まもなく花粉症の季節です。
今年は、東高西低。東海・近畿以西では、昨年並みから半分以下ですが、関東地方から東北地方にかけては昨年の1.5倍から3倍程度のスギ花粉が飛散すると予想されています。花粉症かな?と感じた方は、チャート図で花粉症の可能性について自己診断をしてみましょう。
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「国民病」となった花粉症
厚生省の調査によると、国民の16%の人がこの病気に罹っているとされています。この花粉症は、都市部ほどその罹患率が高くなる傾向があり、今や「国民病」とも「文明病」とも呼ばれるようになっています。春先にはテレビや新聞、インターネットでさまざまな情報が発信されていることからも、国民の関心の高さが伺えます。
花粉症って、どんな病気?
そもそも花粉症やアレルギーって、どんな病気なのでしょう? ここでは、スギ花粉症のアレルギー性鼻炎を中心に考えてみましょう。花粉やダニによる鼻のアレルギー反応を「アレルギー性鼻炎」と呼び、花粉だけが原因の場合に「花粉症」、その花粉がスギであれば「スギ花粉症」と称します。原因物質である花粉は、人体にとっていわば異物であり、排除すべき物質です。
しかし、人の身体は非常にうまくできています。こうした異物が鼻の穴から体内に入ろうとすると、防御するシステムが作動するのです。それが、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなのです。くしゃみは、爆発的な風圧で異物を鼻粘膜から体外に吹き飛ばします。鼻水や鼻づまりも異物が体内に入らないようにするためのシステムです。本来、花粉症のつらい症状は、人体にとって有益な反応であると言えます。
花粉症の歴史
これほど多くの人が罹っている花粉症も、比較的新しく報告された病気です。日本では、1961年に荒木英斉先生がブタクサの花粉症を報告したのが最初です。最も問題となっているスギ花粉症は、齋藤洋三先生が1964年、東京オリンピックの年の春に栃木県の日光地方で鼻や目などにアレルギー症状を示す21例を報告したのが第1号となります。
それから40数年経ったいま、100万倍の2000万人の人が花粉症に罹っているのです。
花粉症増加の原因
なぜ、ここまで花粉症が増加したのでしょうか? その答えは、簡単なようで実は非常に難しい問題なのです。現在推定されている要因には、1) 原因物質であるスギ花粉そのものの増加、2) 大気汚染、特に問題となっているものにディーゼル車の排気ガス中の微粒子(DEP)、3) ダニアレルギーが増加することによりアレルギー体質が増えた、4) 食生活の変化、5) 清潔志向によって細菌と接触する機会が減少した、6) 抗生物質の乱用による腸内細菌叢の撹乱、などが考えられています。
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スギ花粉
各項目について具体的に示しますと、太平洋戦争が終わって、戦後復興のため、日本中の山から樹木を伐採し、全国の山々から森林が消えた時代がありました。そのため、洪水が頻発し、治山治水が問題となりました。そこでその対策として、1950年代に一斉にスギ・ヒノキが植林され、全国の山々がスギとヒノキで占められるようになりました。スギ・ヒノキは、樹齢30年になると花粉を飛ばすようになります。1980年代から急激に花粉症が増えたこともうなずけます。
DEPは、動物実験においてスギ花粉と同時に与えることでアレルギーが悪化することが報告され、東京都では平成15年よりディーゼル排ガス規制が始まり、平成18年にはさらに厳しい規制が行われています。しかし、現在その影響に関しては疑問が持たれています。
一般家屋が高気密住宅化し、カーペットを敷く家が増えたことにより、ダニが繁殖しやすい環境になり、ダニアレルギーの人が増加したと考えられます。ダニアレルギーになった人は、スギ花粉に対してもアレルギーになりやすいことが知られています。
30?40年前の食事内容と現在とを比較して、明らかに変化していることは多くのテレビや雑誌、新聞などのマスコミにも紹介され、生活習慣病の原因として問題視されています。しかし、食事の変化は生活習慣病だけでなく、花粉症にも影響を及ぼしていることが指摘されています。
清潔志向と抗生剤の乱用は、いずれも細菌と接触する機会を極端に減少させます。細菌感染症の減少に反比例するかのように、アレルギー疾患が増加してきたことが報告されています。
以上のように、花粉症の増加は、生活の近代化によってもたらされたと言っても過言ではありません。
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※この診断はあくまで、目安的なものになっています。医師の診断をお受けいただくことをお勧めいたします。(『的確な花粉症の治療のために』より)
花粉が飛ぶ前から乳酸菌を食べておきましょう
花粉症増加の原因とされている清潔志向と抗生物質の乱用については、生活のなかでの自己防衛が可能なものでもあります。先に述べたように、細菌感染症の減少とアレルギー疾患の増加の関係からも、安全な細菌との接触することが重要であることが解ります。
安全な細菌の代表として、乳酸菌があげられます。いまスーパーマーケットや健康食品売り場に行くと、アレルギーを改善するとされる乳酸菌の商品が数多く市販されています。動物モデルや人での試験で有効性が確認された乳酸菌たちです。
日本赤十字社和歌山医療センター(耳鼻咽喉科 榎本雅夫部長)で、花粉症の患者さんに花粉が飛ぶ前から乳酸菌を食べてもらいました。すると、乳酸菌を食べていない人に比べて鼻の症状が軽いこと、アレルギーの薬の使用量が少ないことが解りました。
この試験に用いた乳酸菌は、人の腸管から単離された「エンテロコッカス フェカリス FK?23」というもので、これを生きたままではなく、あえて溶菌・加熱した殺菌菌体です。ただし、残念ながらこの効果には個人差があり、同じ乳酸菌、同じ製品であっても効果の出やすい人、出にくい人が見られます。しかし、乳酸菌にはアレルギー以外にも健康増進に繋がる効能がありますので、花粉の飛散とは関係なく普段から乳酸菌を食べるのも良いかもしれません。
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