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2009年03月02日

2009年4月号 月刊スーパーゴルフ

2009年3月1日発行  Volume117

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【2009 GEAR CATALOG】
特別試打企画
よーし!今年も打ちまくるぞ!!
金谷多一郎プロが先進ニューモデルを徹底試打


<巻頭特集>
必見!ドライバー多事総論
さまざまな視点でドライバーショットの可能性に迫る
解説・竹林隆光、マーク金井、関雅史&トップアマのこだわり

◆トッププロの最先端な飛ばし方
矢野東のドライバーショット


◆[ブランド探求シリーズ]
FOOTJOY
ゴルフフィールドのプロ志向な歩き方


<本当に力がつく連載レッスン>

◆ゴルフ専門トレーナー石渡俊彦プロの
ゴルフ上達のための“フィジカル&スキル”レッスン
[第5回]ボールをしっかりつかまえるための右手の使い方編 (1)


◆カリスマコーチ増田哲仁プロの門外不出(秘)上達講座
[第58回]上達のための(秘)練習法 (20)


◆シニアツアー界の飛ばし屋中尾豊健プロの
50歳からのぶっ飛ばしドライバーテクニック


<レディスROOM>
◆金谷智美プロの一から始めましょう
[第23回]コースレッスン・パット編 (2)


<連載読物>

◆今月のサプライズ


◆ゴルフの薬箱-いいゴルファーになるための心の指標- 鈴木康之


佐渡充高のワールドツアーリポート
石川遼の米デビュー戦はタイガーのデビュー戦と同じ大会


◆カリスマトレーナー摩木れい子先生の斬新レッスン
[第11回]バックスイング編 (5)


NEWギア&NEWグッズ


◆今月の売れ筋ランキング


◆賞賛されるクルマたち
BMW320i


◆遼くんが着けているサポーターって!?


◆医学講座
インフルエンザパンデミックのリスクとその対策


◆高齢者にとってつらい関節痛には普段からの予防を


◆情報BOX


◆読者プレゼント

第72回佐渡充高のワールドツアーリポート

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石川遼の米ツアーデビュー戦は奇しくもタイガーのデビュー戦と同じ大会だ!

 念願のマスターズ出場を決めた前後から石川遼(17)の元へ次々と米国PGAツアーのスポンサー推薦出場のオファーがあり、マスターズまでに3試合の出場が決定した。そのPGAツアーの記念すべきデビュー戦となるのが2月19日からのノーザントラスト・オープンだ。
 ちょうどこの号が世に出始めた頃が開催中で、すでに結果がわかった時点でこれを読まれている方もいるかもしれないが、このノーザントラスト・オープンとはどんな試合なのか。そして、石川遼が活躍するには何が必要(だった)かを解説してみたい。


デビュー戦は84年もの歴史を誇る米ツアーで6番目に古い由緒ある大会・・・


 ノーザントラスト・オープンはロサンゼルス・オープンとして1926年に始まり、今年で84年の歴史を数える米国PGAツアーの中でも6番目の伝統を誇る由緒ある大会だ。
 1995年から07年まではニッサン・オープンと名称が変わり日本企業の社名が大会名でもあった。08年からスポンサーの交代で現在の名称になった。昨年はフィル・ミケルソンが優勝するなど、歴代チャンピオンはアーノルド・パーマー、トム・ワトソン、ニック・ファルド、フレッド・カプルス、アーニー・エルス、マイク・ウィアらメジャー勝者がずらりと名を連ねる。
 しかし、なぜかジャック・ニクラスとタイガー・ウッズの優勝がなく、ゴルフ界の七不思議のひとつといわれている。とくにタイガーにとってこの試合は米国PGAツアーのデビュー戦という特別な意味を持つ。
 当時、タイガーは高校生のアマチュアで、16歳1カ月と28日で大会史上最年少出場と大きな話題になった。生まれ育った場所も近く、地元の大声援の中でプレーしたが、5オーバーで予選落ちという残念な結果に終わった。
 会場はロサンゼルス郊内外の名門やムニシパル(市営の市民優先の安価なコース)が使用されてきたが、1973年からは世界レベルの名門リビエラCCに舞台を移し(98年は除き)熱戦が繰り広げられている。


開催コースのリビエラCCはベン・ホーガンの「奇跡のカムバック」の舞台・・・


 石川のデビュー戦の舞台となるリビエラCCは鉄人ベン・ホーガンの奇跡のカムバックの舞台としてあまりにも有名だ。60年前の1949年2月1日。夜の8時30分頃、ホーガンがアリゾナ州から車を運転してテキサス州の自宅へ向かう途中、霧で視界の悪い橋を注意深く徐行していると、対向車線から追越しをかけてきた長距離バスがホーガンの車に突っ込んできた。
 ホーガンは助手席のバレリー夫人を助けようと反射的に上体を飛び重ねた。ところが、ホーガンは衝突の衝撃で首、左腕、骨盤などが砕け左足首にはハンドルの柄が突き刺さり、顔は原形を留めず、男性器も欠損する瀕死の重傷を負ったのである。
 この衝撃的なニュースは全米を駆け巡り、誰もがホーガンの選手生命が終わったと悲しんだ。しかし、一命を取り留めたホーガンは約1年後の1950年、ロサンゼルス・オープンでツアーに復帰。サム・スニードにプレーオフで敗れたが2位と大健闘し「奇跡の復活」とアメリカ中が沸いた。
 その感動の舞台となったことでリビエラCCにはホーガンの胸像が建てられ、今も出場選手を暖く見守っているかのようだ。そして、ホーガンは復活をとげた年の6月にメリオンで、翌51年はオークランドヒルズ開催の全米オープンに優勝し、その後もメジャー優勝を積み重ねた。
 ホーガンにとってもタイガーにとっても同大会は後の躍進の礎となるなど、84年の歴史にはさまざまなエピソードが刻まれているのである。


