをしてしまったりするのです。つまり自分のゴルフに徹し切れないのですが、諸見里のようにスコアやライバルのことは一切忘れて、最高の心理状態で目の前のボールを打つことにただひたすら専念することが、持てる力をしっかり反映したスコアにつながるのです。


簡単にスコアを崩すことはあっても挽回することは至難のゲーム


 どんな状況でもきっちりとルーティンを行い、平常心でアドレスに入り、自分が信頼できるショットを打つこと。このことを最優先課題にしてプレーしましょう。
 たとえば、林からの脱出で、成功する確率の低いトラブルショットがうまく打てたときはやった!と天下を取ったような気分になるかもしれません。しかし冷静に考えてみればこれはギャンブルです。たいていの場合は失敗し、一瞬にして3打や4打もロスすることは珍しくありません。そんな大叩きが失望につながり、ゴルフの進歩を止めてしまうことになったりすると大変です。なぜならゴルフというゲームは簡単にスコアを崩すことはできても、それを挽回することは至難だからです。3打も4打もロスしたあとのホールで連続バーディを決めるといったことは大多数のゴルファーにはありえないでしょう。
 力み、強引、そしてギャンブル。スコアメイクの最大の敵です。
 対して平常心、自分のゴルフに徹する、今やるべきことに全力で取り組む―これが大切なメンタルスキルなのです。

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第75回佐渡充高のワールドツアーリポート

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タイガーも恐れる19歳のスーパーティーン。それがローリー・マキロイだ!

 タイガー・ウッズの鮮烈優勝から12年。今年のマスターズは新たな時代の到来を感じさせた。17歳、18歳、19歳のスーパーティーン3人が初出場し、10代の選手3人という新しい風をトーナメントに吹き込んだのだ。


3人のスーパーティーンのうちの2人が17歳の石川遼と18歳のダニー・リーだ・・・


 その中で最も若いのが17歳の日本の石川遼だ。15歳で日本ツアー史上最年少優勝。プロに転向してすでに2勝。米国でも人柄やルックスが評判を呼び“日本のセンセーション”として多くのメディアにこぞって紹介された。世界は大勢のメディアを引き連れる17歳の少年が今後どのような活躍をするのか興味津々だ。石川の人気拡大は今後の彼の言動や実績にかかっている。
 アマで出場したのが18歳のダニー・リーだ。08年の全米アマでは18歳1カ月で優勝し、タイガーの最年少記録18歳7カ月を破るだけでなく、その後に出場した欧州ツアーでも18歳213日で優勝。71年のスペインオープンでデール・ヘイズが記録した18歳290日を更新し、アマでありながら最年少優勝記録を塗り替えた。
 マスターズ後にプロ転向。米国ではプロ2戦目のクエールホロー選手権で予選通過を果たし大会3日目までは優勝を狙える位置にいた。韓国出身、ニュージーランド国籍で、彼のモットーは「絶対にあきらめない」こと。超アグレッシブなプレー、多彩なショートゲームを駆使し米国でも頭角を現すのは時間の問題だ。


もう1人はローリー・マキロイ。彼は3人の中でも別格。すでに欧州ツアーの星だ・・・


 スーパーティーン3人の中ですでに頭角を現しているのが北アイルランドのローリー・マキロイだ。マスターズでも20位の大健闘で来年の出場権を獲得して違いを見せ付けた。マキロイは2歳でゴルフを始めた時にはすでに40ヤード飛ばしたという。初ホールインワン達成はわずか9歳だった。06年欧州アマに優勝、その資格で翌年の全英オープンに出場していきなり3位タイの活躍。これがマキロイの名を世界に轟かせる第一歩になった。
 07年9月にプロに転向するや、2試合目で3位、3試合目で4位、4試合目でシード権を確定させた。当時18歳でのシード権獲得は史上最年少記録。今年の2月にはドバイ・デザート・クラシックでジャスティン・ローズ、ヘンリック・ステンソンら強豪を抑えて初優勝。後半の5連続バーディーは衝撃的だった。172位だった世界ランクがたった半年で16位へ急上昇。しかも欧州ツアーの平均ストロークは1位だった。
 今年の2月から米ツアー挑戦。初戦の世界選手権マッチプレーは準々決勝まで進出する大健闘。負けた相手は優勝を果たしたジェフ・オーグルビーだった。今回の米ツアー挑戦は出場5試合全てトップ20位以内の好成績と大器の片鱗を見せた。


タイガーも「次世代のナンバーワンはマキロイだ。疑う余地はない」と大絶賛・・・


 タイガーの復帰第一戦となった2月最終週開催の世界選手権マッチプレーの際、そのタイガーがマキロイのプレーを初めて見てこう言った。
「次世代のナンバーワンはローリー・マキロイだ。疑う余地はない。彼にはすべての才能が備わっている。あとは経験だけだ。僕が頑張っている間は世界一になってほしくないけどね(笑)」と最後は本音交じりのジョークを付け加えた。タイガーをティーン時代から知るマーク・オメーラも「19歳当時のタイガーより優れているように感じる」と述べている。パドレイグ・ハリントンのコーチであるボブ・トーランスもプレーを見て一言「凄い!」と驚いた。
 同じ母国のダレン・クラークは自身が開催したジュニア・レッスン会に参加していた当時12歳のマキロイに会って強烈な印象を受けた。その出来事をマネージャーのアンドリュー・チャンドラー(通称チャビー)に興奮して話した。
 それがきっかけでチャビーがマネージメントを引き受けることになった。彼は欧州スポーツ界のキーパーソンで選手たちの“兄貴”のような存在。彼の人柄を慕いゴルフではクラークの他にアーニー・エルス、リー・ウェストウッド、ジェローム・マクダウェルら多くのトッププロが全幅の信頼を置き、マネージメントを依頼している。
 13年間、欧州ツアーで選手として活躍していた実績もあり、見極める目は鋭くて確か。そのチャビーが惚れこみ、大切に育ててきたのがマキロイなのだ。


