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2009年02月02日

やっかいな「花粉症」の傾向と対策――「乳酸菌」で症状改善の試験結果

NPO法人 日本健康増進支援機構理事長
医学博士
榎本雅夫Enomoto Tadao
enomoto.jpg


 またまたやってきた花粉の季節。「アッ、鼻にきた」「目にもきた」という声があちこちで聞こえる。今年は花粉の飛散が昨年と比べて、関東や東北地方では同じかやや少なく、東海・北陸からの九州地方では多くなると予想されています。特に関西地方では多くなるとの情報があります。いずれにせよ、全国的には去年以上の花粉が飛散することは間違いないようです。その傾向と対策をしっかりと立てておきたいものです。


“国民病”“文明病”の「花粉症」


『鼻アレルギー診療ガイドライン』(2009年度版)によると、全日本国民の26.5%の人がスギ花粉症に罹っているとされています。他の花粉症も含めると29.8%にものぼります。ほぼ3人に1人は花粉症で悩んでいるということになります。


 この花粉症は都市部ほどその罹患率が高くなる傾向があり、いまや「国民病」とも「文明病」とも呼ばれるようになってきています。鼻をグジュグジュさせたり、涙目でジッと我慢する姿は辛い上に、何をするにも意欲がそがれてしまうものです。その苦しさから解放されるなら大抵のことは我慢するというほどの症状ですから、関心の度合いも年々エスカレートしています。


 この頃になると毎年、テレビや新聞、インターネットなどで花粉の飛散情報が発信されているほか、いろいろな花粉除けのグッズが売り出されたりして、マスコミを賑わすのもむべなるかなと言えましょう。


 それにしても、多量の鼻みずや流涙、鼻づまりや目の痒み、そして時には頭痛や喘息などの症状に悩まされます。日常生活への影響は計り知れないものがあるのです。

 
「花粉症」の症状とは?

 この時期に決まって集中的にわれわれを悩ませる「花粉症」とは、あるいはアレルギーというのはどのような病気なのでしょうか。花粉症のなかでも、もっとも罹患率の多いスギ花粉によるアレルギー性鼻炎を中心に考えてみましょう。


 まず花粉やダニによる鼻のアレルギー反応をを総じて「アレルギー性鼻炎」と呼びます。そして花粉だけが原因の場合には「花粉症」、その花粉がスギであれば「スギ花粉症」と言われるわけです。特にスギ花粉は毎年2月から4月ぐらいにかけて多く飛散します。


sugikafun.jpg dani.jpg
スギ花粉の電子顕微鏡写真      ヤケヒョウヒダニ(♀)の電子顕微鏡写真(提供・高岡正俊)  
    


 私たちの身体は、人体にとって異物を感じると、排除すべき物質として反応するという動きを生じます。花粉症の原因物質である花粉が鼻の穴から体内に入ろうとすると、ちゃんと防御するシステムが作動するのです。それが、クシャミであり鼻みず、鼻づまりなどの状態なのです。


 クシャミは、爆発的な風圧で鼻から入ろうとする異物を鼻粘膜から体外に吹き飛ばすための身体の反応です。そして鼻みずや鼻づまりも、異物が体内に入らないようにするためのシステムと考えられます。


 花粉症とは花粉によって起るアレルギー症状であり、本来であれば無害である花粉を私たちが身体に備わっている免疫システムが、細菌などの有害物質と誤認し、攻撃することによって自分の組織も傷つき炎症を起こしてしまう病気なのです。人体が自らの健康体を必死に守ろうとしている有益な反応なのですが、私たちの日常生活において辛い状態を引き起こしている原因でもあるわけです。


「花粉症」の増加要因


 これほど多くの人が罹っている花粉症も、学術的に見れば比較的新しい病気です。日本では1961年に荒木英斉先生がブタクサの花粉症を報告したのが最初です。そして現在、最も問題になっているスギ花粉は、斎藤洋三先生が64年、東京オリンピックの年の春に栃木県の日光地方で鼻や目などにアレルギー症状を示す21例を報告したのが第1号となります。その後、毎年のようにさまざまな花粉症が報告されています。


 最初の例から半世紀近く経ったいまでは、150万倍以上の3500万人の人が花粉症に罹っているのです。


 なぜ、ここまで花粉症が増加したのでしょうか? このテーマは、非常に難しくさまざな要因が含まれていると考えられています。


 現在、推定されている要因には、?飛散しているスギ花粉そのものの増加、?大気汚染、特にディーゼル車が排気するガスの中の微粒子(DEP)、?ダニによるアレルギーが増加することによりアレルギー体質の人が増え、それが引き金となってスギ花粉症も増えたこと、?食生活の変化、?清潔志向によって細菌との接触機会が減少したこと、?抗生物質の乱用による腸内細菌叢の撹乱、などが考えられています。


 確かに30?40年前の食事内容と現在を比較してみれば、大きく変化していることは明らかです。そして、テレビや新聞・雑誌などのマスコミでは、この変化が生活習慣病の原因だとして問題視されています。しかし、生活習慣病にとどまらず、花粉症にも影響を与えていることが指摘されています。


 清潔志向と抗生物質の乱用によって、私たちは細菌と接触する機会を極端に減らしています。細菌感染症の減少と反比例するかのように、アレルギー疾患が増加してきたことが報告されているのも事実です。


 つまり花粉症の増加は、生活の近代化によってもたらされたと言っても過言ではありません。


「花粉症」の治療方法


 治療には大きく分けて、アレルゲンに着目する原因療法と症状の発症を抑制する対症療法の2つに分けられます。


 対症療法の代表は薬物療法です。化学伝達物質遊離抑制剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、ステロイドや抗コリン薬などさまざまな種類の薬剤があります。耳鼻咽喉科や眼科に行くと、症状に合わせて効果的な薬剤を処方してもらえます。


 原因療法は、アレルゲンの除去、すなわち、予防と言えるでしょう。外出時にはマスクやメガネをつけ、毛羽だった服を避ける、洗濯物や布団は外に干さない、帰宅時には衣服や髪の毛をよく払う、掃除をマメに行うなどがあげられます。


 また完治を目指す治療法として、減感作療法というものがあります。アレルゲンを少しずつ定期的に体内に投与(注射)して、身体をアレルゲンに慣らしてしまおうという方法です。確かに完治する唯一の治療方法とされていますが、アレルゲンを週に1?2回、何年にもわたって注射し続けなくてはいけません。根気と時間の余裕が必要な治療方法です。


