第65回佐渡充高のワールドツアーリポート

タイガー・ウッズがひざの故障で長期離脱するPGAツアーが激変!?
激痛に耐えて全米オープンに勝ったタイガーに賞賛と批判の声が・・・
激痛に耐え全米オープンのタイトルを獲得したタイガー・ウッズ(32)。その戦いぶりは感動をよび美談として伝えられる一方、強行出場で傷口を広げることになった無謀ともいえる行為に「トッププロの体調管理として杜撰で無責任」という批判も招いている。
激闘でさらに悪化したひざの再手術とリハビリで今後すべての試合を欠場せざる得なくなりファンは落胆。加えてスポンサーやトーナメント関係者も大きな影響を受けることになった。
タイガーが主催のAT&Tナショナルも「飛行機の移動はひざへの負担が大きい」との主治医の診断により会場に姿を現さず、優勝者のアンソニー・キムに携帯電話を通じて祝福するのが精一杯だった。
6月24日に4度目の左ひざの手術を受け、現在はリハビリを始め約1カ月が経過。復帰の時期はまだ確定的ではないが、回復までには8-10カ月を要すると予測され、早くて来季2月から、遅い場合は4月のマスターズという状況だ。
タイガーの離脱でフィル・ミケルソンに初の賞金王獲得のチャンス・・・
今後のタイガーの全試合欠場によりPGAツアーの様々なタイトルの行方がまったくわからなくなってきた。賞金王をはじめ、プレーオフシリーズ優勝者に与えられるフェデックスカップ・ポイントでは多くの選手にチャンスが広がり、トップランカーたちの成績によってはタイガーの世界ランク1位の座も危うくなるほど激動の終盤を迎えそうだ。
賞金ランクでは(7月7日現在)、1位のタイガーは約577万ドルと変わらず。2位のフィル・ミケルソンが395万ドルまで迫り、虎視眈々と初の賞金王を狙っている。チャンスはミケルソンだけではない。このあと8月には最後のメジャー全米プロ選手権、世界選手権ブリヂストン招待とビッグトーナメントが続くだけでなく、中盤からはプレーオフシリーズ4試合、さらにその最後のツアー選手権は優勝賞金126万ドル(約1億3千万円)と高額。可能性はAT&Tナショナルで2勝目を飾り一気に5位までジャンプアップしたキムにまで広がった。
日本の期待の星・今田竜二にも今後の活躍次第で賞金王の可能性が・・・
興味深いのはフェデックスカップ・ポイントだ。これは昨年から開始されたプレーオフシリーズ参加のためのポイント制度で、レギュラーシーズン36試合の上位144選手がプレーオフの出場権を獲得する。プレーオフは4試合で試合ごとに選手が絞りこまれ、最終のツアー選手権には上位30人のみが参加だ。
最終的に合計ポイントの1位の選手が同カップの優勝となり、優勝賞金がなんと1000万ドル(約11億円)。このプレーオフシリーズでは1位のタイガーが欠場するので、多くの選手に1位の可能性がめぐってくるのだ。
現在6位の今田竜二もビッグトーナメントでもう1勝、もしくは上位に2回入れば1位の可能性が出てきた。
今田は「1試合1試合を大切に集中してプレーするだけなので先のことを考えていません。でも、プレーオフの最終戦まで残れればいいですね」と冷静な姿勢を貫いている。活躍次第ではこの状況が想像以上の結果をもたらすわけで、いっそう集中してプレーするのではと思う。
タイガーが独走を貫いてきた世界ランク1位の座に赤信号が点滅・・・
最も大きく変わるかもしれないのが世界ランクだ。全英オープン直前のタイガーが20・73ポイントでダントツの1位。2位のミケルソンが9・94ポイントで2倍以上もの大きな差があった。
タイガーは98年3月にデビッド・デュバールを抜いて世界ランク1位になって以来、04年9月のドイツバンク選手権でビジェイ・シンに敗れた頃に1位の座を短期間譲ったものの、ほとんどの期間をトップの座に君臨し続けてきた。しかし、今回の長期欠場でタイガーの“定位置”だった1位の座に赤信号が点滅しそうだ。
世界ランクのポイントはその試合の順位に応じて加算される反面、過去のポイントは段階的に減らされ、前年獲得のポイントは半分に、2年前獲得したポイントは0になる。試合に参加しないタイガーは今後の獲得ポイントは0で、マイナスされるポイントだけになってしまうのだ。
手元の計算ではプレーオフシリーズ終了段階では11・97まで落ちる模様で、もしミケルソンがメジャートーナメントや世界選手権など大きな試合で優勝すれば世界ランク1位が入れ変わる可能性が出てきた。タイガーの不在はPGAツアーの勢力図を大きく変えることになりそうだ。