欧州ツアー中心だが全米オープンは出場。タイガー、ミケルソンとの勝負が楽しみ・・・


 米国PGAツアーのコミッショナー、ティム・フィンチャムもマキロイの人気と実力が魅力でマスターズ直後にさっそく「ぜひツアーのメンバーになって米国でプレーしてほしい」と熱烈ラブコールを送った。
 前年の賞金ランク150位の獲得額を超えた段階で仮メンバーになる権利を得、出場が可能になる。選手なら誰もが望むトップツアーからの誘いだが、マキロイはチャビーと相談の上、断った。苦渋の決断だった。というのも、欧州ツアー中心のスケジュールが目一杯でスケジュールを調整しようが無かったのだ。
 ただ、ビッグトーナメントには必ず出場する予定でマキロイの次の狙いは全米オープン。世界ランク1位のタイガー、2位のミケルソンとの勝負も楽しみだ。彗星のごとく現れたマキロイのプレーから今後、目が離せない。

ニューギアニューグッズ 2009年7月号

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リーズナブル価格のセット

「ミズノゼファー」

(ミズノ)

 ミズノは、男女のエントリーユーザーはもちろん価格にこだわるゴルファーを対象にしたリーズナブルな価格設定のシリーズ「ミズノゼファー」のウッド、アイアン、パターを発売。セット内容はドライバー、FWウッド(5W)、アイアン(7、9I、SW)、パターで価格はすべてオープンだが、予想店頭価格はセットで56490円前後。アイアン単品売りもあり、プレーするのに最低限必要な組み合わせでの購入が可能だ。ドライバーはコストを抑えたチタン合金を採用した4ピース構造。ロフト角は男性用10.5度、女性用13.5度。単品のFWウッド(3、7W)女性用は4、7W。ユーティリティウッド、アイアンは5Iからある。
●TEL 0120-320-799


飛びに悩む中高年にドラコンの飛び

「ハイパーブレードSV」

(ワークスゴルフ)

 ワークスゴルフは、飛びに悩む中高年やアベレージゴルファーが楽にドラコンの飛びを体験できるドライバー「ハイパーブレードSV」を発売。73歳にしてドラコン競技に参戦しているスーパーシニア国分佐久選手が300ヤード超えを連発して、その飛びを実証したドライバーで、ミスヒットや飛距離のバラつきを抑える「イコライゼーションフェース」を採用。広大なスイートエリアで強くまっすぐな弾道がやさしく打てる「ハイパートライアングルテクノロジー」を搭載。専用設計のワークテックハイパーSVカーボン装着で特別価格29800円。マミヤSPで10000円アップ。ドラコンアクシブ、ジャンボモデル仕様は各25000円アップ。
● TEL 0120-555-449


デカスプーンより飛ぶ2番ウッド

「メガ・ブラッシー」

(マルマン)

 マルマンは、驚異のデカ・スプーンとして人気の「メガ・シャトルシリーズ」より、2番ウッド「メガ・ブラッシー」を発売。フェアウェイの狭いホールのティショットやより確実に良いライにボールを運びタイトにグリーンを狙いたい、といった状況などで活躍が期待できる革新の“第2のドライバー”といえるフェアウェイウッド。デカ・スプーン(3W)より重心アングルが2度大きく、スポット高を1.5ミリ低く設計。つかまりがよく、低スピンのライナー弾道で飛距離がアップする。ロフト角は13度。シャトル専用TYPE-08Fシャフト装着、42.75インチ。42000円。
● TEL 03(5577)1140


ワイドソールのやさしさと飛び

「BOMBA(ボンバ)アイアン」

(リンクス)

 リンクスは、ワイドソールによる飛びとやさしさを追求した「BOMBA(ボンバ)アイアン」を発売。ボールが上がりやすく、ダフリが軽減するボンバウェッジの形状をそのまま取り入れたアイアンで、ソールを従来品に比べ2-3倍にワイド化したことでソールがよく滑りダフリを大幅に軽減。また中空構造のヘッドはフェース全体の反発力、慣性モーメントのアップで芯を外してもまっすぐ飛んでくれる他、シークレットソール設計を採用して構えにくさを解消しているのが特徴。軽量のPOWERTUNEカーボンシャフト装着で6本セット(5-9I、PW)95760円。NSプロ950GH(同)は74970円。
● TEL 079(232)7721


究極の弾道を叩き出すウッディアイアン

トライオン」

(日本ゴルフスクール)

 日本ゴルフスクールは、4番から8番までをウッドに近いユーティリティ型、9番以下はアイアンに近いヘッド形状のウッディアイアン「トライオン」を発売。ロフト角が5番で21度のスーパーストロングロフトによる2番手上の飛距離性能と中空構造によるワイドスイートエリアが2番手下の高弾道とミスショットの大幅な減少を実現。ロングホールや曲げたくない状況で思い切って振れ、どんなスイングタイプのゴルファーも容易にナイスショットが打てる。シャフトはヘッドが走り、打ち出し角が高い弾道が得られる軽量オリジナルカーボン。5本セット(7-9I、PW、AW)で52500円。単品(4-6I、AW-2)は各10500円。
● TEL 0120-120-994


ネバーコンプロマイズの最新パター

「NCX-RAY」

(クリーブランドゴルフ)