 これらの治療法以外にも、外科的手術もありますが、あまり一般的とは言えません。


 花粉症の自然治癒率は、いくつかの報告がありますが、いずれも3%以下と非常に低くなっています。そうなると、何らかの治療を行わないと、毎年、鼻や目のさまざまな症状に悩まされ続けるわけです。


「花粉症」を食べて治す


 前述したように、清潔すぎる環境による細菌からの隔離、抗生物質による腸内細菌叢の乱れがアレルギーの原因の一つではないかと考えられています。


 実際に、イギリスのウェールズ大学のJ.Hopkin教授は数万人の調査から、2歳までに抗生物質を投与された人は、12歳の時点でアレルギー疾患になる確率が6倍にもなることを報告しています。また、ヨーグルトや乳酸菌飲料、乳酸菌のサプリメントを食べることにより、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症が改善されたということが数多く報告されています。


 そこで、NPO法人日本健康増進支援機構、南京医科大学耳鼻咽喉科および京都大学医学研究科では、積極的に細菌の成分を体内に入れてアレルギーを予防・改善しようという考えから、細菌によるアレルギーの改善効果についての試験を行いました。


 試験に用いた細菌は、ニチニチ製薬株式会社が製造している乳酸菌「LFK」です。このLFKは乳酸菌を溶解・殺菌した菌体成分で、花粉症および通年性アレルギー性鼻炎の患者さんたちに4週間飲用した結果、医薬品のように症状が消えるということは無かったものの、十分に改善が体感できるレベルであり、翌年以降、花粉症が発症しなくなった人もいたようです。


 現在、この効果について物質や作用機序を調べており、近い将来、乳酸菌やその成分を食べることで花粉症のつらい症状から解放される日が来るかもしれません。


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やっかいな「花粉症」の傾向と対策――「乳酸菌」で症状改善の試験結果

NPO法人 日本健康増進支援機構理事長
医学博士
榎本雅夫Enomoto Tadao
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 またまたやってきた花粉の季節。「アッ、鼻にきた」「目にもきた」という声があちこちで聞こえる。今年は花粉の飛散が昨年と比べて、関東や東北地方では同じかやや少なく、東海・北陸からの九州地方では多くなると予想されています。特に関西地方では多くなるとの情報があります。いずれにせよ、全国的には去年以上の花粉が飛散することは間違いないようです。その傾向と対策をしっかりと立てておきたいものです。


“国民病”“文明病”の「花粉症」


『鼻アレルギー診療ガイドライン』(2009年度版)によると、全日本国民の26.5%の人がスギ花粉症に罹っているとされています。他の花粉症も含めると29.8%にものぼります。ほぼ3人に1人は花粉症で悩んでいるということになります。


 この花粉症は都市部ほどその罹患率が高くなる傾向があり、いまや「国民病」とも「文明病」とも呼ばれるようになってきています。鼻をグジュグジュさせたり、涙目でジッと我慢する姿は辛い上に、何をするにも意欲がそがれてしまうものです。その苦しさから解放されるなら大抵のことは我慢するというほどの症状ですから、関心の度合いも年々エスカレートしています。


 この頃になると毎年、テレビや新聞、インターネットなどで花粉の飛散情報が発信されているほか、いろいろな花粉除けのグッズが売り出されたりして、マスコミを賑わすのもむべなるかなと言えましょう。


 それにしても、多量の鼻みずや流涙、鼻づまりや目の痒み、そして時には頭痛や喘息などの症状に悩まされます。日常生活への影響は計り知れないものがあるのです。

 
「花粉症」の症状とは?

 この時期に決まって集中的にわれわれを悩ませる「花粉症」とは、あるいはアレルギーというのはどのような病気なのでしょうか。花粉症のなかでも、もっとも罹患率の多いスギ花粉によるアレルギー性鼻炎を中心に考えてみましょう。


 まず花粉やダニによる鼻のアレルギー反応をを総じて「アレルギー性鼻炎」と呼びます。そして花粉だけが原因の場合には「花粉症」、その花粉がスギであれば「スギ花粉症」と言われるわけです。特にスギ花粉は毎年2月から4月ぐらいにかけて多く飛散します。


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スギ花粉の電子顕微鏡写真      ヤケヒョウヒダニ(♀)の電子顕微鏡写真(提供・高岡正俊)  
    


 私たちの身体は、人体にとって異物を感じると、排除すべき物質として反応するという動きを生じます。花粉症の原因物質である花粉が鼻の穴から体内に入ろうとすると、ちゃんと防御するシステムが作動するのです。それが、クシャミであり鼻みず、鼻づまりなどの状態なのです。


 クシャミは、爆発的な風圧で鼻から入ろうとする異物を鼻粘膜から体外に吹き飛ばすための身体の反応です。そして鼻みずや鼻づまりも、異物が体内に入らないようにするためのシステムと考えられます。


 花粉症とは花粉によって起るアレルギー症状であり、本来であれば無害である花粉を私たちが身体に備わっている免疫システムが、細菌などの有害物質と誤認し、攻撃することによって自分の組織も傷つき炎症を起こしてしまう病気なのです。人体が自らの健康体を必死に守ろうとしている有益な反応なのですが、私たちの日常生活において辛い状態を引き起こしている原因でもあるわけです。


「花粉症」の増加要因


 これほど多くの人が罹っている花粉症も、学術的に見れば比較的新しい病気です。日本では1961年に荒木英斉先生がブタクサの花粉症を報告したのが最初です。そして現在、最も問題になっているスギ花粉は、斎藤洋三先生が64年、東京オリンピックの年の春に栃木県の日光地方で鼻や目などにアレルギー症状を示す21例を報告したのが第1号となります。その後、毎年のようにさまざまな花粉症が報告されています。


 最初の例から半世紀近く経ったいまでは、150万倍以上の3500万人の人が花粉症に罹っているのです。


 なぜ、ここまで花粉症が増加したのでしょうか? このテーマは、非常に難しくさまざな要因が含まれていると考えられています。


 現在、推定されている要因には、?飛散しているスギ花粉そのものの増加、?大気汚染、特にディーゼル車が排気するガスの中の微粒子(DEP)、?ダニによるアレルギーが増加することによりアレルギー体質の人が増え、それが引き金となってスギ花粉症も増えたこと、?食生活の変化、?清潔志向によって細菌との接触機会が減少したこと、?抗生物質の乱用による腸内細菌叢の撹乱、などが考えられています。