同大会では過去に数多くの日本選手が活躍。石川の活躍は未知の芝攻略が鍵・・・


 同大会にはこれまでも日本ツアーから多くの選手が挑戦し、好成績を残している。昨年は今田竜二が5位タイ、04年には丸山茂樹が2位。01年には伊沢利光がプレーオフに進出、惜しくも優勝は逃したが2位に入賞。92年には金子柱憲がわずか1打及ばずプレーオフに加われなかったが、3位タイと健闘した。石川がデビューするにあたり先輩たちの活躍や実績は大きな力となるだろう。
 リビエラCC攻略の重要な点はキクユ芝とポアナ芝だ。キクユ芝はアフリカ原産の強い芝で人の手で根っこから抜くのが難しいほど手ごわい。フェアウエーからはボールが浮きやすく打ちやすいが、ラフからはフェアウエーに出すだけの厳しい状況に追い込まれることも少なくない。
 もう一つはグリーンのポアナ芝(すずめの帷子)だ。ベースはベント芝だが、徐々にポアナ芝が侵入し2種類の芝が入り混じっている。日本のコースではポアナを取り除くが、ここではそのまま。だからグリーンを読むのが難しい。
 このようにトッププロでも手こずるワイルドな芝が石川にとっては手ごわい芝となる。初のPGAツアーの雰囲気だけでなく、芝対策もスコアメークの鍵を握るのだが、果たして結果は…。

ニューギアニューグッズ 2009年4月号

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最大のデュアルインパクト効果で飛ばす

「アクセルデュアルインパクトZドライバー」

(つるや)

 つるやは、最大のデュアルインパクト効果で飛距離を伸ばすドライバー「アクセルデュアルインパクトZ」を3月初旬に発売する。ボールとヘッドの動きを同調させることで、通常ヘッドで見られる微振動によるパワーロスを防ぎ飛距離アップを可能にするシリーズのニューモデルで、バックウエイト部(パワーメタル)の増量とボディ中央のCFRP面積の拡大で同効果を最大化。投影面積の拡張によるさらなる深重心・低重心化と従来モデルより約17%のスイートエリアの拡大でスピンを抑えた高弾道ボールが安定して実現する。高慣性モーメントヘッドにベストマッチする高弾道設計シャフトを装着。45.75インチ。ロフト角は10、11度。84000円。
● TEL 06(6281)0113


伝統ブランドの新シリーズ

「ダイナパワードライバー」

(キャスコ)

 キャスコは、4大メジャー勝利61勝を誇る歴史あるブランド、ウィルソンスタッフの名器「ダイナパワー」の新シリーズを展開する。かつての名器たちを彷彿とさせる、シンボルマークのカットラインとブランドカラーの鮮烈な赤に彩られたスタイリッシュなデザインのドライバーは、ボールの上がりやすさ、方向性の良さ、つかまりやすさを実現するソール後方部、トゥ・ヒール方向肉厚設計、ネック外側重量配分設計を採用。スコアラインはクラシック感のあるデザインで構えやすく、見た目のやさしさと打ちやすさを備えている。オリジナルシャフト装着、45インチ。ロフト角は9、10.5度。58800円。
● TEL 0120-371-562


新「GT」シリーズの2モデル

「S-YARD GT」「GT Type-S」

(セイコースポーツライフ)

 セイコースポーツライフは、新開発のΣ(シグマ)フォース・テクノロジー搭載の新シリーズ<S-YARD GT>シリーズから「GT」(アベレージ用)、「GT Type-S」(アスリート用)の2タイプのドライバーを3月下旬より発売する。「GT」のキーワードは『加速』。数種類のチタン素材を組み合わせた「マルチチタン・ハイブリッド構造」と46.5インチ長尺専用4軸シートシャフトを装着、未体験の飛距離性能を実現。88200円。「GT Type-S」のキーワードは『剛性』。新構造の軽比重「VLチタン偏肉カップフェース構造」と5軸構造シャフトとの相乗効果でハードヒットしたエネルギーを余すことなくボールに伝える。77700円。
● TEL 0120-099-301


人気のエントリーモデルが大変身

「ベリティRED-V」

(マルマン)

 マルマンは、お手頃価格のエントリーモデル「ベリティRED-V」を発売。ドライバーからFW、UT、アイアン、ウエッジのフルラインナップで、ドライバーは上下、左右の慣性モーメントが拡大した独自のヘッド形状とスーパーワイドフェイスによりミスヒットに強く、安定した高弾道と方向性に優れているうえ、前モデルよりシャフトの軽量化で振りやすさがアップ。ワイドフェイスBOXキャビティを採用したアイアンもコンセプトはドライバーと同じで、最新テクノロジーが注ぎこまれたモデルとなっている。価格はオープンだが、ドライバーの店頭予想価格は19950円。アイアン6本セットが37485円。
● TEL 03(3272)9404


『次なる時代へ』を実現したアイアン

「ナノブイネクステージ」

(ヨネックス)

 ヨネックスは、ネクストエイジとネクストステージを掛け合わせた造語で『次なる時代へ』という意味を込め、契約の石川遼プロの夢の実現に向け、テクノロジーのすべてをつぎこんだモデル「ナノブイネクステージ」シリーズを3月14日に発売する。「ナノブイネクステージアイアン」は、L型フェース構造によりフェース上方に偏っていた高反発エリアを下方に拡大してワイド化。ヘッドにタングステンを装着。3I-7Iは重心を下げ高弾道で飛ばせ、8I-PWはディープキャビティで高く飛んで止まるのが特徴。AW、SWは杉本英世プロが監修したこだわりウェッジ。カーボン6本(5I-PW)セットで132000円。
● TEL 03(3833)3526


キングコブラのキャビティバック

「SZ」アイアン

(アクシネットジャパン)

 アクシネットジャパンは、構えやすさ、打ちやすさ、打感のすべてを備えたキャビティバックアイアン、キングコブラ「SZ」を4月上旬に発売する。トゥ・ヒールに重心を配分した低・深重心設計のヘッドはシャローフェースと短めのホーゼルを採用することにより高弾道と高慣性モーメントが向上してミスヒットを軽減し、正確なショットを実現。バックキャビティ・プレートの装着による振動緩和が心地よい打感を約束。またワイド・キャンバーソールデザインを採用し、抜けが良く振りぬきやすいのが特徴だ。グラファイトシャフト装着6本セット(5I-PW)88200円。NSPRO1030装着(同)75600円。
● TEL 03(5617)1525


ワンランク上のレディスドライバー

「インプレスXC's(シーズ)」

(ヤマハ)