 クリーブランドゴルフは、パターブランド「ネバーコンプロマイズ」の最新モデル「NCX-RAY(エヌ・シー・エックス・レイ)」4機種を6月12日より発売する。フェース中央部に「サスペンデッド・フェーステクノロジー(SFT)」と呼ばれるポリマー樹脂と精密加工の金属素材を複合したインサートを装着。優れた方向性、ボールの順回転によるスムーズで安定した転がり、優れたフィーリングを実現。性能面の進化とともにブラック×レッド基調のカラーデザインに一新している。ブレードタイプの「TAU(タウ)」、マレットタイプの「BETA(ベータ)」「RAY(レイ)」は各18900円。日本専用モデルの「SIGMA(シグマ)」は23100円。
● TEL 0120-653-045


上級者向け日本限定モデル

「FJリールフィット・スピード」

(アクシネットジャパン)<フットジョイ>

 アクシネットジャパン<フットジョイ>は、上級者の速いスイングスピードに対応し、これを正確な方向性と威力あるショットへ導くことをテーマに開発された日本限定発売のゴルフシューズ「FJリールフィット・スピード」を発売。驚異的な安定性を発揮するGフォース・アウトソール、足と靴の確実な一体感を実現するBoaレーシングシステム、足へのカスタムフィットと快適性を実現する履き口へのメモリーフォームを装備。マルチウィズ(足幅)、3モデルでの展開で、カラーはホワイト/ブラックなど3色。オープン価格。
●TEL 03(5617)1525


プレミアム・ランバックス登場

「ランバックスBANGVOO」

(ムジーク)

 ムジークは、コストという制限を度外視して最高級のシャフトを開発するというコンセプトの元、シャフトメーカー最大手の藤倉ゴム技術チームが開発を担当した最高級シャフト「ランバックスBANGVOO(バンブー)」を発売。シャフト全長にしなりを素早く復元する優れた反発性能と強度を持つ弾性率70トンの超高弾性グラファイト素材とシリーズで初めて50トン高弾性グラファイトを織り込んだ3軸織物を使用。2軸平織りとの効果により、間が取りやすく、ヘッドの挙動が安定しながらインパクト時の超高速・反発力で最大飛距離性能を発揮する。ゴルファーの所有感をくすぐるプレミアムシャフト。価格は105000円。
●TEL 03(5980)8562


超軟シャフト付きトレーニングクラブ

「プロプレイ プラクティスウッド」

(国際興業)

 国際興業は、ニュージーランド生まれの革新的な練習器具「プロプレイフィッティングシステム」をより使いやすくするために、超軟シャフト付きのスイングトレーニングクラブ「プロプレイプラクティスクラブ・ウッド」「同アイアン」を発売。装着されているグリップとグローブのそれぞれにデザインされたラインやポイントを合わせて握ることにより、理想的で適正なグリップが身に付き、実際にボールを打つと、切り返しのタイミング、手打ちの防止、リズム感、ヘッドスピードのアップなど正しいスイングに導くようサポートしてくれる海外でも人気のアイテムだ。価格はオープン。
● TEL 03(3273)4043


人気のレーザー距離計に新色(シルバー)を追加

「レーザー350G」

(ニコンビジョン)

 ニコンビジョンは、簡単操作で初めてでも使いやすく、求めやすい価格設定で人気の携帯型レーザー距離計「レーザー350G」に新色のシルバーを追加発売した。アプローチショットでの距離の測定がしやすい独自開発の「近距離優先アルゴリズム」を搭載しているほか、高精度な測距、手ブレ影響の軽減、シリーズ最軽量の持ち運びに便利なコンパクトサイズ、防水構造などスコアアップに欠かせないアイテムである。価格は42000円。また同商品を購入すると、もれなくニコンオリジナルレーザー350G専用ソフトケースが貰える「グッド・チョイスキャンペーン」を6月28日まで実施中だ。
● TEL 03(3788)7691


医学講座■免疫臓器としての消化管における腸内細菌の関わり (2)

腸内環境を保つ乳酸菌の新たな役割

大阪大学大学院医学系研究科 生体機能補完医学講座教授(医学博士) 
伊藤壽記

        
「免疫」という重要な役割を果たす腸内細菌。善玉菌の代表・乳酸菌は、コレステロールの低下やピロリ菌の減少、歯周病・虫歯の予防、アレルギーの改善、発ガンの抑制など多くの働きがある。


500種類、100兆個の腸内細菌

 前回(5月号)、生体における最大の免疫系である消化管が、病原体などの有害なものを“正の免疫応答”で排除し、栄養素などの有益なものは“負の免疫応答(経口免疫寛容)”で積極的に取り込むという重要な働きをしていることをお話しました。


 今回はこうした免疫機構を維持するために、また免疫機構が破綻したことによる各種病態に、腸管内に生息する腸内細菌が深く関わっていることについてお話したいと思います。


 まず、腸内細菌についてご説明します。我々の体内に生息する腸内細菌は500種類、100兆個も存在し、重さにして実に1.0?1.5 kgに及ぶとされています。腸内細菌は体にとって、健康の維持に働く有用な菌(いわゆる“善球菌”)と有害な菌(“悪玉菌”)とから構成されており、通常、両者が一定の程よいバランスで生息し、細菌叢(腸内フローラ)を形成しています。そして、このバランスは老化、薬物(抗生物質、抗ガン剤など)、疾病、食物やストレスなどの種々の要因で変化し、“悪玉菌”の方に傾けて、健康を害することになります。


 “善球菌”には乳酸桿菌、乳酸球菌やビフィズス菌などの乳酸菌が代表的ですが、“悪玉菌”にはウェルシュ菌、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌などが挙げられます(図1)。


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 また、腸内細菌は消化管の中で、生息する部位によって、数や種類が異なります。小腸の胃に近い所(空腸)では腸内容1 g当たり104個、小腸の大腸に近い所(回腸)では、107個、大腸では1012個とお尻に近づくにつれ、数は増加し、またその性質も酸素を嫌う嫌気性菌が増えてきます(図2)。


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 前回お話したように、われわれ生体にとって異物であるはずの腸内細菌は、免疫系によって排除されることなく腸内という特殊な環境の中で生息、いやもっと正確に言うならば“共生”しているのです。これも免疫寛容という現象であり、ここにギブ・アンド・テイクの契約が成立しています。そして、我々の体の中で、こうした契約を結べる場所は腸管以外にはありません。


“善玉菌”と“悪玉菌”

 それでは、われわれの生体は腸内細菌に対して、何を与えて(ギブ)、その見返りに何をもらう(テイク)のでしょうか?