 確かに30?40年前の食事内容と現在を比較してみれば、大きく変化していることは明らかです。そして、テレビや新聞・雑誌などのマスコミでは、この変化が生活習慣病の原因だとして問題視されています。しかし、生活習慣病にとどまらず、花粉症にも影響を与えていることが指摘されています。


 清潔志向と抗生物質の乱用によって、私たちは細菌と接触する機会を極端に減らしています。細菌感染症の減少と反比例するかのように、アレルギー疾患が増加してきたことが報告されているのも事実です。


 つまり花粉症の増加は、生活の近代化によってもたらされたと言っても過言ではありません。


「花粉症」の治療方法


 治療には大きく分けて、アレルゲンに着目する原因療法と症状の発症を抑制する対症療法の2つに分けられます。


 対症療法の代表は薬物療法です。化学伝達物質遊離抑制剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、ステロイドや抗コリン薬などさまざまな種類の薬剤があります。耳鼻咽喉科や眼科に行くと、症状に合わせて効果的な薬剤を処方してもらえます。


 原因療法は、アレルゲンの除去、すなわち、予防と言えるでしょう。外出時にはマスクやメガネをつけ、毛羽だった服を避ける、洗濯物や布団は外に干さない、帰宅時には衣服や髪の毛をよく払う、掃除をマメに行うなどがあげられます。


 また完治を目指す治療法として、減感作療法というものがあります。アレルゲンを少しずつ定期的に体内に投与(注射)して、身体をアレルゲンに慣らしてしまおうという方法です。確かに完治する唯一の治療方法とされていますが、アレルゲンを週に1?2回、何年にもわたって注射し続けなくてはいけません。根気と時間の余裕が必要な治療方法です。


 これらの治療法以外にも、外科的手術もありますが、あまり一般的とは言えません。


 花粉症の自然治癒率は、いくつかの報告がありますが、いずれも3%以下と非常に低くなっています。そうなると、何らかの治療を行わないと、毎年、鼻や目のさまざまな症状に悩まされ続けるわけです。


「花粉症」を食べて治す


 前述したように、清潔すぎる環境による細菌からの隔離、抗生物質による腸内細菌叢の乱れがアレルギーの原因の一つではないかと考えられています。


 実際に、イギリスのウェールズ大学のJ.Hopkin教授は数万人の調査から、2歳までに抗生物質を投与された人は、12歳の時点でアレルギー疾患になる確率が6倍にもなることを報告しています。また、ヨーグルトや乳酸菌飲料、乳酸菌のサプリメントを食べることにより、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症が改善されたということが数多く報告されています。


 そこで、NPO法人日本健康増進支援機構、南京医科大学耳鼻咽喉科および京都大学医学研究科では、積極的に細菌の成分を体内に入れてアレルギーを予防・改善しようという考えから、細菌によるアレルギーの改善効果についての試験を行いました。


 試験に用いた細菌は、ニチニチ製薬株式会社が製造している乳酸菌「LFK」です。このLFKは乳酸菌を溶解・殺菌した菌体成分で、花粉症および通年性アレルギー性鼻炎の患者さんたちに4週間飲用した結果、医薬品のように症状が消えるということは無かったものの、十分に改善が体感できるレベルであり、翌年以降、花粉症が発症しなくなった人もいたようです。


 現在、この効果について物質や作用機序を調べており、近い将来、乳酸菌やその成分を食べることで花粉症のつらい症状から解放される日が来るかもしれません。


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やっかいな「花粉症」の傾向と対策――「乳酸菌」で症状改善の試験結果

NPO法人 日本健康増進支援機構理事長
医学博士
榎本雅夫Enomoto Tadao
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 またまたやってきた花粉の季節。「アッ、鼻にきた」「目にもきた」という声があちこちで聞こえる。今年は花粉の飛散が昨年と比べて、関東や東北地方では同じかやや少なく、東海・北陸からの九州地方では多くなると予想されています。特に関西地方では多くなるとの情報があります。いずれにせよ、全国的には去年以上の花粉が飛散することは間違いないようです。その傾向と対策をしっかりと立てておきたいものです。


“国民病”“文明病”の「花粉症」


『鼻アレルギー診療ガイドライン』(2009年度版)によると、全日本国民の26.5%の人がスギ花粉症に罹っているとされています。他の花粉症も含めると29.8%にものぼります。ほぼ3人に1人は花粉症で悩んでいるということになります。


 この花粉症は都市部ほどその罹患率が高くなる傾向があり、いまや「国民病」とも「文明病」とも呼ばれるようになってきています。鼻をグジュグジュさせたり、涙目でジッと我慢する姿は辛い上に、何をするにも意欲がそがれてしまうものです。その苦しさから解放されるなら大抵のことは我慢するというほどの症状ですから、関心の度合いも年々エスカレートしています。


 この頃になると毎年、テレビや新聞、インターネットなどで花粉の飛散情報が発信されているほか、いろいろな花粉除けのグッズが売り出されたりして、マスコミを賑わすのもむべなるかなと言えましょう。


 それにしても、多量の鼻みずや流涙、鼻づまりや目の痒み、そして時には頭痛や喘息などの症状に悩まされます。日常生活への影響は計り知れないものがあるのです。

 
「花粉症」の症状とは?

 この時期に決まって集中的にわれわれを悩ませる「花粉症」とは、あるいはアレルギーというのはどのような病気なのでしょうか。花粉症のなかでも、もっとも罹患率の多いスギ花粉によるアレルギー性鼻炎を中心に考えてみましょう。


 まず花粉やダニによる鼻のアレルギー反応をを総じて「アレルギー性鼻炎」と呼びます。そして花粉だけが原因の場合には「花粉症」、その花粉がスギであれば「スギ花粉症」と言われるわけです。特にスギ花粉は毎年2月から4月ぐらいにかけて多く飛散します。


sugikafun.jpg dani.jpg
スギ花粉の電子顕微鏡写真      ヤケヒョウヒダニ(♀)の電子顕微鏡写真(提供・高岡正俊)  
    


 私たちの身体は、人体にとって異物を感じると、排除すべき物質として反応するという動きを生じます。花粉症の原因物質である花粉が鼻の穴から体内に入ろうとすると、ちゃんと防御するシステムが作動するのです。それが、クシャミであり鼻みず、鼻づまりなどの状態なのです。


 クシャミは、爆発的な風圧で鼻から入ろうとする異物を鼻粘膜から体外に吹き飛ばすための身体の反応です。そして鼻みずや鼻づまりも、異物が体内に入らないようにするためのシステムと考えられます。