 ヤマハは、スコアを向上させることに情熱を燃やす女性ゴルファーのためにフルモデルチェンジしたドライバー「インプレスXC's(シーズ)」を発売。やさしさ重視の女性専用設計ながらヘッドスピード32m/s前後でしっかり振れるクラスを想定し、総重量を約4gアップして全体にしっかり感を持たせたのが特徴。男性用同様、進化した最先端の広域反発構造、3X-マルチフェースを採用。「飛ぶ・球がつかまる・振りきれる」という理想の性能を実現。ワンランク上の本格感を備えたレディースドライバーだ。シャフトは超軽量オリジナルカーボン。44インチ。ロフト角は12、13度。75600円。
● TEL 0120-808562


ねじれコントロールで飛距離アップ

スリクソン「デジスパイクGGS-2004」

(SRIスポーツ)

 ダンロップのSRIスポーツは、シューズのトーション(ねじれ)の強弱をコントロールすることで飛距離アップを図ったゴルフシューズ、スリクソン「デジスパイクGGS-2004」を2月28日より発売。ソール外側の剛性を大きくして外側へのねじれを抑制。内側は小さくして適度なねじれをおこすことでパワーを効率よく伝え、ヘッドスピードをアップ。飛距離アップを可能にした。さらにスイングの安定性をアップするフレア形状のソール、優れた防水性と透湿性、雨や汚れにも強い人工皮革(クラリーノ)を使用。快適プレーのできるシューズ。24.5-29センチ(9サイズ)。オープン価格。
● TEL 0120-653-045


SQファミリー初のゴルフボール

「SQプレミアムディスタンス」

(ナイキゴルフ)

 ナイキゴルフは、“素直にまっすぐ遠くへ飛ばす”をコンセプトに新開発した2重コア3ピース構造のゴルフボール「SQプレミアムディスタンス」を3月に発売する。SQファミリーから初のゴルフボールで、高慣性モーメントによる優れた直進性“MOIテクノロジー”とインパクト時のエネルギーをロスなくボール初速に変換することで飛距離アップにつながる“パワートランスファーテクノロジー”の2つの独自の革新的テクノロジーを採用した新ディスタンスボール。高弾道設計の314ディンプルが滞空時間の長いキャリーを生む。全ヘッドスピード領域が対象。ゴールドとシルバーの2カラー展開。価格はオープン。
● TEL 0120-500-719


世界ツアーでNO.1のニューボール

ニュー「プロV1」「プロV1x」

(アクシネットジャパン)

 アクシネットジャパンは、世界ツアーで使用率・勝率NO.1を誇るプロV1シリーズの新モデル、ニュー「プロV1」「プロV1X」を3月より発売。「プロV1」はコアのサイズをより大きくしてドライバーでの飛距離アップ、新採用のアイオノメリック・ケース層の組み合せでショートゲームのスピンコントロール性能の向上を実現。ヘッドスピードがより速いゴルファー向けの「プロV1x」はウレタン・エラストマー・カバーの配合の改良による耐久性のアップ、ドライバーショットでのスピン量のコントロールによる飛距離アップを図っている。ともに価格はオープン。
● TEL 03(5617) 1525


2009年03月01日

高齢者にとってつらい関節痛には普段からの予防対策を

(社)岐阜県柔道整復師会会長
橋本佳幸
Yoshiyuki Hashimoto


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関節痛の予防対策

 日本人が長寿世界一となり、お元気な高齢者が多くなってきました。しかし、長年酷使している人の運動器は、疲労や磨耗(すりへり)により、たくさんの負荷を強いられ、骨、関節の変形へと進んでいきます。


 関節は骨と骨の組み合わせで、内部には関節軟骨があり、これがクッション(ショックアブソーバー)の役割をしています。その周りを筋や靭帯で支えていますが、長い間の関節の形状(O脚、X脚、アライメント、歩き方の癖などが考えられます)により、関節軟骨が磨り減り、それによって炎症が発生し痛みの原因の一つとなります。


 その痛みを我慢したり、動けるからと放置しておくと関節の変形をさらに進めることとなります。つまり、変形が進むということは炎症を悪化させ、その周りに滲出液(滲出細胞も含む)が集まり、その圧迫などにより痛みを強く感じるようになります。


 そうなると、反射的に防御反応が起り、交感神経が緊張し筋肉が硬着して、血流が悪くなり、身体各組織に酸素の供給が滞るという、まさに悪循環が起ってくるのです。


≪予防対策≫

?毎日の生活において、各関節にできるだけ負担がかからないように注意する。

?年齢に適した毎日の運動により、関節の柔軟性、筋、靭帯の強化維持を図る。

?長時間の一定姿勢を極力避ける(立位よりは腰掛けが良い)。

?安易に歩かないで、姿勢良くを心がけて、無理なく歩くこと。

?各関節の保温(外傷性の痛みがある場合を除く)。

?栄養素の補給(サプリメント等)。

?健康管理(メタボリック症候群等)。


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ゴルフと関節痛


 私自身はよくゴルフをしますが、ゴルフ場でふと不思議に思うことがあります。それは、あまり上手でないゴルファーが2?3回の素振りだけでスタートしていく姿を見かける時です。まず、ゴルフに対する心構えがなっていない。ゴルフをあまく見ているとケガ、故障のもとになりかねないですね。


 プロゴルファーの方たちはスタート前、入念に柔軟体操を行い、練習球もたくさん打ってからプレーに入ります。見習いたいものです。しかし、そんなプロたちをも悩ませるのが、膝関節への大きな負担です。


 タイガー・ウッズなどは膝の故障で戦線離脱をしています。より遠くへ正確に飛ばすため、左右の下肢で強い壁を作り、上体を十分に捻って打ちます。ですから、壁を作るときに膝に強い捻転力がかかり、半月板、関節軟骨にも相当の負荷が加わります。それが故障につながっていくのです。