 腸内細菌も生き物ですから、当然エサが必要です。通常は食物の未消化の成分、すなわち残りかす(残飯)です。しかしながら、残りかすとはいえ、“善玉菌”と“悪玉菌”で好みが違います。一般に、前者は植物由来のものを、後者は動物由来のものをエサとしています。


 食物繊維(ファイバー)を好む“善球菌”である乳酸菌は、乳酸、酢酸や酪酸などの有機酸を生成し、腸内のpHを低下させて酸性にすることにより、腸管の動き(蠕動)を活発にして便通を促します。さらに、こうした酸性の腸内環境はアンモニア、インドールなどを産生する“悪玉菌”の繁殖を抑制して、腸内フローラのバランスを保っています。


 これまでの研究で小腸の乳酸桿菌や乳酸球菌FK-23にはインターフェロンを増やして免疫力を高める働きがあることが分かりました。一方、ストレスや体力の衰えた時には“悪玉菌”が優勢になり、免疫力が低下します。また、脂肪や肉(動物性タンパク質)が主体の欧米型の食事を好んで摂っていると、大腸ガンが出現しやすいと言われています。


 すなわち、脂肪をたくさん摂取すると、消化のために必要な胆汁酸が多く分泌され、胆汁酸をエサとする“悪玉菌”が盛んに増殖します。この“悪玉菌”の作用によって、胆汁酸から発ガン物質ができることが分かっています。


 また、動物性タンパク質を多く摂取すると、消化吸収しきれずに残ったタンパク質をエサにする“悪玉菌”が増えます。動物性タンパク質を構成するトリプトファンというアミノ酸からは、“悪玉菌”の作用で発ガン性物質のインドールが産生されます。


 内臓脂肪型の肥満を伴うメタボリックシンドロームは高血圧や糖尿病などの予備軍として、最近注目されていますが、同じような話として、メタボの方はそうでない方に比べて、明らかに大腸ガンにかかる率が高いことも判っています。おそらく、乳ガンや前立腺ガンも同様に欧米型のライフスタイルが関係すると考えられています。


 以上のように、ガンが生活習慣病といわれる所以であり、腸内フローラのバランスが崩れることにより、免疫力が低下して発ガンに対するリスクが増えることになるのです。さらに、老化、すなわち高齢になれば“悪玉菌”が増えることが知られています(図3)ので、発ガンのリスクは年とともに増大することになります。


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乳酸菌が持つさまざまな働き

 乳酸菌がもつ免疫賦活(活性化)効果は、発ガン防止のみならず“悪玉菌”がしばしばもたらす感染防御にも有利に働くと考えられます。


 乳酸菌に代表される“善玉菌”には、通常知られている、便秘や下痢を改善させる整腸作用の他に、これからお話するいくつかの新たな働きがあり、最近注目されています(図4)。


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 最初に、コレステロール低下作用があります。海外でのデータでは毎日発酵乳240mlを飲むと、1週間で血中コレステロール値が5?15%減少したが、止めると元に戻ったという報告があり、乳酸菌にコレステロール値を下げる働きがあることが分かりました。乳酸菌の中には消化液である胆汁に含まれている胆汁酸を吸着して便と一緒に排泄する作用があります。胆汁酸は肝臓でコレステロールから作られるので、減った胆汁酸を補うべく、コレステロールが消費されることになります。


 次は、胃・十二指腸潰瘍や胃ガンの原因となるヘリコバクターピロリ菌を減少させる作用です。LG21という乳酸菌を含んだヨーグルトを1日2回、90gを食間に8週間飲用すると、ピロリ菌保有者で、87%の人に改善効果を認め、31名中3名は除菌が可能であったと報告されています。同乳酸菌は胃酸に強い菌株で、かつ胃粘膜に強く粘着する性質を持っているようです。


 一般に、ピロリ菌の除菌には三剤併用療法(胃酸分泌阻害薬と2種類の抗生物質)が行われていますが、除菌率は70%ですが、LG21を併用すれば、80%になると言われています。この場合、さらに、除菌法に伴う吐き気や上腹部痛、食欲不振などの副作用の軽減にも有効であると報告されています。


 歯周病や虫歯に対する予防効果もあります。LS1という乳酸菌はジンジバリス菌などの歯周病菌に対して、殺菌効果を示します。しかし、乳酸を出しすぎて、口の中が酸性になって虫歯を助長しないかという心配がありますが、LS1はある程度乳酸をつくると自分が作った乳酸で死んでしまいます。最近、清掃剤(歯垢除去成分)に生きた乳酸菌(ラクトミン)を使用した薬用歯みがきが発売されています。また、歯周病と生活習慣病との関連が注目されています。歯周病対策を含むオーラルケアーの重要性が叫ばれています。


 血圧降下作用については、乳酸菌が乳製品中のたんぱく質を分解してできる「ラクトペプチド」という物質に血管の収縮を促進する酵素の働きを抑え、血圧を下げる効果のあることが分かりました。


 さらに、アトピー性皮膚炎、喘息や食物アレルギーなどのアレルギー疾患の早期予防と症状改善効果について、報告されています。アレルギー疾患の中でもアトピー性皮膚炎は近年とみに増えている疾患です。