 花粉症とは花粉によって起るアレルギー症状であり、本来であれば無害である花粉を私たちが身体に備わっている免疫システムが、細菌などの有害物質と誤認し、攻撃することによって自分の組織も傷つき炎症を起こしてしまう病気なのです。人体が自らの健康体を必死に守ろうとしている有益な反応なのですが、私たちの日常生活において辛い状態を引き起こしている原因でもあるわけです。


「花粉症」の増加要因


 これほど多くの人が罹っている花粉症も、学術的に見れば比較的新しい病気です。日本では1961年に荒木英斉先生がブタクサの花粉症を報告したのが最初です。そして現在、最も問題になっているスギ花粉は、斎藤洋三先生が64年、東京オリンピックの年の春に栃木県の日光地方で鼻や目などにアレルギー症状を示す21例を報告したのが第1号となります。その後、毎年のようにさまざまな花粉症が報告されています。


 最初の例から半世紀近く経ったいまでは、150万倍以上の3500万人の人が花粉症に罹っているのです。


 なぜ、ここまで花粉症が増加したのでしょうか? このテーマは、非常に難しくさまざな要因が含まれていると考えられています。


 現在、推定されている要因には、?飛散しているスギ花粉そのものの増加、?大気汚染、特にディーゼル車が排気するガスの中の微粒子(DEP)、?ダニによるアレルギーが増加することによりアレルギー体質の人が増え、それが引き金となってスギ花粉症も増えたこと、?食生活の変化、?清潔志向によって細菌との接触機会が減少したこと、?抗生物質の乱用による腸内細菌叢の撹乱、などが考えられています。


 確かに30?40年前の食事内容と現在を比較してみれば、大きく変化していることは明らかです。そして、テレビや新聞・雑誌などのマスコミでは、この変化が生活習慣病の原因だとして問題視されています。しかし、生活習慣病にとどまらず、花粉症にも影響を与えていることが指摘されています。


 清潔志向と抗生物質の乱用によって、私たちは細菌と接触する機会を極端に減らしています。細菌感染症の減少と反比例するかのように、アレルギー疾患が増加してきたことが報告されているのも事実です。


 つまり花粉症の増加は、生活の近代化によってもたらされたと言っても過言ではありません。


「花粉症」の治療方法


 治療には大きく分けて、アレルゲンに着目する原因療法と症状の発症を抑制する対症療法の2つに分けられます。


 対症療法の代表は薬物療法です。化学伝達物質遊離抑制剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、ステロイドや抗コリン薬などさまざまな種類の薬剤があります。耳鼻咽喉科や眼科に行くと、症状に合わせて効果的な薬剤を処方してもらえます。


 原因療法は、アレルゲンの除去、すなわち、予防と言えるでしょう。外出時にはマスクやメガネをつけ、毛羽だった服を避ける、洗濯物や布団は外に干さない、帰宅時には衣服や髪の毛をよく払う、掃除をマメに行うなどがあげられます。


 また完治を目指す治療法として、減感作療法というものがあります。アレルゲンを少しずつ定期的に体内に投与(注射)して、身体をアレルゲンに慣らしてしまおうという方法です。確かに完治する唯一の治療方法とされていますが、アレルゲンを週に1?2回、何年にもわたって注射し続けなくてはいけません。根気と時間の余裕が必要な治療方法です。


 これらの治療法以外にも、外科的手術もありますが、あまり一般的とは言えません。


 花粉症の自然治癒率は、いくつかの報告がありますが、いずれも3%以下と非常に低くなっています。そうなると、何らかの治療を行わないと、毎年、鼻や目のさまざまな症状に悩まされ続けるわけです。


「花粉症」を食べて治す


 前述したように、清潔すぎる環境による細菌からの隔離、抗生物質による腸内細菌叢の乱れがアレルギーの原因の一つではないかと考えられています。


 実際に、イギリスのウェールズ大学のJ.Hopkin教授は数万人の調査から、2歳までに抗生物質を投与された人は、12歳の時点でアレルギー疾患になる確率が6倍にもなることを報告しています。また、ヨーグルトや乳酸菌飲料、乳酸菌のサプリメントを食べることにより、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症が改善されたということが数多く報告されています。


 そこで、NPO法人日本健康増進支援機構、南京医科大学耳鼻咽喉科および京都大学医学研究科では、積極的に細菌の成分を体内に入れてアレルギーを予防・改善しようという考えから、細菌によるアレルギーの改善効果についての試験を行いました。


 試験に用いた細菌は、ニチニチ製薬株式会社が製造している乳酸菌「LFK」です。このLFKは乳酸菌を溶解・殺菌した菌体成分で、花粉症および通年性アレルギー性鼻炎の患者さんたちに4週間飲用した結果、医薬品のように症状が消えるということは無かったものの、十分に改善が体感できるレベルであり、翌年以降、花粉症が発症しなくなった人もいたようです。


 現在、この効果について物質や作用機序を調べており、近い将来、乳酸菌やその成分を食べることで花粉症のつらい症状から解放される日が来るかもしれません。


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■ヘルシートーク アトピー編(下)悩ましい「アトピー体質」と乳酸菌の免疫力

嶋田貴志ニチニチ製薬?中央研究所部長・博士(学術)

小児から成人まで幅広い年代層を悩ませている「アトピー性皮膚炎」。先月号では、小学生の頃からずっとその症状に悩まされてきた植田睦海さんさんが、その驚くほどの改善を「乳酸菌食品との出合い」と語っています。乳酸菌の免疫力と漢方薬との併用がさらに効果を生むというメカニズムに迫る。


(コラム)
「根本的に体内からきれいにする」

 前号では、アトピー性皮膚炎に悩んでいた植田睦海さんが乳酸菌食品によって、症状が本人もびっくりするような好転を見せた例を取材させていただいた。顔やひじの内側に繰り返しあらわれていた症状が、昨年夏には半袖を着ることができお化粧も気にせずできるようになって大喜びだという。


「アトピーに悩むほかの人にも、ぜひ伝えたい」と植田さんは言う。乳酸菌食品と出合って5カ月、アトピー性皮膚炎の改善とともに生活パターンも積極的になったと明るく語る植田さんの顔には、これまでの辛かった日々を跳ね飛ばすくらいのエネルギーを感じた。


 植田さんはこれまでの食生活を徹底的に改善するとともに環境を整え、乳酸菌食品を摂ることで「治る」ことを実感したという。「今までは即効性を求めて症状を抑えてきただけに過ぎず、根本的に体内からきれいにするためには時間がかかる」という意識で取り組み始めた。


