第74回佐渡充高のワールドツアーリポート

タイガーの復活優勝で決戦を待ち望むミケルソンとの舞台は整った・・・
タイガー・ウッズは復帰3戦目のパーマー招待で今季初優勝、通算66勝目を飾った。早朝の雷雨でスタート時間が1時間50分も遅れ、最終組のタイガーが最終18番グリーンに辿り着いたときには日没の7時44分を過ぎ、暗闇が迫っていた。
5メートルのバーディーパットを決めればタイガー優勝、外せば翌日のプレーオフという土壇場の状況。タイガーは強めにど真ん中から決め、世界ランク1位の違いを見せつけた。久しぶりのドラマティックな幕切れにギャラリーは歓喜の大拍手、ホストのパーマーは目を細め、タイガーをハグして祝福した。
タイガーの復活Vを誰より喜んだのは不仲説が飛び交うライバルのミケルソンだ・・・
タイガーの復活Vを誰よりも喜んだ選手は今季すでに2勝し世界ランク2位に浮上したフィル・ミケルソン(38)だ。96年にタイガーがプロデビューして以来ミケルソンはライバル心を抱き続けてきたが、その思いをさらに強くする事件が昨年起こったのだ。
タイガーのキャディー、スティーブ・ウイリアムスが「フィルはコースで会っても私に対し一度も挨拶をしたことがない。あんな失礼な人間はいない」と公の場で話したのだった。普段からこういった発言をする人物ならともかく、彼は平素からタイガーについての些細なコメントもしたことがないほど自分の立場をわきまえていると評されているだけにメディアは驚いた。
また発言がゴルフ界でタブーになりがちだった二人の不仲説を裏付ける内容だったために瞬く間に全世界をかけめぐった。つまり、パンドラの箱を開けてしまったのだ。当然ながらミケルソンの耳にも届いた。激怒するのかと思われたが、この件に関してはノーコメントを貫いている。
そこから感じるのは怒りの感情を押し殺して胸の中に封じ込め、ゴルフで真っ向勝負してケリをつけてやろうという思いなのだ。
タイガーが左膝の手術とリハビリを終え8カ月半ぶりに復帰したのは2月の世界選手権マッチプレーだった。本人は「膝はまったく問題ない。勝てないと思ったら復帰はしない」と豪語していたが、結局2回戦でティム・クラークに敗れ、ミケルソンとの対戦はお預けとなった。
次の世界選手権CAチャンピオンシップでもタイガーは「ショートゲームがシャープさに欠ける」と優勝のミケルソンを脅かす存在にはなれずに終わった。一騎打ちで打倒タイガーを狙うミケルソンとしてはタイガーが本調子でないことがもどかしく、今回の優勝でようやく舞台が整ったというわけだ。
今季のミケルソンはフェアウエーキープ率、飛距離がアップしてさらに進化・・・
今季のミケルソンはさらに進化している。課題のフェアウエーキープ率が上がり、飛距離も伸びているのだ。それを支えているのが今季の途中から使い始めたFT│9Nプロトタイプのドライバーだ。
特徴はヘッドの体積が420CCとマックスタイプより40CCほど小さいこと。マックスのドライバーは直進性に優れている一方、現在使用している420CCはやや小さい分だけインパクト時のヘッドの返りが早く操作性に優れている。CA選手権最終日には最難関の最終18番でしっかりフェアウエーを捕らえ、周りの選手に全く隙を与えず、ティーショットへの自信の強さがうかがえた。
3番ウッドも今季から使い始めたディアブロNがポテンシャルを充分に引き出している。センター寄りにエッジを効かせてあるためにストレート、フェードを打ちやすく、ドローが得意なミケルソンにとっては十分コントロールされたドロー系も打てるので、まさに自由自在。
しかもキャリーが280ヤードと昨年より10ヤードも伸びた。「パー5も毎年長くなり、落ち際の10ヤードの差で2オンできるかが決まる。この差は大きい」と新クラブへ絶大な信頼をよせている。
タイガーもフェアウエーキープ率、飛距離がアップ。ミケルソンとの対決は?
ミケルソンの挑戦を受けるタイガーも復活Vの際、膝に負担をかけない、ややプレーンをフラット目にしたニュースイングに変えるなど変化が見られた。偶然の一致か、トップランカーの考えは似てくるのか、タイガーも復帰にあたりやや小ぶりのヘッドのドライバーを使い始めていた。
タイガーの場合はミケルソン使用のものよりさらに小さく体積は380CC。その成果が早くも現れ、ティーショットの精度が明らかに上がっている。昨年(6試合)57・8%で169位だったフェアウエーキープ率が今季は(パーマー招待までの3試合)目標の60%を超えて60・7%でランク110位。平均飛距離も今季は293・4ヤードで25位と昨年の44位よりレベルアップしている。
肉体も技術も装備もバージョンアップして決戦に挑むタイガー・ウッズとフィル・ミケルソン。命運決する日はマスターズでは見られなかったが、次のビッグトーナメントTPCでは見られるか?対決の日が待ち遠しい。