 1985年米国でヒトの腸内からLGGという新しい乳酸菌が発見されました。この乳酸菌は酸に強く、生きたまま小腸まで到達して、小腸にある免疫細胞に働きかけることが知られています。そこで、フィンランドのグループがアトピー症状のある妊産婦159人に予定日の2週間前から出産後6カ月間、LGGとそのプラセボ(外見上見分けの付かない偽のカプセル)を投与したところ、LGGを服用した母親から生まれた子供のアトピー発症率は23%(64人中15人)と、プラセボ投与された場合の46%(68人中31人)に比較して明らかに改善したという結果が出たのです。


 したがって、この結果は乳酸菌がアレルギーを軽減できたことを示すとともに、母親が妊娠中にどのような食生活を送るかで、子供のアレルギー体質を軽減できる可能性を示した結果と考えられます。日本でもLGGやBラクティスBb-12を用いて、同様の結果が報告されています。


 最後に、赤ん坊の腸内細菌について補足したいと思います。母親の胎内では、胎児の腸内は無菌状態です。産道を通過する際に、まず母親の腸内にいた細菌の洗礼を受け、皮膚をはじめ、腸管、気道に住みつきます。当初は“悪玉菌”が多いのですが、母乳やミルクを飲み始めるとビフィズス菌が優勢を占めます。その後、離乳を境に腸内細菌の数も種類も増えることになります(図2)。


 赤ん坊は母親の腸内細菌を持ち込むことになりますので、例えば、母親がアトピーで免疫バランスが悪い腸内環境にあれば、その赤ん坊もまたアトピーを発症する可能性をもって生まれてくることになります。子供の免疫異常に関連する要因が、生まれてからの食生活だけでなく、生まれる前の母親の腸内環境にもあるということは興味深いことです。
       ×
 次回は、腸管での免疫寛容が破綻した特殊な病態である炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)についてお話したいと思います。


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いとう としのり
昭和52年大阪大学医学部医学科卒業。同60年米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部外科留学、同61年テキサス大学ヒューストン校医学部外科(臓器移植・移植免疫)留学。平成2年大阪大学医学部外科学第一講座助手、同5年米国ウィスコンシン大学(臨床膵臓移植)Visiting Fellow、同8年大阪大学医学部外科第一講座講師、同9年大阪大学医学部外科第一講座助教授、同17年1月より大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座教授。主に、膵臓・膵島移植、膵疾患(特に膵ガン)に対する外科治療、炎症性腸疾患、補完代替医療に関する研究を行っている。

医学講座■免疫臓器としての消化管における腸内細菌の関わり (2)

腸内環境を保つ乳酸菌の新たな役割

大阪大学大学院医学系研究科 生体機能補完医学講座教授(医学博士) 
伊藤壽記

        
「免疫」という重要な役割を果たす腸内細菌。善玉菌の代表・乳酸菌は、コレステロールの低下やピロリ菌の減少、歯周病・虫歯の予防、アレルギーの改善、発ガンの抑制など多くの働きがある。


500種類、100兆個の腸内細菌

 前回(5月号)、生体における最大の免疫系である消化管が、病原体などの有害なものを“正の免疫応答”で排除し、栄養素などの有益なものは“負の免疫応答(経口免疫寛容)”で積極的に取り込むという重要な働きをしていることをお話しました。


 今回はこうした免疫機構を維持するために、また免疫機構が破綻したことによる各種病態に、腸管内に生息する腸内細菌が深く関わっていることについてお話したいと思います。


 まず、腸内細菌についてご説明します。我々の体内に生息する腸内細菌は500種類、100兆個も存在し、重さにして実に1.0?1.5 kgに及ぶとされています。腸内細菌は体にとって、健康の維持に働く有用な菌(いわゆる“善球菌”)と有害な菌(“悪玉菌”)とから構成されており、通常、両者が一定の程よいバランスで生息し、細菌叢(腸内フローラ)を形成しています。そして、このバランスは老化、薬物(抗生物質、抗ガン剤など)、疾病、食物やストレスなどの種々の要因で変化し、“悪玉菌”の方に傾けて、健康を害することになります。


 “善球菌”には乳酸桿菌、乳酸球菌やビフィズス菌などの乳酸菌が代表的ですが、“悪玉菌”にはウェルシュ菌、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌などが挙げられます(図1)。


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 また、腸内細菌は消化管の中で、生息する部位によって、数や種類が異なります。小腸の胃に近い所(空腸)では腸内容1 g当たり104個、小腸の大腸に近い所(回腸)では、107個、大腸では1012個とお尻に近づくにつれ、数は増加し、またその性質も酸素を嫌う嫌気性菌が増えてきます(図2)。


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 前回お話したように、われわれ生体にとって異物であるはずの腸内細菌は、免疫系によって排除されることなく腸内という特殊な環境の中で生息、いやもっと正確に言うならば“共生”しているのです。これも免疫寛容という現象であり、ここにギブ・アンド・テイクの契約が成立しています。そして、我々の体の中で、こうした契約を結べる場所は腸管以外にはありません。


“善玉菌”と“悪玉菌”

 それでは、われわれの生体は腸内細菌に対して、何を与えて(ギブ)、その見返りに何をもらう(テイク)のでしょうか?