 いまは国際東洋医療柔整復学院・鍼灸学院講師として、柔道整復師・鍼灸師の卵たちが国家資格をとれるように指導している。そして自らは柔道の審判員のライセンスを取り、全国大会や国際大会に参加することを目標に頑張っている。


 アトピー性皮膚炎は、炎症、かゆみ、赤み、乾燥、亀裂などをともなう皮疹が顔や首、ひじ・ひざの屈曲部に繰り返しあらわれ、ひどくなると全身に広がるアレルギー性疾患のひとつ。20歳以下の10人に1人が罹り、成人後も症状が治らない人も多くいる。アトピー性皮膚炎に罹る人は、この10年間でなんと2倍に増えているという。


 痒みが激しくなり、掻くことによってさらにアレルギー性皮膚炎をひどくさせるという終りのない辛さ。アトピー性皮膚炎で悩んでいた植田さんが乳酸菌を摂ることで光明を見出したのである。


ude-before.jpg  ⇒  ude-after.jpg

kao-before.jpg  ⇒  植田さん.jpg


 今回は、ニチニチ製薬?中央研究所部長の嶋田貴志博士に、アトピー性皮膚炎の問題点となぜ乳酸菌に効果があるのかをお聞きした。


アレルギー疾患のひとつアトピー性皮膚炎


――アトピー性皮膚炎は原因が分からないと言われていますが、非常に複雑な要因が絡み合ったものなのでしょうか。

嶋田 アトピー性皮膚炎は、基本的にはアレルギー性の疾患です。原因が分からないと言われているのは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を除去しても、その症状が改善しないためだと思われます。


 そのアレルギーも食物アレルギーであったり、家ダニであったりカビであったり人それぞれいろんなものが原因となっています。日本人の約半分ほどが特に家ダニに対してアレルギーを持っています。


 いずれにせよ、アトピー性皮膚炎のスタートはアレルギーによる蕁麻疹(じんましん)などの皮膚の痒みから始まります。それを掻くことで傷が深く広くなり、症状が悪化して広範囲に広がり、治療が難しいアトピー性皮膚炎に進展していくと考えられています。


 そうなると、アレルギーに適応する薬を処方しても治らないことが多いですね。


――よくアトピーにはステロイドが使われていますね。

嶋田 ステロイドというのは炎症を抑える薬です。アレルギー症状で皮膚炎がひどくなるのは、白血球が過剰に働いて悪さをするからです。ステロイドはその白血球の働きを抑えようという薬です。


――ステロイドによって免疫力が抑制される側面もあるのですね。

嶋田 そうです。ステロイドを使っている方は、風邪を引きやすい体質になることが多いですね。


――アトピーは複雑な因子の絡みから起きているということですが、ストレスという精神的な要因もあるのでしょうか。

嶋田 先ほどもお話しましたが、アレルギーは家ダニやハウスダストなどや食品に含まれるアレルゲンが主たる原因になっています。最近では、菌を寄せ付けないという抗菌作用のあるものを過剰に使うことが影響していることもあります。


 ストレスとアトピー性皮膚炎との因果関係は証明されていませんが、ストレスによる免疫系の異常も指摘されており、その可能性は十分にあると思います。


――ストレスが免疫力を下げるのですかね。

嶋田 はっきりとしたデータはありませんが、ストレスというのはいろいろな分野で悪影響を起こしていることが分かっています。逆に、笑うことで免疫力が出て身体にいいと言われています。


免疫力と小腸の働き


――「免疫」というのは、そもそも何なのでしょうか。

嶋田 「免疫」というのは、字がそうであるように「病を免れる」という意味です。学術的に言えば、生体が自己と非自己を認識して、非自己を排除するという考え方から始まっています。つまり、自分の身体にもとからあるものとそれ以外のものを区別して、入ってきたものを体内から追い出す作用を言います。


 ですから、感染症など入ってくるばい菌を排除したり、体内で発生するガン細胞を攻撃したりして、健康体を維持する働きをしているのです。


――植田さんは乳酸菌FK-23と乳酸菌LFK含有食品を摂り、生活のパターンを変えることが出来て、アトピーの症状が改善されました。それはどうしてなんでしょうか?

嶋田 小腸というのは免疫をつかさどる器官なのです。そこに乳酸菌が入っていくと、白血球などが活性化すると言われています。その菌体成分が白血球の働きを助けるわけです。


 アレルギーが悪化する原因の一つに、腸内細菌叢の乱れや有害な真菌が繁殖することが一因と言われています。ですから、乳酸菌を食べることで腸内の細菌叢が改善され、アレルギー症状に好影響を与えていると思われます。一方、最近では乳酸菌の菌体成分がアレルギーを抑えるのではないかとの研究結果も報告されるようになっています。


 ところで白血球のリンパ球(T細胞)には、Th1型とTh2型の2種類があります。人間は生まれたときにはTh2型のほうが強いのです。その後、いろいろな菌と接触することで、Th1型のリンパ球が強くなり、菌に対する抵抗性が強くなっていきます。このTh1型のリンパ球が強くなることで、アレルギーを起こしにくい体質になるといえます。ところが、薬の乱用で菌に触れる機会が少なくなったり、ストレスにより免疫に悪影響を及ぼしたりするとTh1型が強くならない状況になります。その結果、Th2型が強くなってアレルギー体質になりやすくなるのです。


 乳酸菌はTh1型を強めることが分かっています。薬やストレスで弱まったTh1型を強める作用でアレルギーを起こしにくくするのです。


漢方薬との併用でアトピーに対処


――植田さんの例では漢方薬との併用を行っていますね。

嶋田 漢方薬というのは単一の成分で効果を示すのではなく、複合的な成分でさまざまな効果を示します。また、腸内に入って消化酵素や腸内細菌により分解、代謝されて初めて効果を示す成分も多く知られています。そのため、腸内細菌のバランスによってその効果は異なることも報告されています。そして、腸内細菌の調子を整える成分と一緒に漢方薬を飲むことで、その効果が高まることは十分に考えられます。


 実際に、漢方薬(アレルギー疾患に適用される小青竜湯)と乳酸菌製剤との併用投与でアレルギー抑制効果が高まることを確認しています。


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 このグラフの縦軸はアレルギーの指標となり、上に行くとアレルギーが悪化していることを示します。少量の漢方薬では効果が見られていませんが、多量だとはっきりと効果が認められます。一方、乳酸菌製剤と一緒に漢方薬を飲むと、少量でも多量を飲んだときと同じくらいの効果が確認できました。