 あと、膝以外にゴルフに起因にする障害部位として、膝関節、腰、頚、足関節などが挙げられます。ここで、ゴルフ肘とゴルフ腰について、簡単に説明したいと思います。


【ゴルフ肘】
 クラブを強く握り打球する際、肘関節の内、外側の筋、腱付着部に強いストレスが加わり、炎症を引き起こすことです。
※筋力低下が目立つ中高年に多い。

<対策>

 スタート前の柔軟体操の実施、プレー前日の夜更かし、疲労を蓄積させないこと、日ごろから腹筋、背筋のストレッチなどをしておくこと。


 以上ですが、ゴルフに限らず何事を行うにも、常日頃より身体の柔軟性を保ち、食事やサプリメント等で栄養補給に気をつけ、一つひとつの動作にも注意を払っていきましょう。


「歩く」という字は、少しも止まらずと書きます。歳を追うごとに衰えやすい下肢の筋肉や関節や関節の組織を刺激するための歩きは、有効な手段だと思います。その歩きは、人間の基本的動作ですので、一番大切なことです。 皆さんも、毎日歩きましょう。


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 では最後に、私の好きなゴルフ名訓を述べておきます。


◎ゴルフと人生はゲームです。楽しみましょう。

◎ゴルフと人生はチャレンジです。トライしましょう。

◎ゴルフと人生はあるがままです。全てを受け入れましょう。


健康を保つための柔道整復師の役割

――柔道整復師というのは?

橋本 約1300年前に生まれたもので、戦乱の世に、刀や槍が朽ちてしまって闘う術がなくなった時に素手で戦うことになります。その時、柔術が自然発生的に出てきました。その柔術には、相手を倒す殺法とケガを癒す活法というのがあり、この活法が整復となっています。


 この「伝統医療」は現在、国家資格をもった者だけが行えます。現在、全国で約3万5000人が開業しており、主として、骨折、脱臼、打撲、捻挫、肉離れのような挫傷を扱っています。


 スポーツや労働におけるケガを、注射や薬を一切使わないで整えるのが私たちの仕事です。我々が何かをするのではなく、患者さんの自然治癒力を引き出すのです。人間の体というのは本来すごい力を持っているので、治る方向に導くことでどんどん回復していくのです。患者がご自身の力で治す。そのお手伝いをするのが、われわれの役割なのです。


――高齢化社会では、そのような考え方は大切ですね。

橋本 高齢者は、どうしても運動器にいろいろな障害が起きてきます。介護保険の関係で「機能訓練指導員」というのがありますが、われわれも骨とか筋肉や筋などに関して専門ですから、その分野で施設などに出向いて転ばないように訓練したり、楽しく遊んでもらったりして、なるべく寝込まないようにしています。


 健康状態を保つための運動を行ったり、食べることにも気を使って欲しいですね。そして補完的に、コンドロイチンやヒアルロン酸などのサプリメントを摂って、関節をサポートしてあげる必要があると思います。


――関節の痛みもつらいものがありますからね。

橋本 関節の痛みは軟骨が磨耗しているためので、その部分を支えている筋肉や筋を強くさせることです。腰痛についても同じです。ですから、毎日毎日少しでもいいから筋肉や筋を強める適度な運動をすべきです。


――筋肉の保持が大切なのですね。

橋本 そうです。筋肉がしっかりしていると、それが体温を生むのです。今の日本人は低体温になっています。車に乗ったりエスカレーターを使ったりで、あまり筋肉を使わなくなりました。だから体温が下がるのです。


 難病がなくならないのは、体温が低下して免疫力がなくなるからとも言われています。そして基礎代謝が下がるものですから、少ししか食べないのに太ってしまうのです。基礎体温が高いと、知らないうちにどんどん体内で燃えてしまうのです。


――スポーツの世界でも、柔道整復師の活躍をお聞きしていますが…。

橋本 少年少女から、中学、高校、一般など各種柔道大会にはトレーナーとして、また柔道大会だけでなく各種スポーツの大会にも救護班として参加しています。


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岐阜県の柔道大会に参加する柔道整復師会


 骨折、脱臼、捻挫など、負傷した選手には、その場で整復、冷却、固定などの応急処置を行っています。


 すぐに処置することで負傷者の苦痛を和らげ、予後も大変良好となります。最近は、各主催者からの依頼も多くなっています。


――ありがとうございました。


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岐阜県柔道整復師会館

■医学講座 インフルエンザパンデミックのリスクとその対策

宮崎 忠昭 Tadaaki Miyazaki
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターバイオリソース部門教授

岩井 淳 Atsushi Iwai
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターバイオリソース部門講師


感染すると極めて症状が重篤化する高病原性鳥インフルエンザウイルス。ヒトでの世界的流行が心配されているが……。

人獣共通感染症の原因ウイルス

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって引き起こされる感染症で、高熱や筋肉痛を伴う症状が認められます。毎年、インフルエンザの流行時には、学校の閉鎖措置がとられたり、病院内の集団感染により死者が出ることもあります。


 インフルエンザウイルスには、A型とB型、そしてC型の3つの型があります。このうち、ヒトと動物(特にトリとブタ)に広く感染するのはA型のみで、記録に残っている世界的な流行(パンデミック)は、すべてこのA型インフルエンザウイルスが原因となっています。


 自然界では、インフルエンザウイルスはカモやハクチョウなどの水鳥に感染し生息して受け継がれています。水鳥に感染したインフルエンザウイルスは、主に腸管で増殖してその糞中に排泄されます。インフルエンザウイルスは長期にわたる感染を起こさないため、1羽の水鳥に感染したウイルスは通常1週間前後で体内から排除されます。


 ところが、水鳥は湖などに生息していますので、糞中に排泄されたウイルスは湖水を介して他の水鳥に感染します。こうして、次々と他の水鳥に感染し増殖を繰り返してインフルエンザウイルスは受け継がれていきます。これが、インフルエンザウイルスを自然界から撲滅できない理由であると考えられています。


 インフルエンザウイルスの表面には、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれる2種類の糖タンパク質がウイルスの表面に存在しています。私たちの身体を病原体から守っている抗体は、主にこの2種類のタンパク質を認識してウイルスに結合することにより、その感染・増殖を抑制します。この2種類の糖タンパク質の形状は、抗体の認識と反応性の違いから大きく分類することが出来ます。


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 現在のところ、HAは16種類、NAは9種類のタイプが存在することが知られており、これらの組み合わせでHAのタイプをH、NAのタイプをNとして、H1N1とかH5N1というように亜型を表記しています。