 腸内細菌も生き物ですから、当然エサが必要です。通常は食物の未消化の成分、すなわち残りかす(残飯)です。しかしながら、残りかすとはいえ、“善玉菌”と“悪玉菌”で好みが違います。一般に、前者は植物由来のものを、後者は動物由来のものをエサとしています。


 食物繊維(ファイバー)を好む“善球菌”である乳酸菌は、乳酸、酢酸や酪酸などの有機酸を生成し、腸内のpHを低下させて酸性にすることにより、腸管の動き(蠕動)を活発にして便通を促します。さらに、こうした酸性の腸内環境はアンモニア、インドールなどを産生する“悪玉菌”の繁殖を抑制して、腸内フローラのバランスを保っています。


 これまでの研究で小腸の乳酸桿菌や乳酸球菌FK-23にはインターフェロンを増やして免疫力を高める働きがあることが分かりました。一方、ストレスや体力の衰えた時には“悪玉菌”が優勢になり、免疫力が低下します。また、脂肪や肉(動物性タンパク質)が主体の欧米型の食事を好んで摂っていると、大腸ガンが出現しやすいと言われています。


 すなわち、脂肪をたくさん摂取すると、消化のために必要な胆汁酸が多く分泌され、胆汁酸をエサとする“悪玉菌”が盛んに増殖します。この“悪玉菌”の作用によって、胆汁酸から発ガン物質ができることが分かっています。


 また、動物性タンパク質を多く摂取すると、消化吸収しきれずに残ったタンパク質をエサにする“悪玉菌”が増えます。動物性タンパク質を構成するトリプトファンというアミノ酸からは、“悪玉菌”の作用で発ガン性物質のインドールが産生されます。


 内臓脂肪型の肥満を伴うメタボリックシンドロームは高血圧や糖尿病などの予備軍として、最近注目されていますが、同じような話として、メタボの方はそうでない方に比べて、明らかに大腸ガンにかかる率が高いことも判っています。おそらく、乳ガンや前立腺ガンも同様に欧米型のライフスタイルが関係すると考えられています。


 以上のように、ガンが生活習慣病といわれる所以であり、腸内フローラのバランスが崩れることにより、免疫力が低下して発ガンに対するリスクが増えることになるのです。さらに、老化、すなわち高齢になれば“悪玉菌”が増えることが知られています(図3)ので、発ガンのリスクは年とともに増大することになります。


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乳酸菌が持つさまざまな働き

 乳酸菌がもつ免疫賦活(活性化)効果は、発ガン防止のみならず“悪玉菌”がしばしばもたらす感染防御にも有利に働くと考えられます。


 乳酸菌に代表される“善玉菌”には、通常知られている、便秘や下痢を改善させる整腸作用の他に、これからお話するいくつかの新たな働きがあり、最近注目されています(図4)。


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 最初に、コレステロール低下作用があります。海外でのデータでは毎日発酵乳240mlを飲むと、1週間で血中コレステロール値が5?15%減少したが、止めると元に戻ったという報告があり、乳酸菌にコレステロール値を下げる働きがあることが分かりました。乳酸菌の中には消化液である胆汁に含まれている胆汁酸を吸着して便と一緒に排泄する作用があります。胆汁酸は肝臓でコレステロールから作られるので、減った胆汁酸を補うべく、コレステロールが消費されることになります。


 次は、胃・十二指腸潰瘍や胃ガンの原因となるヘリコバクターピロリ菌を減少させる作用です。LG21という乳酸菌を含んだヨーグルトを1日2回、90gを食間に8週間飲用すると、ピロリ菌保有者で、87%の人に改善効果を認め、31名中3名は除菌が可能であったと報告されています。同乳酸菌は胃酸に強い菌株で、かつ胃粘膜に強く粘着する性質を持っているようです。


 一般に、ピロリ菌の除菌には三剤併用療法(胃酸分泌阻害薬と2種類の抗生物質)が行われていますが、除菌率は70%ですが、LG21を併用すれば、80%になると言われています。この場合、さらに、除菌法に伴う吐き気や上腹部痛、食欲不振などの副作用の軽減にも有効であると報告されています。


 歯周病や虫歯に対する予防効果もあります。LS1という乳酸菌はジンジバリス菌などの歯周病菌に対して、殺菌効果を示します。しかし、乳酸を出しすぎて、口の中が酸性になって虫歯を助長しないかという心配がありますが、LS1はある程度乳酸をつくると自分が作った乳酸で死んでしまいます。最近、清掃剤(歯垢除去成分)に生きた乳酸菌(ラクトミン)を使用した薬用歯みがきが発売されています。また、歯周病と生活習慣病との関連が注目されています。歯周病対策を含むオーラルケアーの重要性が叫ばれています。


 血圧降下作用については、乳酸菌が乳製品中のたんぱく質を分解してできる「ラクトペプチド」という物質に血管の収縮を促進する酵素の働きを抑え、血圧を下げる効果のあることが分かりました。


 さらに、アトピー性皮膚炎、喘息や食物アレルギーなどのアレルギー疾患の早期予防と症状改善効果について、報告されています。アレルギー疾患の中でもアトピー性皮膚炎は近年とみに増えている疾患です。


 1985年米国でヒトの腸内からLGGという新しい乳酸菌が発見されました。この乳酸菌は酸に強く、生きたまま小腸まで到達して、小腸にある免疫細胞に働きかけることが知られています。そこで、フィンランドのグループがアトピー症状のある妊産婦159人に予定日の2週間前から出産後6カ月間、LGGとそのプラセボ(外見上見分けの付かない偽のカプセル)を投与したところ、LGGを服用した母親から生まれた子供のアトピー発症率は23%(64人中15人)と、プラセボ投与された場合の46%(68人中31人)に比較して明らかに改善したという結果が出たのです。


 したがって、この結果は乳酸菌がアレルギーを軽減できたことを示すとともに、母親が妊娠中にどのような食生活を送るかで、子供のアレルギー体質を軽減できる可能性を示した結果と考えられます。日本でもLGGやBラクティスBb-12を用いて、同様の結果が報告されています。


 最後に、赤ん坊の腸内細菌について補足したいと思います。母親の胎内では、胎児の腸内は無菌状態です。産道を通過する際に、まず母親の腸内にいた細菌の洗礼を受け、皮膚をはじめ、腸管、気道に住みつきます。当初は“悪玉菌”が多いのですが、母乳やミルクを飲み始めるとビフィズス菌が優勢を占めます。その後、離乳を境に腸内細菌の数も種類も増えることになります(図2)。