――アトピー患者にとって大切なことは、「食生活の改善」「適切なスキンケア」そして「腸内細菌叢の整備と体質改善」の3本柱が重要だと聞いております。

嶋田 そうですね。「食生活の改善」と「腸内細菌叢の整備と体質改善」はすべての病気に対しての予防に繋がります。これに「スキンケア」を加えるのは、アトピー性皮膚炎改善の基本と言えます。


「食生活の改善」は、動物性脂肪を減らす、野菜やキノコ、海草を多く摂る、良質のタンパク質を摂る、砂糖を控えるなど、生活習慣病の予防に言われていることとまったく同じです。


「腸内細菌叢の整備と体質改善」は、ヨーグルトなどの発酵食品を食べる、野菜やキノコ、海草を多く摂る、睡眠不足、ストレスを避けるなどが挙げられます。


――これは生活習慣病全般に関わるものかもしれませんね。

嶋田 そうですね。


――アトピーも含めてですが、人間の体が菌におかされる場合、疲れとか栄養のバランスが崩れたり、あるいは精神状態があまりよくない状態が続いた時が多いようですが……。


嶋田 人間の身体は精神的な部分が結構支配しています。植田さんの場合も、気候とか湿度とかあるいは精神状態によって症状にいろいろな変化が起きてきたようですね。そして乳酸菌食品を摂ることで症状が改善してきた時の彼女の前向きな姿勢が、さらに相乗的な効果を生んでいるようです。


――どうも有難うございました。


しまだ たかし
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京都市生まれ。昭和63年三重大学水産学部卒業。同年ニチ
ニチ製薬?入社。現ニチニチ製薬中央研究所部長。大阪市立
大学大学院医学研究科客員研究員。博士(学術)。

2009年3月号 月刊スーパーゴルフ

2009年2月1日発行  Volume116


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<巻頭特集>
やっぱ、凄いよ!賞金女王のスイング
古閑美保のドライバーショットは上達のヒントがいっぱい
解説&指導・阿河徹


◆新春ギア特集・第3弾
フェアウェイウッドの2009モデル
打ちやすさ、飛び性能を徹底検証
解説・関浩太郎


<特別企画>
TRAVEL&GOLF
海外ゴルフ&リゾートナビゲーションブック
中国・海南(ハイナン)島、中国・ミッションヒルズ、タイランド


◆もっと身近でゴルフを楽しもう
ちょっとそこまで河川敷ゴルフ


◆ブランド探求
ミズノ・JPX
日本人ゴルファーに最高のパフォーマンスを


<本当に力がつく連載レッスン>

◆ゴルフ専門トレーナー石渡俊彦プロの
ゴルフ上達のための“フィジカル&スキル”レッスン
[第4回]アドレス時に硬くなった部分の力の抜き方編


◆カリスマコーチ増田哲仁プロの門外不出(秘)上達講座
[第57回]上達のための(秘)練習法 (19)


◆シニアツアー界の飛ばし屋中尾豊健プロの
50歳からのぶっ飛ばしドライバーテクニック


<レディスROOM>
◆金谷智美プロの一から始めましょう
[第22回]コースレッスン・パット編 (1)


<連載読物>
◆今月のサプライズ
タイでも遼クンフィーバー


◆ゴルフの薬箱 -いいゴルファーになるための心の指標- 鈴木康之


◆佐渡充高のワールドツアーリポート
オバマ米新大統領はゴルフ大好き!


◆児玉光雄のメンタルゴルフ革命
「ゾーン」はすべてのゴルファーに訪れる


◆カリスマトレーナー
摩季れい子先生の斬新レッスン
[第10回]バックスイング編 (4)


◆NEWギア&NEWグッズ


◆今月の売れ筋ランキング&情報BOX


◆賞賛されるクルマたち
Mercedes-Benz GLK300 4MATIC


◆情報BOX


◆読者プレゼント

第56回メンタルゴルフ革命

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「ゾーン」はすべてのゴルファーに訪れる可能性があるもの


 米PGAツアー開幕戦「メルセデスベンツ選手権」で、オーストラリアのジェフ・オギルビーが通算24アンダー、268という驚異的なスコアで2位に6打差をつけて初日から首位を明け渡すことなく完全優勝を飾りました。
 オギルビーの勝因は4日間、素晴らしい心理状態を維持してプレーできたことにあるでしょう。もともと喜怒哀楽を出すことなく、常に平常心を保ってプレーできるタイプですが、それにしても67、68、65、そして最終日は68というスコアは単なるショットの技術論では説明できないものです。とくに最終日後半の10番から15番までの6ホールで5つのバーディをもぎとるという快進撃はたとえ世界のトップといえども滅多にできるものではありません。この状況は明らかに彼のその時の心理状態と深い関連性があるのです。
 それは「ゾーン」という心理状態です。「ゾーン」とは、何をしてもうまくいく絶好調のプレーができ、凄いスコアを出す状況を指します。つまり、思い通りにプレーができて好スコアが続くとき、そのプレーヤーは「ゾーン」にあるのです。これはプロや上級者に限った現象ではなく、一般ゴルファーにも訪れる可能性のあるものです。


絶好時の感覚をメモに文字として記録しよう


「ゾーン」を実力があるからとか、単に“運がいい”と考えてはいけません。「ゾーン」を引き寄せるメンタルトレーニングを伝授しましょう。
 次のラウンド時からズボンの後ろポケットに小さなメモ用紙を入れてプレーしてください。好調時の心理状態をメモに書き込んで記録するのです。
「ゾーン」は感覚ですから、突然訪れます。その感覚に常に敏感になり、訪れたときはしっかり記憶する。そしてその好調時の感覚を思いつくままメモに文字として残しておく。また、好調時だけでなく、たとえばトリプルボギーなどを叩いたときの良くない感覚も記録します。悪い心理状態もしっかりと確認して、そうならないように工夫することが大切です。
 さらに、その日のプレーしたコース、各ホール、その日の天候、気温などもチェックしましょう。たとえば、その日の朝食やクラブハウスで食べた昼食メニュー。前夜の睡眠時間や起床時間も記録します。そんなところに「ゾーン」が生まれるヒントが潜んでいるのです。
 表は「ゾーン引き寄せ度チェックリスト」です。合計点が22点以上なら、あなたはゾーンを引き寄せる力をすでに保有しています。18-21点なら努力次第で簡単にゾーンは訪れ、14-17点なら引き寄せ度は平均レベル。10-13点はやや劣っており、9点以下は明らかに引き寄せる力が不足しています。
 ショットの良し悪しだけでなく、そのときの心理状態や日常生活に敏感になって、それをしっかり形に残して脳裏に記憶する習慣をつけておけば、ラウンド中にゾーンが訪れる回数を増やしてくれることになるのです。