インフルエンザウイルスは、8本のRNA(リボ核酸)をゲノム(子孫に伝える遺伝情報を持つ核酸)として有しています。動物に感染するウイルスでこのように複数に分かれたゲノムを持つウイルスはどちらかと言えば少数派なのですが、インフルエンザウイルスの場合はこれが病原性に関連する重要な特徴となっています。


 毎年冬に流行している季節性インフルエンザの原因ウイルスとしてヒトの間で伝播されているものはH1N1とH3N2亜型のウイルスです。これらのインフルエンザウイルスに対しては、多くの人がすでに感染していたりワクチン接種済みであることによって、身体にこれらのウイルスに対する抗体が存在しています。従って、ウイルス側の変異があったとしても、以前感染した時に作られた抗体がウイルスに反応することができますから、免疫系が未発達である子どもや、衰えているお年寄りの方を除けば重篤化しにくいと考えられます。


 しかし、今までヒトに感染していなかった亜型のインフルエンザウイルスが体内に入り込んでくると、以前インフルエンザを患った方でもそのウイルスに反応する抗体が体内にまったくないために、ウイルスは容易に増殖し、重篤な病状に陥りやすくなります。

 
パンデミックの周期


 インフルエンザウイルスによる世界的流行(パンデミック)は、これまで記録に残っている範囲では数十年程度の周期で発生しています。これはヒトに感染していなかった亜型のウイルスが、突如ヒトに感染することで引き起こされたものです。


 これまでに発生したパンデミックの引き金となったのは、水鳥に存在していたインフルエンザウイルスが突然ヒトに感染するようになってきたことによると考えられています。もちろん、インフルエンザウイルスにとって種の壁というものは大きいため、容易に水鳥からヒトに感染することはありません。


 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターのセンター長である喜田宏教授らの長年の研究結果により、水鳥からヒトへの感染の媒介をする動物は、ブタであると考えられています。ブタはヒトと同じ哺乳動物でありながら、ヒトとトリそれぞれで流行しているインフルエンザウイルスのどちらにも感染します。水鳥に存在したウイルスが、まずニワトリなどの家禽に感染し、さらにブタを経由してヒトに感染するようになったと考えられます。


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北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター外観
Photo by S. Soma


 ヒトに感染していなかった亜型のインフルエンザウイルスのヒトへの感染は、俗に「香港風邪」と呼ばれた1968年に発生したH3N2亜型のウイルス感染によるインフルエンザの流行以降、起こっていません。


 このため、パンデミックの周期を考えますと、そろそろ発生してもおかしくはない時期と考えられます。その上、近年、日本や東南アジアをはじめ多くの国で、家禽にH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが感染し、大きな被害をもたらしています。また、数としては決して多くはありませんが、ヒトにも感染し、感染者の60%が死亡するという極めて高い死亡率を示しています。


 これらの現状から、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染が拡大し、多くの犠牲者を出すことになるのではないかと警戒されており、多くの国ではその対策を立てる必要に迫られています。


 多くのインフルエンザウイルスは鳥類に感染しても、主に腸管で増殖するだけですが、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスは全身の臓器に感染し、増殖することが出来るのです。このことが感染したニワトリに高い病原性を示す一因となっているようです。そしてこのウイルスは、ヒトやマウスなどの哺乳動物でも全身のあらゆる臓器で増殖することが出来ると考えられています。従って万が一感染した場合、主に肺や気道などの呼吸器官のみで増殖する季節性インフルエンザウイルスが感染した場合より症状が重篤化しやすいのです。


 ただ、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスはヒトの鼻や喉の粘膜では感染できず、肺の奥まで入り込まなければ増殖できないと考えられています。ですから、咳やくしゃみなどによる空気感染でのヒトからヒトへの感染拡大は起きていません。


 もちろん、このウイルスの感染によって死んだ野鳥を素手で触らないようにするとか、高病原性鳥インフルエンザが発生している地域では、鳥にむやみに近寄らないようにするなどの注意は必要ですが、過剰に警戒する必要は今のところありません。


ヒトに対して高い病原性を持った
ウイルスの出現とその対策


 インフルエンザと考えられる感染症と人類との戦いは紀元前までさかのぼると言われています。


 なぜこのように長い期間にわたってインフルエンザウイルスが存続し得たのかというと、このウイルスは通常カモやハクチョウなどの水鳥に感染しても、まったく病気を起こさないからです。自然界では、基本的に感染した動物に病気を引き起こすようなウイルスはその子孫を残していくことが出来にくいと考えられます。人間はインフルエンザを患って歩くことができないような高熱を出したとしても、安静にして回復を待つことができますが、弱肉強食の自然界に生きる水鳥にとって、そのような状況は生命の危機と言っても過言ではありません。


 そしてウイルスに感染した個体が衰弱し、死んでしまえば、そのウイルスの子孫を他の個体に感染伝播する可能性が低くなります。ですから、水鳥の間で病気を引き起こさないようなウイルスのみが受け継がれていると考えられます。


 ところが、養鶏場で飼育されているニワトリなどを宿主とした場合では、状況がかなり異なってきます。水鳥が保有するインフルエンザウイルスはニワトリに対する感染力は低く、まず、アヒルやウズラなどを介してニワトリに感染します。ニワトリの間で感染が繰り返される間に、突然変異によって高病原性鳥インフルエンザウイルスが出現したと考えられています。


これは実験的にも証明されていまして、マウスやニワトリなどの実験動物にインフルエンザウイルスを感染させて、増殖したウイルスを次の個体へ感染させることを繰り返していくと、突然変異により高い病原性を持ったウイルスが出現します。


 ですから、現在流行中のH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスに限らず、ニワトリの間でインフルエンザウイルスが感染し蔓延した場合、それを放置する事は極めて危険な行為です。


 高病原性鳥インフルエンザが流行した原因としては、ニワトリにワクチンを接種したり、治療薬を投与したりして、ニワトリが死んでいくのを食い止めようとしたためであると考えられています。


 現在、私たちが出来る最善の策は、ニワトリにインフルエンザウイルスが感染した時点で、かわいそうなのですが感染したニワトリをすべて殺処分してしまうことしかありません。ニワトリの間で高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が蔓延し、そのウイルスがヒトにパンデミックを起こしてはいけないからです。