 赤ん坊は母親の腸内細菌を持ち込むことになりますので、例えば、母親がアトピーで免疫バランスが悪い腸内環境にあれば、その赤ん坊もまたアトピーを発症する可能性をもって生まれてくることになります。子供の免疫異常に関連する要因が、生まれてからの食生活だけでなく、生まれる前の母親の腸内環境にもあるということは興味深いことです。
       ×
 次回は、腸管での免疫寛容が破綻した特殊な病態である炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)についてお話したいと思います。


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いとう としのり
昭和52年大阪大学医学部医学科卒業。同60年米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部外科留学、同61年テキサス大学ヒューストン校医学部外科(臓器移植・移植免疫)留学。平成2年大阪大学医学部外科学第一講座助手、同5年米国ウィスコンシン大学(臨床膵臓移植)Visiting Fellow、同8年大阪大学医学部外科第一講座講師、同9年大阪大学医学部外科第一講座助教授、同17年1月より大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座教授。主に、膵臓・膵島移植、膵疾患(特に膵ガン)に対する外科治療、炎症性腸疾患、補完代替医療に関する研究を行っている。

医学講座■免疫臓器としての消化管における腸内細菌の関わり (2)

腸内環境を保つ乳酸菌の新たな役割

大阪大学大学院医学系研究科 生体機能補完医学講座教授(医学博士) 
伊藤壽記

        
「免疫」という重要な役割を果たす腸内細菌。善玉菌の代表・乳酸菌は、コレステロールの低下やピロリ菌の減少、歯周病・虫歯の予防、アレルギーの改善、発ガンの抑制など多くの働きがある。


500種類、100兆個の腸内細菌

 前回(5月号)、生体における最大の免疫系である消化管が、病原体などの有害なものを“正の免疫応答”で排除し、栄養素などの有益なものは“負の免疫応答(経口免疫寛容)”で積極的に取り込むという重要な働きをしていることをお話しました。


 今回はこうした免疫機構を維持するために、また免疫機構が破綻したことによる各種病態に、腸管内に生息する腸内細菌が深く関わっていることについてお話したいと思います。


 まず、腸内細菌についてご説明します。我々の体内に生息する腸内細菌は500種類、100兆個も存在し、重さにして実に1.0?1.5 kgに及ぶとされています。腸内細菌は体にとって、健康の維持に働く有用な菌(いわゆる“善球菌”)と有害な菌(“悪玉菌”)とから構成されており、通常、両者が一定の程よいバランスで生息し、細菌叢(腸内フローラ)を形成しています。そして、このバランスは老化、薬物(抗生物質、抗ガン剤など)、疾病、食物やストレスなどの種々の要因で変化し、“悪玉菌”の方に傾けて、健康を害することになります。


 “善球菌”には乳酸桿菌、乳酸球菌やビフィズス菌などの乳酸菌が代表的ですが、“悪玉菌”にはウェルシュ菌、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌などが挙げられます(図1)。


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 また、腸内細菌は消化管の中で、生息する部位によって、数や種類が異なります。小腸の胃に近い所(空腸)では腸内容1 g当たり104個、小腸の大腸に近い所(回腸)では、107個、大腸では1012個とお尻に近づくにつれ、数は増加し、またその性質も酸素を嫌う嫌気性菌が増えてきます(図2)。


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 前回お話したように、われわれ生体にとって異物であるはずの腸内細菌は、免疫系によって排除されることなく腸内という特殊な環境の中で生息、いやもっと正確に言うならば“共生”しているのです。これも免疫寛容という現象であり、ここにギブ・アンド・テイクの契約が成立しています。そして、我々の体の中で、こうした契約を結べる場所は腸管以外にはありません。


“善玉菌”と“悪玉菌”

 それでは、われわれの生体は腸内細菌に対して、何を与えて(ギブ)、その見返りに何をもらう(テイク)のでしょうか?


 腸内細菌も生き物ですから、当然エサが必要です。通常は食物の未消化の成分、すなわち残りかす(残飯)です。しかしながら、残りかすとはいえ、“善玉菌”と“悪玉菌”で好みが違います。一般に、前者は植物由来のものを、後者は動物由来のものをエサとしています。


 食物繊維(ファイバー)を好む“善球菌”である乳酸菌は、乳酸、酢酸や酪酸などの有機酸を生成し、腸内のpHを低下させて酸性にすることにより、腸管の動き(蠕動)を活発にして便通を促します。さらに、こうした酸性の腸内環境はアンモニア、インドールなどを産生する“悪玉菌”の繁殖を抑制して、腸内フローラのバランスを保っています。


 これまでの研究で小腸の乳酸桿菌や乳酸球菌FK-23にはインターフェロンを増やして免疫力を高める働きがあることが分かりました。一方、ストレスや体力の衰えた時には“悪玉菌”が優勢になり、免疫力が低下します。また、脂肪や肉(動物性タンパク質)が主体の欧米型の食事を好んで摂っていると、大腸ガンが出現しやすいと言われています。


 すなわち、脂肪をたくさん摂取すると、消化のために必要な胆汁酸が多く分泌され、胆汁酸をエサとする“悪玉菌”が盛んに増殖します。この“悪玉菌”の作用によって、胆汁酸から発ガン物質ができることが分かっています。


 また、動物性タンパク質を多く摂取すると、消化吸収しきれずに残ったタンパク質をエサにする“悪玉菌”が増えます。動物性タンパク質を構成するトリプトファンというアミノ酸からは、“悪玉菌”の作用で発ガン性物質のインドールが産生されます。


 内臓脂肪型の肥満を伴うメタボリックシンドロームは高血圧や糖尿病などの予備軍として、最近注目されていますが、同じような話として、メタボの方はそうでない方に比べて、明らかに大腸ガンにかかる率が高いことも判っています。おそらく、乳ガンや前立腺ガンも同様に欧米型のライフスタイルが関係すると考えられています。