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第71回佐渡充高のワールドツアーリポート

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オバマ米国新大統領はゴルフが大好き!
故郷のハワイで寸暇を惜しんでプレー…

プレースタイルはカジュアル。キャディーバッグも軽量タイプと庶民感覚・・・


 米国建国以来初のアフリカ系の血を引くバラク・オバマ(47)がついに大統領に就任した。米国だけでなく世界の流れを変えかねない重責をまっとうするため、オバマが体力や英知を養う手段として選んだのがゴルフだった。
 昨年末の休暇も家族とハワイに帰郷し、時間を作っては友人たちとゴルフを楽しんでいた。混乱を避けるためにカイルアのミッド・パシフィックCCというプライベートコースを選んだが、プレーすること3回。
 初日からエンジン全開で、早朝に起床して、まずはミシェル夫人とジムでトレーニング。その後、すぐに彼だけゴルフ場へ直行した。昨年8月は短い夏休みの中でワイキキから車で約20分の場所にあるオロマナ・ゴルフ・リンクスというパブリックコースで2回もプレーしたほどゴルフに夢中なのだ。
 オバマはいつも決まってカジュアルな服装でポロシャツにコットンパンツ、そしてベースボールキャップ。または両サイドに大きなポケットのついたカーゴスタイルのショートパンツにサドルシューズ。
 陽射の強い日中には黒のサングラス。シークレットサービスの鋭い視線の中で、昼食もクラブハウスやコースの途中にある売店でホットドッグにコーラやスポーツ飲料などを自身で注文、支払いをして気軽にとる。
 キャディバッグも軽量タイプで、車から自分で担いでクラブハウスや練習場に赴くなど、セキュリティー以外は地元のゴルファーと何ら変わらず、ごく自然に庶民感覚でゴルフに興じているのだ。
 オバマは1961年ハワイ州ホノルル生まれ。少年時代の数年はインドネシアで過ごしたが、高校時代までのほとんどをハワイで暮らしたハワイアンだ。その後、大学でニューヨーク、卒業後はシカゴやボストンなど東部で過ごしてきた。それだけに美しい海とサンシャインに溢れた故郷ハワイは最も落ち着く所のようだ。


ゴルフのキャリア12年。ゴルフ専門誌はブッシュ前大統領より素質は上と評価・・・


 長身のオバマは学生時代にバスケットボールで活躍していたが、96年にイリノイ州議会議員時代にゴルフをはじめてからすっかり虜になってしまった。ハンディキャップは公表されていないが、スコアは90台をウロウロという腕前のようだ。スイングするところをテレビのニュース映像で見たが、レフティーでスイングはとてもスムーズ、もっと上級者の雰囲気があった。
 そしてオバマがゴルフをするところには必ずといっていいほどアジア系の若者が同伴している。彼は韓国系米国人のユージーン・カン氏でミシガン大学在学中からオバマのサポーターでもあり、選挙活動でも重要な役割を担った側近中の側近だ。
 実はそのカン氏は10歳からゴルフをプレーしている上級者であり、オバマのゴルフ熱に火をつけ、上達にかなり貢献した人物なのだ。
 選挙戦真っ只中の昨年8月、米ゴルフ専門誌は早くもオバマのスイングを分析、ブッシュ前大統領やクリントン元大統領より優れたプレーヤーになる素質がある、などとその頃から腕前に関して盛り上がっていた。
 米ゴルフダイジェスト誌の記者、ドン・ヴァン・ナッタによると、オバマはメジャーの舞台となっているセント・アンドリュースやぺブル・ビーチ、べスページ(ブラックコース)などをプレーしてみたいという夢があるという。またプレーするだけでなく、ゴルフというスポーツに対し並々ならぬ興味が芽生えているという。


タイガーとのゴルフ場での初対面は「AT&Tナショナル」となるか?


 1月20日の大統領就任式でタイガーがお祝いのコメントをして、オバマとタイガーの初対面は実現したが、ゴルフ好きの歴代大統領と同様、オバマが就任中にPGAツアーの観戦に訪れる可能性も囁かれている。特にタイガーがホストを務めるAT&Tナショナルの開催地はワシントンDC近くのコングレッショナルCC。
 ホワイトハウスからも車で40分と近く、毎年、週末には多くの政治家が観戦に訪れる。大統領就任式でお祝いのコメントをしてくれた返礼としてオバマがタイガーを激励にやってきても何ら不思議ではない。
 政界のタイガー・ウッズと評されてきたオバマとタイガーがゴルフ場で対面するという歴史的瞬間が待ち遠しい。

ニューギアニューグッズ 2009年3月号

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シリーズ4代目モデル

「ハイボアMOAI XLS」ドライバー

(クリーブランドゴルフ)

 クリーブランドゴルフ(SRIスポーツ)は、日本向け専用設計のシリーズ4代目モデル「ハイボアMOAIXLS」ドライバーを2月13日に発売する。ヘッドの投影面積を制限内(5インチ×5インチ)で最大化。従来モデルに比べフェース面積を16%拡大。フルフェースパフォーマンス設計によるスイートエリアの拡大と、大きな慣性モーメントでミスヒット時の飛距離と直進性をアップ。独自のクラウン形状とフェースの軽量化がもたらす低・深重心設計が高弾道の大きな飛距離を実現する。MI-100グラファイトシャフトを装着、45.25インチ。ロフト角は8.5、9.5、10.5、11.5度。54600円。
● TEL 0120-653-045


グラファイトデザインと共同開発した専用シャフト

「NEW ADRドライバー」

(アキラプロダクツ)

 アキラプロダクツは、軽比重チタン合金のボディを強化するためソールに9個のディンプルを配置したデザインでスライスを抑制し、最高の飛距離が得られる「NEWADRドライバー」を発売。高い慣性モーメントと深低重心化を図ったヘッドはインパクトをコントロールし、最適な弾道を生み出すほか、インパクト時のボディのねじれによるエネルギーロスを抑えてくれる。また、グラファイトデザイン社と共同開発したADR専用シャフトを装着。打ち急ぎや振り遅れなどのスイング時でもミスをカバー。最高の飛距離とフェアウェイキープが実現する。45.5インチ。ロフト角は9.5、10.5度。73500円。
● TEL 03(5652)4500