 実際に、日本ではそのような対応を続けてきており、ウイルスの感染拡大を防ぎ、効果を挙げています。また、鳥インフルエンザ流行の発信地となったアジア各国でも同様の対応を行い、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザの制圧をしつつあります。依然として予断を許さない状況ではありますが、このままヒトにパンデミックを起こさないまま、鳥インフルエンザの流行が終息することを願っております。


 現在、私たちは、パンデミックが起こったときでもすぐに対応できるように、インフルエンザの診断・予防法および治療薬の開発を目指して研究を行っています。

■医学講座 インフルエンザパンデミックのリスクとその対策

宮崎 忠昭 Tadaaki Miyazaki
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターバイオリソース部門教授

岩井 淳 Atsushi Iwai
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターバイオリソース部門講師


感染すると極めて症状が重篤化する高病原性鳥インフルエンザウイルス。ヒトでの世界的流行が心配されているが……。

人獣共通感染症の原因ウイルス

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって引き起こされる感染症で、高熱や筋肉痛を伴う症状が認められます。毎年、インフルエンザの流行時には、学校の閉鎖措置がとられたり、病院内の集団感染により死者が出ることもあります。


 インフルエンザウイルスには、A型とB型、そしてC型の3つの型があります。このうち、ヒトと動物(特にトリとブタ)に広く感染するのはA型のみで、記録に残っている世界的な流行(パンデミック)は、すべてこのA型インフルエンザウイルスが原因となっています。


 自然界では、インフルエンザウイルスはカモやハクチョウなどの水鳥に感染し生息して受け継がれています。水鳥に感染したインフルエンザウイルスは、主に腸管で増殖してその糞中に排泄されます。インフルエンザウイルスは長期にわたる感染を起こさないため、1羽の水鳥に感染したウイルスは通常1週間前後で体内から排除されます。


 ところが、水鳥は湖などに生息していますので、糞中に排泄されたウイルスは湖水を介して他の水鳥に感染します。こうして、次々と他の水鳥に感染し増殖を繰り返してインフルエンザウイルスは受け継がれていきます。これが、インフルエンザウイルスを自然界から撲滅できない理由であると考えられています。


 インフルエンザウイルスの表面には、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれる2種類の糖タンパク質がウイルスの表面に存在しています。私たちの身体を病原体から守っている抗体は、主にこの2種類のタンパク質を認識してウイルスに結合することにより、その感染・増殖を抑制します。この2種類の糖タンパク質の形状は、抗体の認識と反応性の違いから大きく分類することが出来ます。


インフルエンザウイルス.jpg


 現在のところ、HAは16種類、NAは9種類のタイプが存在することが知られており、これらの組み合わせでHAのタイプをH、NAのタイプをNとして、H1N1とかH5N1というように亜型を表記しています。


インフルエンザウイルスは、8本のRNA(リボ核酸)をゲノム(子孫に伝える遺伝情報を持つ核酸)として有しています。動物に感染するウイルスでこのように複数に分かれたゲノムを持つウイルスはどちらかと言えば少数派なのですが、インフルエンザウイルスの場合はこれが病原性に関連する重要な特徴となっています。


 毎年冬に流行している季節性インフルエンザの原因ウイルスとしてヒトの間で伝播されているものはH1N1とH3N2亜型のウイルスです。これらのインフルエンザウイルスに対しては、多くの人がすでに感染していたりワクチン接種済みであることによって、身体にこれらのウイルスに対する抗体が存在しています。従って、ウイルス側の変異があったとしても、以前感染した時に作られた抗体がウイルスに反応することができますから、免疫系が未発達である子どもや、衰えているお年寄りの方を除けば重篤化しにくいと考えられます。


 しかし、今までヒトに感染していなかった亜型のインフルエンザウイルスが体内に入り込んでくると、以前インフルエンザを患った方でもそのウイルスに反応する抗体が体内にまったくないために、ウイルスは容易に増殖し、重篤な病状に陥りやすくなります。

 
パンデミックの周期


 インフルエンザウイルスによる世界的流行(パンデミック)は、これまで記録に残っている範囲では数十年程度の周期で発生しています。これはヒトに感染していなかった亜型のウイルスが、突如ヒトに感染することで引き起こされたものです。


 これまでに発生したパンデミックの引き金となったのは、水鳥に存在していたインフルエンザウイルスが突然ヒトに感染するようになってきたことによると考えられています。もちろん、インフルエンザウイルスにとって種の壁というものは大きいため、容易に水鳥からヒトに感染することはありません。


 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターのセンター長である喜田宏教授らの長年の研究結果により、水鳥からヒトへの感染の媒介をする動物は、ブタであると考えられています。ブタはヒトと同じ哺乳動物でありながら、ヒトとトリそれぞれで流行しているインフルエンザウイルスのどちらにも感染します。水鳥に存在したウイルスが、まずニワトリなどの家禽に感染し、さらにブタを経由してヒトに感染するようになったと考えられます。


北大センター外観.jpg
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター外観
Photo by S. Soma


 ヒトに感染していなかった亜型のインフルエンザウイルスのヒトへの感染は、俗に「香港風邪」と呼ばれた1968年に発生したH3N2亜型のウイルス感染によるインフルエンザの流行以降、起こっていません。


 このため、パンデミックの周期を考えますと、そろそろ発生してもおかしくはない時期と考えられます。その上、近年、日本や東南アジアをはじめ多くの国で、家禽にH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが感染し、大きな被害をもたらしています。また、数としては決して多くはありませんが、ヒトにも感染し、感染者の60%が死亡するという極めて高い死亡率を示しています。


 これらの現状から、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染が拡大し、多くの犠牲者を出すことになるのではないかと警戒されており、多くの国ではその対策を立てる必要に迫られています。


 多くのインフルエンザウイルスは鳥類に感染しても、主に腸管で増殖するだけですが、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスは全身の臓器に感染し、増殖することが出来るのです。このことが感染したニワトリに高い病原性を示す一因となっているようです。そしてこのウイルスは、ヒトやマウスなどの哺乳動物でも全身のあらゆる臓器で増殖することが出来ると考えられています。従って万が一感染した場合、主に肺や気道などの呼吸器官のみで増殖する季節性インフルエンザウイルスが感染した場合より症状が重篤化しやすいのです。


