第54回メンタルゴルフ革命

石川を勝利に導いたゴルフの幼児性
男子ツアー「マイナビABCチャンピオンシップ」で17歳の高校生プロ石川遼が最終日首位でスタートした深堀圭一郎を逆転、見事ツアープロとして初の優勝を飾りました。
バックナインに入って勝負は最終組の深堀と石川の争いとなり、タイに並んでいた16番で、まず石川が8メートルのロングパットを沈めバーディ。これを見た深堀は3パットしてボギーとし、石川が2打差をつけ単独トップに立つ。17番は二人ともパー。そして迎えた18番。石川の第1打は左斜面のラフ。7Iで打った第2打はグリーン手前の池の中。そのウォーターショットはピン3メートルにオン。2パットのパーで、このホールをバーディで上がった深堀に1打差をつけ優勝となったのですが、この石川のゴルフは2位に2打差つけ最終ホールを迎えたリーダーのとるべき攻め方でなかったことは確かです。
まさに怖いもの知らず。果敢に攻め続けたプレーが百戦錬磨の深堀に打ち勝ったのです。敗れた深堀にとってショックは大きかったはずですが、しいて石川の勝因を上げれば、彼のゴルフの幼児性にあったといえるでしょう。
プロデビュー以来の石川のゴルフは幼児の歩行学習とよく似ています。幼児のヨチヨチ歩きを観察すると、ハイハイから部屋の柱につかまって立ち上がった後歩き出す。しかし数歩で床に四つんばいになり、再び同じ行為を繰り返す。しかし幼児は「なんてボクは歩くのが下手なんだ」とは絶対に考えません。失敗を恐れず本能的な感覚に頼って歩く行為を繰り返すことにより、脳が自動的に歩行するための筋肉全体の動きのバランスを改良していってくれ、その結果幼児は歩くという学習をすることになるのですが、いまの石川のゴルフはまさにこの幼児の歩行学習と同じといえるのです。
子供心が上達を加速させる
残念なことに、石川の持つこの子供心は大人になるに従ってどんどん影をひそめていきます。ゴルフでいえば、失敗を積み重ねることにより、賢明なプレーができるようになる反面、失敗に過剰反応して臆病になり、守りに入る。それが上達の扉にフタをしてしまうことになるのです。
考えてみれば、石川は他のツアープロより圧倒的に失敗の記憶が少ない。だから怖いもの知らずであり、それが度重なる予選落ちにもつながっているのですが、一方で優勝争いに絡める爆発力を与えていると、私は考えています。その象徴が18番のウォーターショットでしょう。土壇場のその状況で石川は「失敗したらどうしよう」とは考えてなかったはずです。こういうゴルフをされると相手(深堀)は逆にプレッシャーやあせりを感じてしまうものなのです。
さて、この図式はアマチュアゴルファーにもあてはまります。ゴルフのキャリアを深めることで、プレーが消極的になり、守りに入ると必ず停滞が訪れます。数多くの失敗経験により自分で勝手に限界を設定してしまうため上達への壁が破れなくなってしまうのです。
ラウンドでは数多くのピンチに見舞われますが、そのとき子供心特有の積極志向を持ちリスクと背中合わせのプレーにも果敢にチャレンジしてみてください。あるいはプレッシャーのかかる場面でも敢えて強気にプレーすることで、あなたの抱えている上達の壁を見事に打破できるようにもなるでしょう。同時に常にプラス思考を貫いて、どんな状況でも「必ずこのショットは成功する」と考えてアドレスに入ってみましょう。
石川のように怖いもの知らずの気持ちでゴルフに取り組めば、実力以上のパフォーマンスを発揮してスコアアップを達成できることもあるのです。




