第64回佐渡充高のワールドツアーリポート

今田竜二が悲願の米ツアー初V!遂につかんだ4大メジャーへの切符・・・
昨年プレーオフで2位だったAT&Tクラシックで雪辱の優勝を果たす!
今田竜二(31)が米国PGAツアーのAT&Tクラシックで悲願の初優勝を飾った。ツアー4年目、出場108試合目の栄冠だった。同大会は昨年プレーオフまでいきながらマスターズ・チャンピオンのザック・ジョンソンに競り負け2位に甘んじた経緯があるだけに喜びもひとしおだ。
平素は口数も少なく感情をあまり現さない今田だが「昨年悔しい思いをした大会で勝つことができてめちゃくちゃ嬉しいです」と珍しく興奮していたものだ。
この優勝で2年間のシード権を獲得。加えて全米オープン、全英オープン、全米プロ選手権、そして子供の頃から憧れていた09年のマスターズの出場権を獲得した。
これまでは予選のある全米オープン以外のメジャー試合の出場権がなかったために指を加えて見ているしかなかったが、この優勝で4大メジャーすべての出場権を獲得し、遂に世界のトップを狙うスタートラインに立ったのだ。
4大メジャーの中で6月の全米オープン、8月の全米プロは厳しい戦いとなるか?
今田がこれから挑戦する4大メジャーでの活躍を検証してみた。ゴルフのタイプを主要なスタッツから分析してみると、メモリアル・トーナメント終了時点では次の通り。
平均飛距離は279・9ヤードで156位、フェアウエーキープ率は60・72%で119位、パーオンしたときの平均パットは8位、バーディー奪取は40ラウンドをプレーして150個で13位、パーオン率は63・47%で82位となっている。
飛距離とフェアウエーキープ率が下位であることから6月開催の全米オープン(カリフォルニア州サンディエゴのトーリーパインズ)と全米プロ選手権(ミシガン州デトロイト郊外のオークランドヒルズ)は厳しい傾向にあるといわざるを得ない。
トーリーパインズは全米オープン史上最長の全長7600-7700ヤードを予定している。ラフの深さは15センチ強で足首が隠れるほどの深さ。今田の飛距離ではグリーンを狙うクラブはロングアイアンとウッドが大半を占める状況を強いられ、ましてラフに打ち込む率が高いと難度は数倍に跳ね上がる。
今田には卓越したパッティングやアプローチの技術があるが、それをもってしてもカバーが難しいかもしれない。しかし、全米オープンは今年で5回目、トーリーパインズは今年1月ビュイック招待で2位になったコースだ。
この号が出る頃にはすでに全米オープンの結果は出ているが、過去の経験と相性を生かした好プレーで私の予想を大きく裏切る結果を出して欲しいものだ。なお、8月の全米プロのオークランドヒルズも同様の理由で厳しい戦いが予想される。
第3の故郷ジョージアで開催されるマスターズは応援も多く、コースも今田向き?
今田が初優勝の際、最も喜んだのは来春のマスターズ出場が決まったことだった。マスターズは小学生の頃からの憧れの試合。14歳で広島を飛び出して米国留学を決心したのはマスターズの開催地が米国だったからだ。居住したのはフロリダ州タンパ(現在も)だが、大学はマスターズの舞台オーガスタ・ナショナルと同じ州のジョージア大学に進学。同大学OBの計らいで学生時代に何度もプレーを経験している。
今田はジョージアと縁が深く、初優勝のAT&Tクラシックも同州での開催だった。2位の昨年も今年も、現地は同大学出身者や友人知人らが彼を応援しようとたくさん訪れて、今田は『熱い応援が僕を後押ししてくれた』と大感激だった。
プレースタイルでもマスターズは活躍の期待が高まる。全長が全米オープン、全米プロより200ヤードほど短く、ラフも5センチと浅く、飛距離やフェアウエーキープ率の低さはそこまで不利にならない。何より第3の故郷ジョージアでの開催で地元ファンからパワーを得て伸び伸びプレーするのではないかと思う。
気象の変化が激しい全英オープンが最も今田の真骨頂を発揮できる舞台となるか?
しかし・・・総合的に考えれば今年7月の全英オープンが今田に最も合っている気がしてならない。会場はイングランドのロイヤル・バークデール。同コースで全英オープンが前回開催されたのは98年で、優勝スコアはイーブンだった。
マーク・オメーラがプレーオフで日本ツアーで出場権を得たブライアン・ワッツを下して優勝した試合だから記憶に止めているゴルフファンも多いと思う。
その週、現地はかなり荒天だった。初日は快晴、弱風だったが2日目は午前中から雨と暴風が吹き荒れた。午後には雷雨にも見舞われ38分間の中断。3日目も暴風が吹き荒れ、ようやく最終日は穏やかで快晴、弱風の好コンディションだった。今田に有利だと思う理由は、気象の激しい変化だ。荒天下でのテイーショットはどんな選手でもコントロール不能に近いほど困難で、今田のウィークポイントであるフェアウェイキープ率の問題は激減する。
同コースの全長は7018ヤードと長くなく、これが他のメジャー大会との違いの一つでもある。さらに地面が硬くランが出るために距離的に苦しい今田でも不利にならないのだ。
さらに今田の強みは強風下でも見事なコントロールをみせる卓越したアイアンショットにある。弾道はまるで向かい風の下をスーッと通すように見えボールだけが別の空間を飛んでいるかのよう。 アマチュア時代から彼のノックダウン・ショットは有名な技で、本人も「スコアが伸びない厳しい条件の方が僕の性格やゴルフに合っています」と言いきるほどだ。
全英オープンは初出場で欧州での試合経験もないが、豊富なショットのバリエーションが要求される全英オープンこそ、今田の真骨頂を最も発揮できる舞台だろう。とにかくも4大メジャーでの今田の活躍を楽しみにしたい。
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