 ただ、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスはヒトの鼻や喉の粘膜では感染できず、肺の奥まで入り込まなければ増殖できないと考えられています。ですから、咳やくしゃみなどによる空気感染でのヒトからヒトへの感染拡大は起きていません。


 もちろん、このウイルスの感染によって死んだ野鳥を素手で触らないようにするとか、高病原性鳥インフルエンザが発生している地域では、鳥にむやみに近寄らないようにするなどの注意は必要ですが、過剰に警戒する必要は今のところありません。


ヒトに対して高い病原性を持った
ウイルスの出現とその対策


 インフルエンザと考えられる感染症と人類との戦いは紀元前までさかのぼると言われています。


 なぜこのように長い期間にわたってインフルエンザウイルスが存続し得たのかというと、このウイルスは通常カモやハクチョウなどの水鳥に感染しても、まったく病気を起こさないからです。自然界では、基本的に感染した動物に病気を引き起こすようなウイルスはその子孫を残していくことが出来にくいと考えられます。人間はインフルエンザを患って歩くことができないような高熱を出したとしても、安静にして回復を待つことができますが、弱肉強食の自然界に生きる水鳥にとって、そのような状況は生命の危機と言っても過言ではありません。


 そしてウイルスに感染した個体が衰弱し、死んでしまえば、そのウイルスの子孫を他の個体に感染伝播する可能性が低くなります。ですから、水鳥の間で病気を引き起こさないようなウイルスのみが受け継がれていると考えられます。


 ところが、養鶏場で飼育されているニワトリなどを宿主とした場合では、状況がかなり異なってきます。水鳥が保有するインフルエンザウイルスはニワトリに対する感染力は低く、まず、アヒルやウズラなどを介してニワトリに感染します。ニワトリの間で感染が繰り返される間に、突然変異によって高病原性鳥インフルエンザウイルスが出現したと考えられています。


これは実験的にも証明されていまして、マウスやニワトリなどの実験動物にインフルエンザウイルスを感染させて、増殖したウイルスを次の個体へ感染させることを繰り返していくと、突然変異により高い病原性を持ったウイルスが出現します。


 ですから、現在流行中のH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスに限らず、ニワトリの間でインフルエンザウイルスが感染し蔓延した場合、それを放置する事は極めて危険な行為です。


 高病原性鳥インフルエンザが流行した原因としては、ニワトリにワクチンを接種したり、治療薬を投与したりして、ニワトリが死んでいくのを食い止めようとしたためであると考えられています。


 現在、私たちが出来る最善の策は、ニワトリにインフルエンザウイルスが感染した時点で、かわいそうなのですが感染したニワトリをすべて殺処分してしまうことしかありません。ニワトリの間で高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が蔓延し、そのウイルスがヒトにパンデミックを起こしてはいけないからです。


 実際に、日本ではそのような対応を続けてきており、ウイルスの感染拡大を防ぎ、効果を挙げています。また、鳥インフルエンザ流行の発信地となったアジア各国でも同様の対応を行い、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザの制圧をしつつあります。依然として予断を許さない状況ではありますが、このままヒトにパンデミックを起こさないまま、鳥インフルエンザの流行が終息することを願っております。


 現在、私たちは、パンデミックが起こったときでもすぐに対応できるように、インフルエンザの診断・予防法および治療薬の開発を目指して研究を行っています。

■医学講座 インフルエンザパンデミックのリスクとその対策

宮崎 忠昭 Tadaaki Miyazaki
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターバイオリソース部門教授

岩井 淳 Atsushi Iwai
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターバイオリソース部門講師


感染すると極めて症状が重篤化する高病原性鳥インフルエンザウイルス。ヒトでの世界的流行が心配されているが……。

人獣共通感染症の原因ウイルス

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって引き起こされる感染症で、高熱や筋肉痛を伴う症状が認められます。毎年、インフルエンザの流行時には、学校の閉鎖措置がとられたり、病院内の集団感染により死者が出ることもあります。


 インフルエンザウイルスには、A型とB型、そしてC型の3つの型があります。このうち、ヒトと動物(特にトリとブタ)に広く感染するのはA型のみで、記録に残っている世界的な流行(パンデミック)は、すべてこのA型インフルエンザウイルスが原因となっています。


 自然界では、インフルエンザウイルスはカモやハクチョウなどの水鳥に感染し生息して受け継がれています。水鳥に感染したインフルエンザウイルスは、主に腸管で増殖してその糞中に排泄されます。インフルエンザウイルスは長期にわたる感染を起こさないため、1羽の水鳥に感染したウイルスは通常1週間前後で体内から排除されます。


 ところが、水鳥は湖などに生息していますので、糞中に排泄されたウイルスは湖水を介して他の水鳥に感染します。こうして、次々と他の水鳥に感染し増殖を繰り返してインフルエンザウイルスは受け継がれていきます。これが、インフルエンザウイルスを自然界から撲滅できない理由であると考えられています。


 インフルエンザウイルスの表面には、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれる2種類の糖タンパク質がウイルスの表面に存在しています。私たちの身体を病原体から守っている抗体は、主にこの2種類のタンパク質を認識してウイルスに結合することにより、その感染・増殖を抑制します。この2種類の糖タンパク質の形状は、抗体の認識と反応性の違いから大きく分類することが出来ます。


インフルエンザウイルス.jpg


 現在のところ、HAは16種類、NAは9種類のタイプが存在することが知られており、これらの組み合わせでHAのタイプをH、NAのタイプをNとして、H1N1とかH5N1というように亜型を表記しています。


インフルエンザウイルスは、8本のRNA(リボ核酸)をゲノム(子孫に伝える遺伝情報を持つ核酸)として有しています。動物に感染するウイルスでこのように複数に分かれたゲノムを持つウイルスはどちらかと言えば少数派なのですが、インフルエンザウイルスの場合はこれが病原性に関連する重要な特徴となっています。