 以上のように、ガンが生活習慣病といわれる所以であり、腸内フローラのバランスが崩れることにより、免疫力が低下して発ガンに対するリスクが増えることになるのです。さらに、老化、すなわち高齢になれば“悪玉菌”が増えることが知られています(図3)ので、発ガンのリスクは年とともに増大することになります。


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乳酸菌が持つさまざまな働き

 乳酸菌がもつ免疫賦活(活性化)効果は、発ガン防止のみならず“悪玉菌”がしばしばもたらす感染防御にも有利に働くと考えられます。


 乳酸菌に代表される“善玉菌”には、通常知られている、便秘や下痢を改善させる整腸作用の他に、これからお話するいくつかの新たな働きがあり、最近注目されています(図4)。


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 最初に、コレステロール低下作用があります。海外でのデータでは毎日発酵乳240mlを飲むと、1週間で血中コレステロール値が5?15%減少したが、止めると元に戻ったという報告があり、乳酸菌にコレステロール値を下げる働きがあることが分かりました。乳酸菌の中には消化液である胆汁に含まれている胆汁酸を吸着して便と一緒に排泄する作用があります。胆汁酸は肝臓でコレステロールから作られるので、減った胆汁酸を補うべく、コレステロールが消費されることになります。


 次は、胃・十二指腸潰瘍や胃ガンの原因となるヘリコバクターピロリ菌を減少させる作用です。LG21という乳酸菌を含んだヨーグルトを1日2回、90gを食間に8週間飲用すると、ピロリ菌保有者で、87%の人に改善効果を認め、31名中3名は除菌が可能であったと報告されています。同乳酸菌は胃酸に強い菌株で、かつ胃粘膜に強く粘着する性質を持っているようです。


 一般に、ピロリ菌の除菌には三剤併用療法(胃酸分泌阻害薬と2種類の抗生物質)が行われていますが、除菌率は70%ですが、LG21を併用すれば、80%になると言われています。この場合、さらに、除菌法に伴う吐き気や上腹部痛、食欲不振などの副作用の軽減にも有効であると報告されています。


 歯周病や虫歯に対する予防効果もあります。LS1という乳酸菌はジンジバリス菌などの歯周病菌に対して、殺菌効果を示します。しかし、乳酸を出しすぎて、口の中が酸性になって虫歯を助長しないかという心配がありますが、LS1はある程度乳酸をつくると自分が作った乳酸で死んでしまいます。最近、清掃剤(歯垢除去成分)に生きた乳酸菌(ラクトミン)を使用した薬用歯みがきが発売されています。また、歯周病と生活習慣病との関連が注目されています。歯周病対策を含むオーラルケアーの重要性が叫ばれています。


 血圧降下作用については、乳酸菌が乳製品中のたんぱく質を分解してできる「ラクトペプチド」という物質に血管の収縮を促進する酵素の働きを抑え、血圧を下げる効果のあることが分かりました。


 さらに、アトピー性皮膚炎、喘息や食物アレルギーなどのアレルギー疾患の早期予防と症状改善効果について、報告されています。アレルギー疾患の中でもアトピー性皮膚炎は近年とみに増えている疾患です。


 1985年米国でヒトの腸内からLGGという新しい乳酸菌が発見されました。この乳酸菌は酸に強く、生きたまま小腸まで到達して、小腸にある免疫細胞に働きかけることが知られています。そこで、フィンランドのグループがアトピー症状のある妊産婦159人に予定日の2週間前から出産後6カ月間、LGGとそのプラセボ(外見上見分けの付かない偽のカプセル)を投与したところ、LGGを服用した母親から生まれた子供のアトピー発症率は23%(64人中15人)と、プラセボ投与された場合の46%(68人中31人)に比較して明らかに改善したという結果が出たのです。


 したがって、この結果は乳酸菌がアレルギーを軽減できたことを示すとともに、母親が妊娠中にどのような食生活を送るかで、子供のアレルギー体質を軽減できる可能性を示した結果と考えられます。日本でもLGGやBラクティスBb-12を用いて、同様の結果が報告されています。


 最後に、赤ん坊の腸内細菌について補足したいと思います。母親の胎内では、胎児の腸内は無菌状態です。産道を通過する際に、まず母親の腸内にいた細菌の洗礼を受け、皮膚をはじめ、腸管、気道に住みつきます。当初は“悪玉菌”が多いのですが、母乳やミルクを飲み始めるとビフィズス菌が優勢を占めます。その後、離乳を境に腸内細菌の数も種類も増えることになります(図2)。


 赤ん坊は母親の腸内細菌を持ち込むことになりますので、例えば、母親がアトピーで免疫バランスが悪い腸内環境にあれば、その赤ん坊もまたアトピーを発症する可能性をもって生まれてくることになります。子供の免疫異常に関連する要因が、生まれてからの食生活だけでなく、生まれる前の母親の腸内環境にもあるということは興味深いことです。
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 次回は、腸管での免疫寛容が破綻した特殊な病態である炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)についてお話したいと思います。


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いとう としのり
昭和52年大阪大学医学部医学科卒業。同60年米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部外科留学、同61年テキサス大学ヒューストン校医学部外科(臓器移植・移植免疫)留学。平成2年大阪大学医学部外科学第一講座助手、同5年米国ウィスコンシン大学(臨床膵臓移植)Visiting Fellow、同8年大阪大学医学部外科第一講座講師、同9年大阪大学医学部外科第一講座助教授、同17年1月より大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座教授。主に、膵臓・膵島移植、膵疾患(特に膵ガン)に対する外科治療、炎症性腸疾患、補完代替医療に関する研究を行っている。