立体スイートエリアでコントロール

「マックテックNV-R」アイアン

(マグレガーゴルフジャパン)

 マグレガーゴルフジャパンは、進化した立体スイートエリアでコントロール性能を高めたアイアン「マックテックNV-R」を発売。ソフトステンレスボディに30gのタングステンを装着することで重心を下げ、高打ち出しを実現。フェースのコントロール性を向上させるとともにマレージングカップフェースにより従来モデルよりヒール寄りのフェース高を高めに設計。高反発のスイートエリアの拡大とシャープに振りぬけるスイングを可能にした“飛び系”アイアン。ロフト22度の4IからSW。NV-Rカーボン装着6本セット107100円。NV-Rスチール(同)が94500円。
● TEL 03(3502)1561


やさしく狙える軟鉄鍛造複合アイアン

「NEWゼクシオフォージドアイアン」

(SRIスポーツ)

 ダンロップのSRIスポーツは、ザ・ゼクシオのやさしさと柔らかな打感を追求した軟鉄鍛造複合アイアン「NEWゼクシオフォージドアイアン」を2月15日に発売する。高強度クロムバナジウム鋼を採用したフェースの薄肉化による高反発化とスイートエリアの拡大、アンダーカットボディによる深重心で、方向性の安定と楽にボールが上がって飛距離アップを実現。複合構造ながら軟鉄鍛造に近いマイルドな打感で、飛ばして狙えるアイアンとなっている。ロフト20度の3IからSWをラインナップ。ゼクシオMX-2000カーボン装着で6本セット138600円。NSプロ950GH装着で(同)113400円。
● TEL 0120-653-045


オートマチックに打てるウェッジ

「MT-28J.SPEC-II」

(フォーティーン)

 フォーティーンは、どんなライからでも距離感、方向性が出しやすくピンに寄せていけるウェッジとしての総合性能を高めた「MT-28J.SPEC-II」を発売。フェースのブレを抑え、スピン量を安定させて寄るアプローチショットが打てる新設計の「逆テーパーブレード」を採用し、J.SPEC独自の“くぼみ”構造との相乗効果で、より安定したオートマチックなショットをもたらしてくれる。鏡面ミーリング加工のフェースによる強烈なスピン性能、フラット形状で滑りやすいソールがプレーヤーの応用性を高めてくれるフォーティーンならではのウェッジ。48度から58度まで6タイプ。シャフトはダイナミックゴールドとNSプロのスチール。21000円。
● TEL 027(387)8760


クルーズウェッジの代名詞の進化形

「トリプルソールマックス」

(クルーズ)

 クルーズは、2003年に誕生以来、幅広い層のゴルファーから支持されているトリプルソールウェッジの進化形「トリプルソールマックス」を発売。フェースを開いたショットでもリーディングエッジの高さを抑えるので高いボールコントロール性能を発揮するトレイリングエッジ側の流れるような大きめの面取り形状に加え、独特のバンス効果が得られる幅を抑えた“くぼみ”ソール、抜けの良いソール形状、ボールを拾いやすいセミグースのネック形状がタフな状況下での打ちやすさを実現している。ロフト角49度から58度まで7モデル。19950円。
● TEL 0120-536-311


イエスパターの完成型

「Madison」

(エムアイティインク)

 エムアイティインクは、イエスパターからC-グルーブテクノロジーのすべてを凝縮した完成型パター「Madison(マディソン)」を発売。ボールの食いつきを伸ばし、抜群の距離感、方向性が得られるフェース面のC-グルーブテクノロジーに加え、ドライバー同様の中空ヘッドの採用で重心がヘッド後方に配置されイエスパター史上最大の慣性モーメントを実現。2つの機能の相乗効果でより安定した方向性と転がりの良さを生み出す。重量ヘッドとの相性がいいジャンボグリップ付きもラインナップ。シャフト長は32から37インチまで各種あり。価格は23100円。
● TEL 03(3844)5168


ヘッドからグリップまで黒で統一

「VK-IIブラック・エボリューション」

(RomaRo)

 RomaRoのロア・ジャパンは、ヘッド、シャフト、グリップまでカラーを黒で統一、ボールとターゲットをより明確にし、アスリートゴルファーが繊細なフィーリングを発揮しやすくしたウェッジ「VK-IIブラック・エボリューション」を2月に発売。カラー統一によるプレーヤーとクラブの一体感とヘッドに施した銅下メッキによるソフトフィーリングが融合されることで絶妙なタッチのアプローチショットが可能となる。シャフトはロマロオリジナル特殊加工で深みのある黒を演出。グリップは独自のミントの香りを配合したフレグランスグリップ。ロフト角は51、57度。24150円。
●TEL 042(545)5555


レディース用ハーフセットモデル

「Lamola(ラモーラ)」

(国際興業)

 パワービルトの国際興業は、レディースゴルファー向け専用デザインモデル「Lamola(ラモーラ)」ハーフセットモデルを発売。ロフト角14度、420cm3のチタンドライバー、ステンレス製ヘッドのフェアウェーウッド(23度)、ユーティリティ(27度)と7、9、SWのアイアン、グリーン周りの寄せに使えるチッパー、パターの8本組。素材にPVC生地を使用し、女性に人気のピンクと流行のホワイトの2種を用意したキャディバッグ、アイアンを除く5本のクラブにはオリジナル専用ヘッドカバーを附属。女性のゴルフデビューにぴったりのセットだ。セット価格68250円。
● TEL 03(3273)4043


新素材でスピン性能が向上

「D-TOUR DP2010ウェッジ」

(スリーラック)

 スリーラックは、プロ、上級者向けウェッジシリーズから、軟鉄をはるかに凌ぐ衝撃吸収性と耐久性のある新素材マンガン合金“ダンパロイ”をヘッドに採用した「D-TOUR DP2010ウェッジ」を発売した。ボールとフェースの接触時間が長くなってスピン性能が格段に向上するとともに、インパクト時のヘッド振動が大幅に減少するため方向性に優れ、ソール全体に適度なバウンスの付いたヘッド形状は開閉自由度を確保。どんなライからでも確実にボールをつかまえ自在な打ち分けができる。ロフト角は51、56、58度(54度は別注対応)。33600円。
●TEL 06(6724)4606