 毎年冬に流行している季節性インフルエンザの原因ウイルスとしてヒトの間で伝播されているものはH1N1とH3N2亜型のウイルスです。これらのインフルエンザウイルスに対しては、多くの人がすでに感染していたりワクチン接種済みであることによって、身体にこれらのウイルスに対する抗体が存在しています。従って、ウイルス側の変異があったとしても、以前感染した時に作られた抗体がウイルスに反応することができますから、免疫系が未発達である子どもや、衰えているお年寄りの方を除けば重篤化しにくいと考えられます。


 しかし、今までヒトに感染していなかった亜型のインフルエンザウイルスが体内に入り込んでくると、以前インフルエンザを患った方でもそのウイルスに反応する抗体が体内にまったくないために、ウイルスは容易に増殖し、重篤な病状に陥りやすくなります。

 
パンデミックの周期


 インフルエンザウイルスによる世界的流行(パンデミック)は、これまで記録に残っている範囲では数十年程度の周期で発生しています。これはヒトに感染していなかった亜型のウイルスが、突如ヒトに感染することで引き起こされたものです。


 これまでに発生したパンデミックの引き金となったのは、水鳥に存在していたインフルエンザウイルスが突然ヒトに感染するようになってきたことによると考えられています。もちろん、インフルエンザウイルスにとって種の壁というものは大きいため、容易に水鳥からヒトに感染することはありません。


 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターのセンター長である喜田宏教授らの長年の研究結果により、水鳥からヒトへの感染の媒介をする動物は、ブタであると考えられています。ブタはヒトと同じ哺乳動物でありながら、ヒトとトリそれぞれで流行しているインフルエンザウイルスのどちらにも感染します。水鳥に存在したウイルスが、まずニワトリなどの家禽に感染し、さらにブタを経由してヒトに感染するようになったと考えられます。


北大センター外観.jpg
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター外観
Photo by S. Soma


 ヒトに感染していなかった亜型のインフルエンザウイルスのヒトへの感染は、俗に「香港風邪」と呼ばれた1968年に発生したH3N2亜型のウイルス感染によるインフルエンザの流行以降、起こっていません。


 このため、パンデミックの周期を考えますと、そろそろ発生してもおかしくはない時期と考えられます。その上、近年、日本や東南アジアをはじめ多くの国で、家禽にH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが感染し、大きな被害をもたらしています。また、数としては決して多くはありませんが、ヒトにも感染し、感染者の60%が死亡するという極めて高い死亡率を示しています。


 これらの現状から、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染が拡大し、多くの犠牲者を出すことになるのではないかと警戒されており、多くの国ではその対策を立てる必要に迫られています。


 多くのインフルエンザウイルスは鳥類に感染しても、主に腸管で増殖するだけですが、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスは全身の臓器に感染し、増殖することが出来るのです。このことが感染したニワトリに高い病原性を示す一因となっているようです。そしてこのウイルスは、ヒトやマウスなどの哺乳動物でも全身のあらゆる臓器で増殖することが出来ると考えられています。従って万が一感染した場合、主に肺や気道などの呼吸器官のみで増殖する季節性インフルエンザウイルスが感染した場合より症状が重篤化しやすいのです。


 ただ、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスはヒトの鼻や喉の粘膜では感染できず、肺の奥まで入り込まなければ増殖できないと考えられています。ですから、咳やくしゃみなどによる空気感染でのヒトからヒトへの感染拡大は起きていません。


 もちろん、このウイルスの感染によって死んだ野鳥を素手で触らないようにするとか、高病原性鳥インフルエンザが発生している地域では、鳥にむやみに近寄らないようにするなどの注意は必要ですが、過剰に警戒する必要は今のところありません。


ヒトに対して高い病原性を持った
ウイルスの出現とその対策


 インフルエンザと考えられる感染症と人類との戦いは紀元前までさかのぼると言われています。


 なぜこのように長い期間にわたってインフルエンザウイルスが存続し得たのかというと、このウイルスは通常カモやハクチョウなどの水鳥に感染しても、まったく病気を起こさないからです。自然界では、基本的に感染した動物に病気を引き起こすようなウイルスはその子孫を残していくことが出来にくいと考えられます。人間はインフルエンザを患って歩くことができないような高熱を出したとしても、安静にして回復を待つことができますが、弱肉強食の自然界に生きる水鳥にとって、そのような状況は生命の危機と言っても過言ではありません。


 そしてウイルスに感染した個体が衰弱し、死んでしまえば、そのウイルスの子孫を他の個体に感染伝播する可能性が低くなります。ですから、水鳥の間で病気を引き起こさないようなウイルスのみが受け継がれていると考えられます。


 ところが、養鶏場で飼育されているニワトリなどを宿主とした場合では、状況がかなり異なってきます。水鳥が保有するインフルエンザウイルスはニワトリに対する感染力は低く、まず、アヒルやウズラなどを介してニワトリに感染します。ニワトリの間で感染が繰り返される間に、突然変異によって高病原性鳥インフルエンザウイルスが出現したと考えられています。


これは実験的にも証明されていまして、マウスやニワトリなどの実験動物にインフルエンザウイルスを感染させて、増殖したウイルスを次の個体へ感染させることを繰り返していくと、突然変異により高い病原性を持ったウイルスが出現します。


 ですから、現在流行中のH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスに限らず、ニワトリの間でインフルエンザウイルスが感染し蔓延した場合、それを放置する事は極めて危険な行為です。


 高病原性鳥インフルエンザが流行した原因としては、ニワトリにワクチンを接種したり、治療薬を投与したりして、ニワトリが死んでいくのを食い止めようとしたためであると考えられています。


 現在、私たちが出来る最善の策は、ニワトリにインフルエンザウイルスが感染した時点で、かわいそうなのですが感染したニワトリをすべて殺処分してしまうことしかありません。ニワトリの間で高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が蔓延し、そのウイルスがヒトにパンデミックを起こしてはいけないからです。


 実際に、日本ではそのような対応を続けてきており、ウイルスの感染拡大を防ぎ、効果を挙げています。また、鳥インフルエンザ流行の発信地となったアジア各国でも同様の対応を行い、H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザの制圧をしつつあります。依然として予断を許さない状況ではありますが、このままヒトにパンデミックを起こさないまま、鳥インフルエンザの流行が終息することを願っております。


 現在、私たちは、パンデミックが起こったときでもすぐに対応できるように、インフルエンザの診断・予防法および治療薬の開発を目指して研究を行っています。